5000年以上も前から連綿と伝わる処方で、複雑に配合され、温められたそのオイルに、全身を覆われ、浸る。
オイルから、不要を取り除いてもらい、必要を与えられる。
地球の恩恵を全身で受け止めてのち、午後5時の夕暮れどき。
デカン高原の涼風は、火照った身体をやさしく冷ます。
インド菩提樹の枯葉まばゆく、至福のひととき。
11年前、年末をここで過ごすことに決めたのは、負の理由からだった。
酒なし、肉なし、宴なし……と自嘲的に形容しつつ、繰り返してきた年中行事。
今となっては、なんと意義深い過ごし方だったろう。
毎年この時期、バンガロールから訪れる常連は、我々夫婦だけ。
「二人が来てくれて、やっと一年を締めくくれる気分になれるわ!」
と、女性のドクターに喜ばれ。
客観視するに「究極の変わり者」としての、我々夫婦。
……それでいいのだ。
2009年12月。思い返せば、うんざりするほどの逆境。
ストレスまみれで途方に暮れる日々の中、ここで過ごそうと決めた自分を褒めてやりたい。
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