平和な数日を送っている。夫アルヴィンドも今週はバンガロールで過ごすというので、双方の家の心配をせずともよく、とても気が楽だ。
日曜は、いつものようにUBシティのアンサナ・スパ (Angsana Spa) へ赴きトリートメントを受けた後、いつものように Toscano でランチをとった。
さまざまな選択肢があるというのに、しばしば同じような料理を選んでしまう、食べ物に関しては、かなり気の合う我々夫婦。
野菜のグリル・サラダ、マルガリータ・ピザ、そしてビーフのグリル。
今日は選んだすべてが一致した。
いかにも息の合った夫婦である。
食べ物以外でも、もう少し息を合わせたいものである。
それぞれが一品ずつを食べるのではなく、シェアをする。
サラダだけはヴォリュームが少ないので、シーザーサラダも頼む。
料理は、数カ月前、「味が落ちたかも」と思った時期もあったが、今回はおいしかった。何かと油断ならん、インドの外食事情である。
それにしても、ディワリ休暇とあって、あたりは家族連れで賑やかだ。
人々の様子を眺めているだけでも、愉しいものである。
●整理整頓週間@小売店。ですか?
ブリゲード・ロード (Brigade Road)へ久々に赴いた。コンピュータ用のUPS(バッテリー&電力安定供給装置)が壊れたので、新しいものを調達しにいったのだ。
電流が寄せては返す波のように不安定なインドである。電力問題に関しては、これまで何度も泣きをみた。ともあれ、UPSだけは、常にコンディションのよいものを確保である。
その後、久しぶりにニルギリズ (Nirgili's) へ赴いた。移住当初はしばしば訪れていた地元スーパーマーケットである。上の大きな写真は、その店頭にある果物屋だ。
この店も、なんだか以前よりもずっと、整理整頓がなされている。
そう。バンガロールに戻って来て、界隈の商店が、なんだかこぎれいになっている気がしてならないのだ。
オーガニックの野菜を取り扱うローカルの青果店Namdhari's も、行くたびに「各種粉もの」の棚卸しで店内喧噪のThom's も、そしてこのNirgili's も、どことなく、商品がきれいに陳列されている気がする。
ごちゃごちゃ、ではなく、きちんと並んでいる物が多いのだ。どうしたというのだ。
バンガロールはインドの都市の中で、先進国型のスーパーマーケットの進出が、最も著しい。デリーやムンバイよりも、その数は多い。
とてもそうは見えないが、しかし一応は「コスモポリタン」で「インターナショナル」な都市としてのバンガロールは、外国人居住者の比率が高いのに加え、新興都市ということもあり、新しい時流が入り込みやすい環境にあると思われる。
わたしたちがインドに移住してまもなく4年だが、その間に数々のスーパーマーケットがオープンした。
結果的にいえば、そして個人的にいえば、一時期、新しいスーパーマーケットを重宝していたのだが、今は品揃えその他の面から、上記の「昔ながらな商店」を主に利用している。
フードマイレージの低い、地産地消をコンセプトとした食生活を少なからず心がけているものとして、またインドならではの食材や調味料などを利用しているものにとっては、従来型の方が結果的に便利なのだ。
しかし、利便性や新しいものを優先する人の方が明らかに多いことは見て取れる。
そんな趨勢にあって、従来型商店は、ちょっとだけ「顧客にとって買い物をしやすい環境を整えてみようかしらん」と思ったのではなかろうか、と勝手に判断してみたのだが、どうだろう。
従来型の商店には、店内のレイアウトが劣悪な店も多く、抜本的な改革を望みたいところだが、さておき微妙に整理整頓が進んでいるだけでも、気分がよい。新型スーパーマーケットに淘汰されぬよう、がんばってほしいと思う。
●菓子を焼く。バターとインド流通事情
今日は久しぶりに、ベイキングの夕暮れ時である。そう。菓子を焼くための材料であるところの小麦粉や、砂糖、生クリーム、牛乳、バター……もThom'sやNilgiri'sだと一カ所でまとめて購入できるのがよい。
と思っていたのだが、なぜかバターが見当たらない。別の店にもない。スーパーマーケットにもない。なぜ? 数年前の日本の「バター不足」が思い出される。
あのときには「インドでバター不足はあり得ない」などと大きく出ていたのだが、いったいどうしたのだ。菓子を焼くのにバターがないのでは、話にならない。
どの店も「在庫がない」とのことである。
いざとなったらバターを使用しない菓子作りに変更しようと思いつつ、目星をつけていた4軒目、超ローカルな、整理整頓やるきゼロ、といった感じのごちゃごちゃとした店に駆け込んだ。
店にも関わらず、冷蔵食品は「ご自宅用的冷蔵庫」におさめられている。冷蔵庫を開くと、あった。バターがあった。ほっとして購入する。
店主に、あちこちの店でバターがない旨、なぜかと尋ねたところ(こういう小売店の店主は事情通が多い)、
「グジャラートの雨のせいだ」
と、ひと言。
グジャラートで雨が降ったら、バンガロールのバターがなくなる。
わからんぞ。
説明を乞うたところ、バンガロールに供給されるバターの多くはグジャラート州で生産されているのだが、雨のせいで流通がストップしている、とのことである。
店主の話をどこまで信用すべきかわからんが、ともあれ、インドの商品流通網は、なにかと「ずたずたな感じ」であることは、日常生活を通してたやすく察することができる。
道路事情は悪く、鉄道による流通が確実、というかまし、のようである。この国の発展の鍵のひとつは、このあたりにもあるのだろうなと思いつつ、バターを携えて車に乗り込むのだった。
毎度おなじみ、スコーン。
チョコレート風味のスポンジケーキも焼いた。
予想していた見た目、味とは全然違ったが、まあ、これはこれでよしとしよう。
それからレモンのタルトにアップルタルト。
先日、ニューヨークのウイリアムズ・ソノマで購入した「底の抜けるタイプのタルト皿」が活躍した。
それから、オーヴン用の温度計も大活躍! である。
今まで、どれほどいい加減な温度設定で焼いていたのだろうかと、愕然としながら焼いた。
結局、適当でもなんとかなるんじゃん、と開き直るくらいの気持ちであった。
我が家のつまみ食い王子(夫)が、台所に侵入しては、スコーンやらスポンジケーキの切れ端やらをつまんで、もぐもぐと食べていく。
夕飯前に。
そういうわたしもついつい味見でお腹がいっぱいになってしまう。それでも夕飯はしっかり食べる。
今日、本当は「不毛地帯」について書きたかったのだが、なんだかもう眠たくなってきた。別の機会に、忘れず記したい。