🇪🇸わたしが初めて、陶磁人形で有名なブランド、リヤドロ(Lladró)のことを知ったのは、1989年に旅行ガイドブックの取材でスペインを訪れたときのことだった。柔らかなパステルカラーに彩られた優美な人形たち。恭しく店頭に飾られたその人形の、値段の高さに驚くと同時に、個人的には、あまり好みではない……とも感じたものだ。
1953年にバレンシアにて創業したこの会社。日本に入ってきたのは、1986年のことだという。このガイドブックが発行される数年前のことだ。世界各国の一流品が市場を賑わせていた当時の日本。バブル経済真っ只中の時代を偲ばせる広告だ。
ところで、このウィキペディアの記述を読んで驚いた。これが真実ならば、随分と詰めが甘い。
〔引用/1986年1月、筆頭株主をリヤドロとして、日本における合弁会社「物産リヤドロ株式会社」を三井物産と共同で設立。本来、スペイン語の「LLADRÓ」は「リャドロ」(あるいはジェイスモで「ジャドロ」)と発音されるべきだが、日本への進出時にロゴを「LIADRO」と読み間違えられ、日本では「リヤドロ」として有名になってしまったため、「リヤドロ」を正式名として会社名のカタカナ登録を行った。2006年10月には社名を「リヤドロジャパン」に変更した。〕
さて、昨夜はUBシティで夕食の約束があった。早めに到着したので、モール内を散策していたところ、ふとリヤドロの店内が気になり、ドアを開けた。2008年にUBシティが創業した当初からあったこのリヤドロ。隣接するアップル・コンピュータの専門店imagine storeは何度となく利用してきたのに、この店のドアを開くのは初めてのことだった。
入ってみて驚いた。自分がイメージしていた優しげな人形(Heritageコレクション)とは意匠の異なる、くっきりと色鮮やかな人形らが並んでいたからだ。High Porcelain Creationsと呼ばれるこれらのコレクション。ここにはインドに由来する神々が飾られているが、他の国々の人形もあるらしい。先ほどサイトで確認したら、日本の雛人形や歌舞伎の人形もあった。
わたしがドアを開けたい衝動に駆られたのは、きっとこのサラスワティ(1、2枚目の写真)がお呼びだったからだろう。美しい……。
許可を得て写真を撮らせてもらった。サイトで見るよりもはるかに、実物の方が美しかった。
一昨日は南仏のコート・ダジュールを思い、昨日はスペインのコスタ・ブラバ、コスタ・デル・アサアールを思う。イタリアからスペインまで……地中海沿岸を、また列車で旅したい。次の欧州旅行はいつになるだろう。
まだ日本から帰ってきたばかりだというのに、何を見ても、何かを思い出し、旅情に駆り立てられる日々。✈︎
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