昨夜は久しぶりにYPOのリアルなイヴェントに参加した。今日のティーチャーズ・デーに先駆け、著名な教育関係者によるパネルディスカッションに参加するためだ。
昨年3月のロックダウンに入ってからというもの、この国の柔軟性と迅速な対応、瞬く間の変革には感嘆させられ続けてきた。若い力とそれを取り込む環境、試行錯誤 (Trial and error)が随所で発生した。
それは教育の現場にしても然り。
そもそも1947年の印パ分離独立以降、インドという国は、多くの人口を抱え、貧富の差も著しく、教育という側面においては「失敗続き」の点も多々ある。
国だけではない。民間でも教育現場を向上させるべく、無数の人々が尽力している。それでも追いつかない。
そんななか、一貫して語られたのは進化し続けるテクノロジーを速やかに「受け入れなければならない」ということ。
このパンデミックによる環境の変化は、教育関係者にとっては極めてエキサイティングですばらしい時機でもあるのだ、という前提で話が進んだことに感銘を受けた。
インドでは瞬く間に教育のオンライン化が進んでいる。もちろん、それに伴う「負の部分」も取り沙汰されている。
「オンライン」「オフライン」という2つの括りで表現するならば。「オフ」で得られるべき精神的な糧、人との交流など。
そのような負を補って余りある、しかし「現在の世界」においては、「プラス」になることが圧倒的に多いことに改めて気づかされる。
世界のどこにいても、学びたいことはいくらでも学べる。
この国は、住んでいてなお、なるたけ偏見や思い込みのフィルターを外して、起こっていることを眺める必要がある。自分が「信じたい」「見たい」情報だけを追っていると、偏った現実だけが目に映る。
無論それは、インドに限ったことではないが、しかし人口13億人を超える多様性の巨大国家を語るときには、尚更にである。
インドの変貌ぶり。たとえば「購買手段」ひとつをとっても。わたしが移住した当初のわずか15年前、人々は「札束」を携えて買い物をしていた。クレジットカードの普及率は低かった。
ところが10年ほど前にEコマースが黎明期を迎えた。最初は「C.O.D.現金着払い」が主流だった。オンラインで服や靴を買うなんて……とためらう消費者が大多数だった。ところがその趨勢はわずか1、2年で変化した。
2016年の唐突な高額紙幣刷新により、しかしデジタル決済が急速に浸透した。この延長線上にパンデミックがあり、変革を生み出す潜在力が次々に表層から湧き出ている。
次の10年、20年を見据えて、今を構築する。2、3年おきに新たなトレンドを学ばなければならない。テクノロジーを取り込む力が大切だということも、うなずける。
個人的にはテクノロジーが「加速」「加熱」しすぎて、人々の理解が及ばない事態への懸念を覚えるが、若者が主導権を握る趨勢が顕著な昨今のインドでは、問題ないようにも思える。あくまでも人間が「活用する側」に立ち、道徳心や倫理を慮りながら「取捨選択する能力」を保てていれば、未来は明るい。希望が持てる。
インドにいると、地球を俯瞰できる視点でいられるのが、本当に心地よい。インド移住を決めた理由のひとつも、そこにある。
地理的には日本よりも、ニューヨークやベイエリアの方が遠いのに、精神的にはひどく近い。この国を牽引する人々は、地球を軽やかに飛び回る。NRI (Non Resident Indian)すなわち、海外在住のインドの人々はじめ、世界各国を行き来する人たちの中にいるからこそ、柔軟性の大切さを実感できるし、学ぶことの多さを思い知らされもする。
昨夜もまた、この国の人々が助け合う力の強さを再確認し、わたしも自分ができることを模索し、社会に貢献したいとの思いが強まった。
教育に関しては、思うところが多すぎて散漫な記録となったが、ともあれ、久しぶりにリアルな交流を図りつつ、勉強ができてよかった。
関心のある方は、以下、登壇者のプロフィールをぜひご覧いただきたい。豊かな経験ある人たちの言葉は、力があり信憑性がある。
Pramath Raj Sinha
➡︎https://en.wikipedia.org/wiki/Pramath_Raj_Sinha
Dr. Bindu Hari
➡︎https://www.npshsr.com/dr_bindu_tedX_talk.html
Vamsi Krishna
➡︎https://www.linkedin.com/in/profilevamsikrishna/?originalSubdomain=in
Kashyap Dalal
➡︎https://www.youtube.com/watch?v=RNMj_lTx6Bo
【インド発、世界】 🇮🇳🇯🇵人生を創るNOTE/「手書き」を語り合う/ミューズ座談会シリーズ ⑤/Clubhouseの「インド縁」で出会った方々と、初の対面@ZOOM
✍️取材に超便利なコクヨの「測量野帳」を入手するに至った経緯については、この「手書きのススメ」動画をぜひご覧ください。このノート、本当に便利!
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