わたしの母は、現在82歳。2004年に父が66歳で他界して以来、福岡市内で一人暮らしをしている。かつては数年に一度、インドへ招き、数カ月滞在してもらうなどを繰り返した時期もあったが、2014年を最後に、インドには来ていない。
ゆえにわたしが母と会うのは、わたしが毎年、秋の一時帰国の際だけ。毎年、実家に1週間〜10日ほど滞在してきたが、去年はそれができず、今年もどうなることか、先行きが見えない。
母の家から車で数十分の場所に、妹夫婦が暮らしていることもあり、その点においてはとても安心だし、母にとっても恵まれた環境だと思う。
また、母は幸い「健康的な食生活」と「適度な運動」を続けていることもあり、通院を要する疾患は取り立ててない。週に一度、ダスキンのお掃除に来てもらう以外は、日常の家事一切、自分の身の回りのことはこなせている様子。
もちろん、目や耳の不具合はあるようだが、それは歳を重ねれば避けて通れない。最近は新しい補聴器に変えたことで、聞こえがよくなったようだ。日々使うもの、ましてや身体の一部となると、衰えを感じさせない方が、長い目でみて精神的にもいい作用を及ぼし、老化を軽減させると思う。
母が暮らす界隈(に限らないだろうが)は、老人の居住者も多く、たとえば補聴器専門店の対応もとても親切。不具合などもすぐに見てもらえるし、電話やメールでの相談も懇切丁寧に対応してもらえるところがありがたい。
そんな矢先、昨日の朝。
母から動揺したメッセージが届いた。母とは毎朝、メッセンジャーでやりとりをしている。そしてときどき、電話で話す。
メッセージによると、昨日、銀行で現金を引き落としたものの、通帳だけを受け取って、お札(3万円)を取り忘れて帰宅したとのこと。
以下の話は、昨日の母と銀行とのやりとりを通して、気を付けねばならない点など、わたし自身、学ぶことが多かったので、シェアする次第だ。このような例は、我が母に限らず日常的に起こっていることだと思う。
○普段はなるたけクレジットカードで支払うようにしているが、手元に現金も必要なのでおろしに行った。
○自宅に帰って財布をみたら、下ろしたはずの3万円がない。持ち物をすべて仔細に確認するも見当たらない。現金を取り忘れたと確信。今までお金を失くすようなことがなかったので動揺する。
○すぐに銀行に連絡するも、「3万円は見当たらない」と言われる。
★まず、「これまで紛失などしたことがない」というのは、むしろ立派だと思った。わたしはニューヨークのメイシーズで財布を盗難されたり(わたしの不注意)、郊外クイーンズのマクドナルドでハンドバッグまるごと持ってかれ(グループによる巧妙な盗難)、バルセロナのすてきなカフェ(クアトロ・ガッツ/4匹の猫)で過去旅の思い出に浸っているときにiPhoneを盗難された。インドではATMで現金だけ受け取り、カードを放置していたところ、うしろのお兄さんから「忘れてますよ!」と渡されたこともある。
さて、メッセージを読んだ直後、母に電話をして状況を確認。銀行側の対応が雑に思えたので、その後、銀行に電話をした。母の口座番号と共に状況を伝えたところ、電話を3人ほどに回される。いくつかのやりとりの間、再び母に電話をして当時の状況を確認、以下のような経緯がわかった。
●当該の銀行ATMは、現金を取り忘れた際、結構早い段階で、近所から苦情が出るくらいのけたたましい警告音が鳴る。それでも現金が受け取られない場合には、機械が吸い取る。
●吸い取られたかどうかは、本人が銀行に問い合わせた上でしか確認できない。(→結果としては、お金は引き出されていた)
●日本の場合、ATMで現金を引き落とす際、カードか通帳かのいずれかを使える。母はいつも通帳を使用。通帳を受け取った際、「多分」現金を受け取り忘れた。そのことに気づかず、後ろに女性ほか、何人かが並んでいたので、さっと横に避けた。警告音は鳴らなかった。たとえ鳴っていて母が気づかなかったとしても、周囲の人が気づくはず。
●昨日15日は「年金の支給日」であり、ATMのコーナーは込み合っていた。普段は避けているらしいが昨日はたまたま、年金の日に重なった。
★可能性として考えられるのは、
①後ろに立っていた女性が、現金を盗んだ(窃盗罪の構成要件)
②母が引き落としたお金を、帰宅途中に落とした
銀行の監視カメラを見れば一目瞭然だが、銀行側にそれをする権利はないとのこと。「被害者本人」が警察に届け、警察から銀行への依頼があって、成立する。わたしが代理で警察に電話をして捜査してもらえるのであれば連絡するが、母が自分でとなると、精神的な負担もかかる。
このような事態に直面した際、精神的に落ち込む方がよくない。幸い、3万円ですんだのだということにして、これ教訓としよう、どこかに寄付したと言うことでおさめようということにした。
さらに今後は、お金をATMで下ろすのではなく、銀行窓口で下ろすようにと伝えた。しかし、その際には、「通帳と印鑑」が必要だとのこと。そのセットを持ち歩くのもまたリスクがある。なにかと一筋縄ではいかない。
以降は、銀行の方に現場をお尋ねした。数分だが、時間を割いて可能な限り説明してもらえたのは、ありがたかったので、シェアしておく。高齢化社会日本にあっては、このような問題は日常茶飯事だと思われる。
オレオレ詐欺などは、もうずいぶん昔から知られているが、それ以外にもやはり、高齢者のお金のトラブルは多発しているようだ。
●前述の通り、年金支給日にお金を引き落としに来る人が多いので、避けた方がいい。
●高齢者は窓口での引き落としが多いが、数十万円を一気に下ろす方もいる。都度、注意喚起している。
●大きな買い物にはクレジットカードの利用を推奨しているが、使いたがらない人、使いこなせない人も多い。
●独居老人の住まいに、警官を装って、通帳やカードを提出させ盗難。巧みにパスワードを聞き出だして、現金を引き落とす……。
*参考資料/盗難を意図していなかったとしても、魔がさして人様のお金を持ち帰った結果、たいへんなことになる可能性があります。
https://www.shinginza.com/db/01440.html
以上。
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