今年もまた、昨日から明日までの3日間に亘り、インドの中心部に位置するマハラシュトラ州のナーグプルのディークシャーブーミ(ストゥーパ/仏舎利塔)にて、仏教改宗式が開催されている。
インド国憲法の草案者であり、インドの初代首相ネルー内閣の法務大臣でもあった、ビームラオ・アンベードカルによって、1956年10月14日に開催されたのが始まりだ。COVID-19パンデミックを経て3年ぶりの今年は、第66回目だという。
ヒンドゥー教徒によって定められたカーストの最下位であるダリット(不可触民)を出自とするアンベードカル。彼は、壮絶な努力とすさまじい熱意によって、米国やロンドン、ドイツで学問を身につけ、インド共和国誕生に不可欠な人物となった。
政治家として尽力する傍ら、彼はまた、カースト制度による差別の撤廃を目指し運動を続ける。しかし、ヒンドゥー教徒である限り、カーストの縛りから逃れられないと悟り、仏教を徹底的に追求。その結果、約30万人(資料によって数字が異なる)とされるダリットの人々と共に、1956年10月14日、仏教徒に改宗したのだった。
しかし、改宗式からわずか2カ月後、アンベードカルは他界する。行き場を失った新仏教徒たち……。
その12年後の1968年8月8日、「数奇な縁」と「使命」により、日本人僧侶の佐々井秀嶺上人は、南天竺ナーグプルの土を踏む。以来、佐々井秀嶺上人は、50年以上に亘り、インドの地で、虐げられし人々を救うべく、闘い続けている。アンベードカルの意志を引き継ぎながら、今なお毎年、大規模な仏教改宗式を執り行っているのも、佐々井秀嶺上人だ。
インドの仏教、カースト制度で底辺とされた人々の苦悩、アンベードカルの偉業、ガンディーとアンベードカルの確執、佐々井秀嶺上人の生き様、そして、わたし自身がナーグプルに至ったご縁などについて、セミナー動画で語っている。また、『深海ライブラリ』ブログに、セミナーで使用した資料ほか、さまざまな関連情報をまとめている。
インドの独立に関わった人物といえば、マハトマ・ガンディが世界的に有名だが、ビームラオ・アンベードカルの偉業もまた、筆舌に尽くし難い。貧困層の人々の間では、アンベードカルの方が尊敬を集めている傾向が強い。これを機に、ぜひとも動画やブログをご覧いただければ幸いだ。
✊インド国憲法草案者アンベードカルとインド仏教。そして日本人僧侶、佐々井秀嶺上人を巡る記録(ブログ)
https://museindia.typepad.jp/library/2021/12/unity.html
✊〈南天竺を舞台に2000年の時間旅行〉インド憲法の草案者アンベードカルと仏教/壮絶な使命を遂行! 半世紀以上に亘り、虐げられし民を救済する僧侶、佐々井秀嶺のすさまじき足跡。
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