本日、昼過ぎに一つの原稿を仕上げ、午後から買い物に出かけた。
まずはバンガロール市街唯一のデパートメントストアであるBANGALORE CENTRALへ。数年前に開店したこの店。来るたびに、「模様替え」が行われている。
最初に比べると、圧倒的にアパレルのコーナーが増え、最近では一時期多かったジュエリーが減り、海外コスメティクスのコーナーが拡充されている。女性衣類よりも、男性衣類の方が店舗のレイアウトがよく、買い物しやすそうなのは気のせいか。
男性衣類のコーナーでは、夫のバニャ〜ン(ランニングシャツ)やカチャ(トランクス)、それに靴下などを買い求める。来るたびに、品揃えが増えている。
最後に最上階のスーパーマーケットへ。ここで食料や日用品を仕入れる。あれこれ詳細を説明したいところだが、もう、夜も更けて参りましたので、割愛。
その後、わたしが「当店第一号のお客様」だった、おなじみHOME STOPへ。ここもまた、来るたびに品揃えが充実している。あの日、インドのカップヌードルを「コーヒーメーカーに付いて来たスプーン」で食べた自分が、懐かしい。1日に2個も食べる羽目に陥った、インド初心者だったあの日。
それはそうと、上の写真を見て欲しい。LE CREUSETである。それがあるだけでキッチンがお洒落に見え、なおかつ「料理上手?」なムードさえ演出さえしてくれる、日本でもおなじみのLE CREUSETである。洗うときに重すぎて腱鞘炎になりかける人さえいる(我が母)、LE CREUSETである。
それが、バンガロールに売られている。意外に、インドの煮込み料理には適しているかもしれぬ。が、インドの家庭における使用人が使うとは思えないこれら高価な品々。インド富裕層の暮らしぶりの変化をしのばせる、商品である。
尤もこれら、ちっとも売れてないかもしれないけれど。
日本製のポットさえも、売っていた。しかも、何種類も。
夜も更けて参りましたので、割愛するが、ともかくはいろいろな新製品が登場していて、驚かされる。
あれこれと思い巡らせつつ、店内を巡りつつ、ショッピングをしつつ、帰り際に店内のカフェで休憩。
街の変化のめまぐるしさと、先週のタイルを巡ってのお金の価値と。街へ出て、こうして変化の激しい場所に来ると、といつもなんだか、本気でめまいがする。ちょっとお茶休憩でもしないことには、やっとられん気分だ。
便利なんだけれど。うれしいんだけれど。この、歴然と目に見える格差社会に、財布からお金を、クレジットカードを出すときに、尺度が、価値観の尺度が伸びたり縮んだりして、なんという奇妙な日常であろうか。
たとえばムンバイのThe Taj Palaceにルイ・ヴィトンが開店したときも、その周辺地帯の格差が浮き彫りで印象的だったが、そういう高級ブランドや、高級車やら、といったものから得る印象とはことなる。
日用品の中の、大いなる変化。
なにしろ、今日の一番の驚きは、右の写真である。
M·A·C(マック)が、HOME STOPの隣にオープンしていたのである。
ハンバーガーを売ってる店でも、コンピュータを売っている店でもない。
ニューヨークコスメの、M·A·Cである。
どうしたの? こんなところに! と、我が目を疑った。
なにしろ、HOME STOP界隈は、臭い。何が臭いって、どぶ川が臭い。
もんのすごくゴミが堆積していて、悪臭炸裂地帯なのだ。「片隅の風景」にて、どぶ川・ドーナツ・カプチーノとのタイトルで記したあの日よりも、更にひどい。
そんなところに、M·A·C。マンハッタン五番街のヘンリーベンデル界隈を、微塵も彷彿とさせない場所に、M·A·C。需要は、あるんだろうか。あると見込んでの開店だろうが、いやはや、なんというちぐはぐな、光景であろうか。
BANGALORE CENTRALにCHANELが入っているのは驚かないが、この立地にこの店は、驚く。
インフラストラクチャーがもう、本当に追いついていない。わたしが、HOME STOPの経営者だったら、自腹切って隣の川の掃除をするのだが。
いやもう経営者じゃなくても「お掃除部隊」を編成し、街を掃除したいことしきり、なのだ。