現在、火曜日の午である。外は雨が降っている。埃や熱気が洗い流されるようで、うれしい。本当は、今朝ウダイプールに旅立つ予定だったが、まだデリーにいる。
ふふふ。
じゃなくて、とほほ。
3日ほど続いた夫の熱(華氏100〜102度)はだいぶ治まって、100度を切った今朝。しかし、昨日、往診に来てくれたドクターからは、あと数日は移動せず、様子を見た方がいいと言われていた。旅行など、何をか言わんや、であった。
ドクターはシク教徒でターバンを巻いていた。この季節、どれだけ暑いんだろう。心頭滅却すれば火もまた涼しいんだろうか。頭がくらくらしないんだろうか。彼の話を聞きながら、気になって仕方がない。
そんなことはさておき、マハラシュトラ州のプネーやムンバイ辺りでは、数日前から新型インフルエンザが発症して騒ぎとなっている。
そんな時節柄、夫は念のためにと血液検査も勧められ、養生を言い渡されたのだった。夫の場合、間違いなく「冷房にやられた」のであって、間違いなく数日後には熱が下がるのだ。とわかってはいたが、だからって、無理して旅行に行くのもなんである。
いろいろと相談した結果、昨日、すべての予定を変更したのだった。
わたしはもう、ウダイプールはまた次の機会にして、とっととムンバイだかバンガロールだかに帰りたい心境なのだが……
最終的には、今週いっぱいデリーに滞在し、日曜の朝からウダイプールに飛んで、2泊3日滞在することになった。そもそもは、「ついで」であり「おまけ」であったはずのウダイプール旅。こんなに固執すべきことだったのか。
今となってはもう、何が何だかわからない。
ムンバイもバンガロールも、デリーより凌ぎやすいこの季節。春や秋の過ごしやすい季節ならまだしも、なにゆえ、この蒸し暑くて出歩きにくい時期に、5泊さえ長いと思っていたのに、なぜに10泊もせねばならんのだ!
という気持ちが迫る。
しかし、「何か困ることがあるのか?」と問われれば、何も困らないから困ったものだ。気になるのは閉め切っているムンバイ宅の「超湿気」くらいだ。バンガロール宅はメイドのプレシラが毎日来てくれているので問題ない。
今週中に仕上げねばならない原稿が2本あるが、文章の執筆は、ムンバイでもバンガロールでも、そしてデリーでもどこででもできる。打ち合わせなどの約束はないから、つまりはどこにいてもいいのである。
ロメイシュ・パパの書斎は、ここ数日、嫁(わたし)が独占状態。最早わたしの部屋である。
夫は週後半には体力も回復すると見て、打ち合わせの予定を入れている。いろいろあるが、まあ、これはこれでよかったのだ、ということにしよう。
ところでわたしは、現在、治療中の歯について、若干の不安がある。デリーには、マルハン家が昔から頼っている優秀な歯科医がいることから、セカンドオピニオンを得るべく予約をいれた。明日には、デリーで評判のスパにも訪れてみようと思う。
そうこうしているうちにも、きっと瞬く間に時間が過ぎてゆくのだろう。
ところで昨日は、体調が芳しくない夫と、それなりに疲労感が募っている自らのために、近所の果物屋でたっぷりのフルーツを買った。
ここ数日のわたしたちは、いつもに増して、野菜たっぷりの健康的な食事をとっている。
一日に何度もココナツウォーターやニンブー・パーニー(ニブパニ:レモン水)を飲むなど、水分補給も行っている。
ちなみにマルハン家のニンブー・パーニーは、レモン水に少量の砂糖と岩塩を加える。
これが喉越しよく、体内に速やかに吸収されてとてもよい。
それはそうと、わたし自身、身体が強そうに見えるし、実際、まあ強い方なんだろうが、しかし実は油断するとすぐに調子を崩す。
それなりに、弱点はある。
従っては、常日頃から健康管理、正しい食生活を心がけている。そりゃ、たまにはジンガーバーガーを食べたりもするけれど。
身体を管理できないと、精神も仕事も管理できなくなってしまうから、気をつけるに越したことはない。
それにしても、果物を食卓に並べると、なんとも言えず、麗しいものである。
