空港にほど近い新居の、遅々として進んでいる建築現場を偵察に行く。
願わくば、8月。我々夫婦の結婚20周年と誕生日(どちらも8月)と、ハウスウォーミングパーティを、一気に開催すべく準備ができればと思う。3月からは、キッチンのデザイン、家具調度品の調達を始めることになるだろう。
家探しをしていた2013年に知ったTotal Environmentという開発会社。あれこれ見た物件の中で、唯一「この開発会社が手がける家に住みたい」と思えた。無論、我々の住まいとなるヴィラ、「After the Rain」は、当時はまだ更地。起工以前にもかかわらず、設計図を見て、物件の購入を決めたのだった。
同社が創業初期に竣工した、ホワイトフィールドにある「Windmills of Your Mind」を購入したファミリーフレンドからは「物件は良質。しかし納期は絶対に、ダイナミックに遅れる」ということを、聞かされていた。
ゆえに覚悟はしていた。そして、ついには昨年半ばに完成予定だった。しかし、COVID-19世界に突入。諸々が中断した。しかし、このタイミングで中断したことは、結果的にはよかったと思える。長期滞在をしてもらおうと思っていた義父ロメイシュが、一度も訪れることなく、1年前に他界したことを除いては。
ロックダウンで引きこもりの生活を送るなか、わたし自身の、「家」に対する考え方に、大きな変化があった。COVID-19以前と以降では、内装の嗜好も変化した。
もっといえば2019年、夫と共に日本を旅し、瀬戸内海に浮かぶ直島の、安藤忠雄が手掛けた「ベネッセハウス」に3泊滞在したことは、わたしの感性に大きな影響を与えた。
かつては苦手だと思っていた、あの一見冷たいと思われる建築物。その中に温もりと心地よさを感じた。
昔から好きだったフランク・ロイド・ライト。そして安藤忠雄。彼らのコンセプトをベースに、あとは自分の好きな要素をちりばめながら、極力シンプルに。レンガと石、緑と水、風と光が似合う家にできればと思う。
実は一昨日、夫がTotal EnvironmentのCEOであるカマルと打ち合わせがあるというので、わたしも同席した。
久しぶりのオベロイホテル。過去十数年の間に、外資系のホテルは次々に誕生したが、タージやオベロイ、ITCなど、インドの昔ながらのラグジュリアス・ホテルは、ロビーに足を踏み入れた瞬間から、ほっとする。落ち着く。
カマルとは、「打ち合わせ以外」の話が、楽しかった。彼が通っていたIITカラグプールは非常に大きな図書館を擁していたこと。そこで、教授が書庫に鍵をかけてまで、大切に取り扱っていた本があったこと。それは建築の専門誌ARCHITECTUAL RECORDの1908年3月号で、フランク・ロイド・ライトの特集だったこと。そしてその書籍が、彼に大きな影響を与えたことなど……。
Total Environmentの物件を見たときに予想はしていたが、カマルの敬愛する建築家3人のうちの一人はフランク・ロイド・ライト、次に安藤忠雄、そしてもう一人、ドイツ人の建築家(名前を失念)だという。好きな建築家が共通しているから、彼の物件を好きになるのは、当然のことだろう。
彼はまた、食と音楽をも重視しており、ホワイトフィールドの「Windmills of Your Mind」にはすてきなブリュワリーを併設、ミュージックライブもしばしば行われている。
かつて、フランク・ロイド・ライトが手がけた帝国ホテルに関する逸話でも盛り上がり、楽しいひとときであった。
Kamal Sagar
https://en.wikipedia.org/wiki/Kamal_Sagar
昨日は物件を見た後、ITCウィンザーに立ち寄り、カフェでランチ。チキンバーガーなどを食してお腹いっぱい。
帰りにRAINTREEに立ち寄り、夫はANOKHIでシャツを買うなど、久しぶりに二人でショッピング。
思えば彼が衣類の買い物をするのは、年に一度のニューヨークが大半。インドで買い物をすることはほとんどなく、久しぶりに「懐かしい」経験だった。
英国統治時代の平家一戸建てのバンガローを改築したRAINTREE。実はこういう建築物も大好き。昔ながらの、個性が滲む空間は、時空を超えて、日常が夢想。空も緑も、風も花も愛おしく映る。
ともあれ、我々の終の住処となる家につき。人間にとっても、猫らにとっても、居心地のいい空間を育もう。
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