🌸NY編のテイラー・スイフトから一転して、ワシントンD.C.編はアンジェラ・アキの『サクラ色』。今回はヴァイオリニストのEMIKOさんにも参加してもらい、わたしはサリーを着ていないがSAREESによる演奏だ。
『サクラ色』は、アンジェラ・アキがワシントンD.C.で暮らしていたころの、物事がうまくいかなかった時代を回顧して描いた楽曲で、このサクラは、ポトマック川畔の桜のことだという。この時代のことを自ら「桜色の時代」だったと表現しているとのこと。
ポトマック河畔、タイダル・ベイスンに咲く桜は、1912年、当時の東京市長だった尾崎行雄が、日米友好の証にワシントンD.C.へ贈ったもの。第二次世界大戦の際にも守られてきた桜の木々は、ポトマック河畔だけでなく、市街の随所で咲き誇っている。
🌸20年前の7月18日。我々夫婦はインドで結婚式を挙げた。その後、10月にニューヨークで披露宴をする予定だった。しかし、9月11日、世界同時多発テロが起こり、世界は暗転する。披露宴はもちろん中止だ。わたしは人生の優先順位を見直し、「遠距離結婚」をやめて、2002年1月にワシントンD.C.へ引っ越した。ようやく軌道に乗り始めていたミューズ・パブリッシングの仕事を縮小することは、とても辛かった。しかし、テロの後には炭疽菌事件なども起こり、不安が尽きなかった。
動画内でも触れているが、「命」を巡る重い事態も重なった。父や友人の闘病、自分たちには授からない命の問題。さらには、ワシントンD.C.エリアを舞台に、スナイパー事件(連続狙撃事件)。世界を見れば、アフガニスタンやイラクを舞台にした、理不尽な対テロ戦争……。
振り返るに、新婚生活は、精神的にきつい出来事が多かった。激しい腰痛や、冬になると原因不明の咳などにも悩まされるなど、体調も悪かった。もちろん、いいことも楽しいことも、少なからずあったけれど、当時を回想するときにはきまって、一抹の遣瀬なさ、心細さに、心がぎゅっと締め付けられる。
思えば到底、新婚生活とは思えない、惑いの多い日々の中、夫との口論の際に「英語の勉強をやり直す」と決め、2003年の終わりにジョージタウン大学の集中コースに3カ月通った。研究論文のテーマには『インドの頭脳流出と頭脳循環/インドの新経済』を選んだ。さまざまな情報をあたるうち、「これからはインドの時代だ」と確信した。
結婚式のときには「こんな国、住めない」と思っていたインドへ、自ら住みに来た自分の決意を。
嫌がる夫を絶大なるしつこさで、1年がかりで説き伏せて、インドに至らせた意味不明の衝動を。
よくやったね……と、当時の自分を褒めてやりたい。
いろいろあるが、少なくともこの国インドは、「しっかり生きねば」と思わせてくれる。何もかもが面倒くさくなることもあるけれど。この世に生を受けたからには、誰もが「ちゃんと生きよ」という使命を受けているのだと、友の死や、インドでの生活で、学ぶのだ。
さて、何もかもが面倒くさく思えてしまう昨今。過去を振り返り、褌の紐を締め直す気分で、がんばって生きよう。
🇺🇸海外生活25周年企画② アンジェラ・アキの『サクラ色』by SAREES
🇺🇸夫との出会い25周年記念企画NY編① テイラー・スイフト入る。
➡︎https://museindia.typepad.jp/2021/2021/07/ny.html
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