●久々に、日本食ランチ@ai
昨日は、マルハン実家からほど近いショッピングモールMGF Metropolitan Mallへ足を運ぶ。デリー在住の友人、ヤスコさんとランチの約束をしていたのだ。
ヤスコさんは福岡出身で、5月に帰省した際、彼女も夏休みの息子さんを連れて帰省しており、一度天神でランチを共にしたのだった。
彼女の勧めで訪れたのは、ai(アイ)という日本料理店。ムンバイやデリー、バンガロールでOLIVE BARやOLIVE BEACHといった人気レストランを経営しているA.D. Singh氏の店だとのこと。
インド富裕層、NRIたちの人気を集めているらしく、ディナータイムはかなり高価ながら、いつも込み合っているらしい。このサイトに詳しい記事(英文)が載っている。
ランチメニューはディナーに比すると、かなりリーズナブル。曜日ごとの日替わりランチもあるが、月曜のランチは「天ぷらうどん/そば」と、あまりそそるメニューではなかったので、本メニューから選ぶ。
わたしはシーバスの味噌焼きを、ヤスコさんはポークベリー(豚の角煮風)をメインに選んだ。それ以外にも、上の写真のように、あれこれと一品ずつ、テーブルに供される。
まず出されたのは、蓋付きの陶器に入った味噌汁、そしてエビせんべいのようなもの。次いでホタテ貝を器にしたエビ餃子。これがかなり美味。
次に巻き寿司。マグロとサーモンという選択肢から、わたしはサーモンを選んだ。そしてメインのシーバス。見た目、ポークベリーの方がフォトジェニックであった。味はどちらも、かなりおいしかった。
そして最後にアイスクリームなどのデザートがつく。
このごろは、インドで日本料理(外食)を食べる機会が激減したが、久しぶりにとてもおいしくて、うれしかった。
食後は隣接するショッピングモールCITY WALKを散策する。
ところで最近、なぜか「子ども関係」のショップや商品が目につく。
昨今のわたしは、遅すぎる母性本能が目覚めて、子どもがかわいく見えるようになって来た……ということは以前も書いた。
そのせいで、お子様関連商品に目がいくのだろうか、とも思っていたが、そうではないようだ。
インドにおけるお子様関連専門店が、ここ数年のうちに「激増している」のである。
英国ブランドのMothercareで赤ちゃん関連グッズなどを見つつ、ヤスコさんともランチタイムで話したのだが、インドは子ども向け市場にかなりの可能性があるのではないか、との思いを新たにする。
もちろん、アッパーミドルクラス以上、富裕層をターゲットとして、だが。
折に触れて書いて来たが、インドは子どもにやさしい社会である。レストランやカフェで子どもが騒いでいたら、わたしは思わず「危ない!」と注意してしまう方に走るのだが、インドの人々は違う。
行儀が悪いことをとがめないのは問題だと思うが、しかし、注意するこちらの心が狭いのか、と思えてしまうような不思議な寛大さがある。
泣いている赤ん坊を、率先してあやしてくれるウエイターやウエイトレスもいる。手を休めて、子供を笑顔で見つめている人もいる(←仕事しろよ!)。騒ぐ子供に顔をしかめる人が非常に少ない。
ユカコさんがジェイクくんを産んだときにお見舞いに訪れた病院でも、看護婦さんたちが、決して事務的ではなく、本当に赤ちゃんを「かわいらしい」と思っている様子で面倒を見ているのが印象的だった。
米国でも、子どもは社会全体で育てるもの、という意識が強いが、インドでは米国の、ややもすると「教科書的」になりがちな意識とはまた違った、のんびりとしたムードで以ての、子供たちに対する姿勢というものが存在していることを痛感する。
その様子に、わたし自身があれこれと反省させられることもあった。とはいえ、騒いではいけない場所で騒ぐ子供は、相変わらずいやだけど。
子どものことに触れたついでに、過去の子ども関連の記事へのリンクをはっておく。
■異国で子供を育てるということ。(←文字をクリック)