インド生活18周年を迎えた昨日、11月10日。わたしにとっては、サリーとファッションの一日となった。
先日、行きつけのブティックAmbaraのオーナーであるJayaから連絡があった。「A Touch of Joy」の展示会で販売するサリーを、当日、着てもらえないかということだった。サリーのよさは、広げて着用してみて初めてわかる。モデルの一人に選ばれたことがうれしいくて、二つ返事でOKした。
デザイナーは、ムンバイ在住のJoy Bimal Roy。彼の父はベンガル映画監督として国際的に著名なBimal Roy。彼の母はインドにおける女性写真家の先駆けでもあるManobina Royだ。Joyが、古いサリーを甦らせるべくプロジェクトを開始したのは、2年前に癌で早逝した妹のコレクションである数々の良質なサリーを、友人たちにシェアしたことが契機だった。
ヴィンテージ・テキスタイルには、現在では見ることのできない職人の技が息づいているものが多々ある。それらの不具合を直し、あるいは複数の異なる織りや染めの布、ボーダーを組み合わせ、約5メートルの一枚布に蘇らせる。
サリーの「アップサイクル」とも銘されたこの「A Touch of Joy」の取り組みは、個人的にも非常に関心がある。早速、彼のサイトを検索し、作品の数々を見る。いずれも「懐かしさ」を感じさせる気品が漂う。中でも真っ先に目に止まったサリー。これがいいな……と思いつつ、展示会の前日、Ambaraに立ち寄ったところ……。あった!
当初はあくまでも、好きなものをお借りして羽織る予定が、即購入。唯一無二は「欲しい」と思った瞬間に買わねば、2度と出合えないからだ。渋めの色合いながらもゴールドが華やかさを添えている。昨日はゴールドのネイル・エナメルを施してコーディネートした。
Joyのご両親と姉は癌で亡くなったとのことで、彼はこのプロジェクトの収益を、拠点であるムンバイにあるホスピスに寄付するのだという。ホスピスといえば、ミューズ・クリエイションの活動で、過去幾度か訪れたホスピスが、本当にすばらしい。実はJayaのご家族の一人は、そこで最期の日を過ごしたという。そのケアのすばらしさを、家族として、彼女は力説していた。わたしも、強く共感したのだった。
施設を訪れた際、「病気で死ぬなら、ここで死にたい……」という同行メンバーが数名いたことを思い出す。
サリーについても、ホスピスについても、書きたいことが募るが、今日もまたこれから外出。他のゲストが着用したサリーの写真なども含め、シェアしておきたい。サリーバンクに寄付されたサリーが蘇るまでのストーリーに関心のある方は、ぜひとも以下のリンクをご覧ください。それぞれのサリーの物語も記載されています。
◉Touch of Joy’s Saris
https://artisanscentre.com/collections/saving-saris-making-memories
◉無償で緩和ケア。ホスピスが救う患者の尊厳と家族の未来(4回の訪問記録/必読)
https://museindia.typepad.jp/mss/the-bangalore-hospice-trust/
“Joy Roy’s heartening endeavor of resurrecting vintage sarees stems from him upcycling some of his late sister, Yashodhara’s sarees for her friends who asked for a keepsake of her. Yashodhara had a prized collection of handcrafted sarees, enjoyed wearing sarees, and was admired for her choice of sarees as well as the grace with which she draped them. Working on some of his sister’s sarees, Joy realized he had a gift for and a love for reconstructing vintage textiles. This inspired him to team up with Radhi Parekh, Founder Director of Artisans, a gallery in Mumbai, to take the initiative of revitalizing heritage textiles further.
Artisans created a Saree Bank for anyone wishing to donate a vintage saree and Joy began putting together a collection of beautifully designed collectibles. The label was christened ‘A Touch of Joy’ – an appropriate play on Joy’s name. The project truly lives up to its name as heritage sarees are given a new lease of life.”
“It is like working on a jigsaw puzzle”, says Joy Bimal Roy, a Mumbai based aesthete with a passion for textiles, about his process of revitalizing vintage sarees. Combining one saree with the pallav of another and borders from others - Gadwals, Kanjeevarams, Kanthas, Tangails and Dhakais long packed away and forgotten are given a new lease of life, quite transformed as the designer has ingenuously combined different textiles and given the erstwhile traditional weave a new elegance.” (Ambara’s Facebook)
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