現在6月18日の午後。昨日未明に、バンガロールに無事帰還した。久々に夫や猫らに再会し、荷解きなどをするうちにも、たちまちインドの現実になじむ。3週間の日本旅。記憶の鮮度が損なわれぬうちに、この週末は心身を休めつつ、募る記録をできるだけ、残しておこうと思う。
さて、日本滞在最終日の6月15日。午前中のアエラの取材を終えた後は、買い物や荷造りなどをする。その合間にも1時間のマッサージも受けるなど、極力、体力の温存につとめる。
その後、小雨降る中、銀座を散策。「ここに数日泊まりたい」とさえ思える最高の場所、GINZA SIX にある「銀座 蔦屋書店」で30分ほど過ごしたあと、待ち合わせの場所へ……。
向かうは「アンドラ・ダイニング」という南インド料理店。なにゆえ、インドへ帰る前夜に、敢えて南インド料理を選んだかといえば、それはもう、それ以外の選択肢を考えられなかったからだ。
約一年前、インドにてデルタ株が大感染し、ロックダウン生活を余儀なくされていたころ。ソーシャルメディアを通して知り合った、南インド料理店を営む真更薫(まさらかおる)氏と、女性向けダイエットサロンを経営する妻の早紀さんにお会いすることになっていた。
お二人に会えば、否応なく南インド料理の話になるだろう。そうなると、どんな料理を食べていても、脳内にスパイスの香りが広がって、その料理の味に集中できないだろう……と予測し、敢えてインド料理店を提案した次第。わたしが日本滞在中にインド料理を食べるとは、極めて画期的な選択である。
銀座には、驚くほどたくさんのインド料理店がある。その中から選んでもらった店がアンドラ・ダイニングだった。
本当であれば、真更薫のお店「巡るインド」に伺いたいところではあるが、千葉県いすみ市という場所にあり、それなりに遠い。お二人には銀座まで来ていただいた次第。
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薫さんは、過去、旅先を決めるに際し、刺激的な場所に……ということで、インドのバラナシを選ばれた。そこでインド料理のおいしさに開眼、帰国後の日本でも、多くのインド料理店を巡ったという。その後、スリランカやインド各地でインド料理を食べ歩き、やがてたどり着いた南インドのタミルナドゥ州。
同州のカライクディとい場所にある「ザ・バンガラ」というホテルで、伝統的なチェティナード料理を学び、自分のお店を開業することにした……といったお話を、昨年、Clubhouseなどでお聞きしていた。
バナナの葉の上にいくつもの料理を載せる南インドの定食「ミールス」をして、「味覚の銀河のようだ」と喩えられていた言葉が印象的だった。
薫さんとは、以降、折に触れて、ソーシャルメディア上で言葉を交わしていた。実は今年2月、ご自身のお店の開業を前にして、「ザ・バンガラ」で数週間、修行をされるご予定だった。その際、バンガロール国際空港を利用されるとのことだったので、バンガロールでお会いする約束をしていた。
……にも関わらず、オミクロン株の流行で、旅を断念せざるを得ない状況に。もんのすごく楽しみにされていた分、もんのすごく落ち込まれていたので、お電話でお話をしたり、お店の開店に必要なインドの食器などの配送手続きをお手伝いしていたのだった。ちなみに薫さんは、荷物が届いた時の感動を伝える動画を作ってくれていた。
妻の早紀さんとは、今回初めてお話ししたのだが、やはりInstagramでお仕事のご様子なども拝見していたので、初対面ながらも、とても親近感を覚えた。
ご夫婦は、わたしの自分史動画「世界を旅し、海外に暮らし働く」シリーズをご覧になり、また拙著『街の灯』もお読みになっているということで、我が若かりし日々の概要もご存じ。初対面ながら、わずか数時間の間にも、核心をついた会話ができて楽しかった。
早紀さんは、わたしがフリーランスになった年齢と同じころに独立され、また薫さんは、わたしがニューヨークで出版社を起業した年齢と同じころにお店をオープンされているとあり、諸々話題は尽きず。
お二人のバックグラウンドから、現在の道を選ばれた背景も非常に興味深く伺った。早紀さんは、栄養専門学校を卒業されたあと、老人ホームやスポーツジムで栄養士をされていたという。また、ヒップホップ系のダンスもされているほか(すごくかっこいい。習いたい😁)、スポーツジムでのトレーナー経験もおありとのこと。
昨年オープンされたダイエットサロンは、『食べるって楽しい! 我慢しないでサイズダウン』がコンセプトのことで、Instagramでも興味深い投稿をされている。近所だったら通いたいと思えるプログラムの内容だ。
わたしが食生活の重要性を肌身に感じたのは、結婚後、35歳をすぎてからと、なかなかに遅い。あちこちで言及してきたが、20代の東京在住時代は、タバコを吸い、ユンケルやリゲインなどを飲みまくり、食品添加物だらけのインスタント食品やチープな出前が中心の劣悪なライフスタイルだった。
若かったから、生き延びていたが、常時、腸の具合が悪く、腰痛などもひどかった。精神状態も悪かった。今、わたしの周囲には、若い時期に健康的な食生活の重要性を認識され、それを仕事(ライフワーク)にされている方が少なくない。とても喜ばしいことだと思う。
わたしは、子ども時代から現在に至るまで、半世紀以上に渡り、日本で、米国で、そしてインドで……と、「食の人体実験」をしてきたようなものだ。そんな経験もまた、新しい世代とシェアできればと、改めて思う夜だった。
ところでアンドラ・ダイニングの料理だが、まるでバンガロールの近所の店で食べているような気分になる、極めてオーセンティックな味わいだった。夕飯のミールスに朝食のドーサやワダがついてくるメニューがあるのと、ラッシーに氷が入っていたのを除けば、ほぼ南インドだった。おいしくて、満たされた夜だった。
お二人とは、きっといつか、バンガロールで再会できることだろう。楽しみだ。
◉南印度料理 巡るインド
➡︎https://masala-kaoru.com/
◉WOMENSダイエットサロンSimpet -シンプエット-
➡︎https://ameblo.jp/sakinemoto/
◉ANNAPURNA ~マルハン家の食卓~
動画で発信/食と健康 (4) 2020年ロックダウン時に初めて作った個人チャンネル発信の動画数本。稚拙だが内容は濃い。
➡︎https://museindia.typepad.jp/eat/%E5%8B%95%E7%94%BB%E3%81%A7%E7%99%BA%E4%BF%A1%E9%A3%9F%E3%81%A8%E5%81%A5%E5%BA%B7/
⬇︎日本旅3週間を詰め込んだ動画。どうぞお楽しみください💝
【追記】
一時帰国を終えて、バンガロールに戻って数日後。夫妻からメッセージが届いた。千葉県にお住まいのお二人は、わたしが成田から飛んだ日、空港まで見送りに来てくれたそうなのだ。無論、お会いしたわけではないのだけれど。
送っていただいた写真を見たら、わたしが機内から撮影したあたり、にいらした様子。通路側に座っていたにも関わらず、夕日が美しかったこともあり、ぐいっと撮影したのだった。お隣の方に「失礼……!」と言いながら。
これは、お互いに、見えていたんだろうな……😁
とてもうれしかった。
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