2012年は、バンガロールにおけるマイクロ・ブリュワリーの黎明期だった。この年オープンした4店のうちのひとつがここ。この店は、我々の新居のデヴェロッパーであるTotal Environmentのプロパティで、食と音楽が楽しめる大人のエンターテインメント空間になっている。
新居の内装を考えるに際し、この店の空間、インテリアを、もう一度見ておきたかったこともあり、ホワイトフィールド在住の友人とともに、ここでランチを楽しんだ。
何度か記したが、Total Environment創業者のカマルは、フランクロイド・ライトや安藤忠雄を愛している。夫と3人で彼とミーティングをした際、諸々交渉のはずが、共通する話に花が咲いて瞬く間に時間が経ったことを思い出す。
彼の建築にかける情熱はすさまじい。ビジネスマンというよりは、芸術家だ。無数の物件を、自分の信念を「決して曲げることなく」貫いて形にすることの、どれほどの熱意か。
自然と共存する、まさしくサステナブルな家づくりにしても、細部のこだわりがすさまじく、設計図なども恐るべき緻密さだ。
外壁の煉瓦は、中が空洞。夏は涼しく、冬は暖かくなるような構造になっている。それを一つ一つ、職人が積み上げていくのだ。高層ビルにしてもしかり。
まさに『三匹の子豚』の3番目である。
ゆえに、完成は、遅れに遅れてきた。もちろん、憤慨した時期もあったが、このごろはもう、それでもいいと思える、家づくりの情熱が感じられる。長生きすればいいだけのことだ、などと思うようになった。
店内はまた、読書家でもあるカマルの、書籍への愛もまた感じられる、本棚が麗しい。
ここのビールがまた、どれも美味なのだが、ランチタイムなのでアルコールなしのモクテルを注文。料理もまた、おいしい。
なおこの店は、空港前にも店舗がある。昨年2月に発行された、JALの『SKYWARD』のバンガロール(ベンガルール)特集でも紹介した。バンガロールと成田を結ぶ直行便が就航する直前に、ロックダウンに入ったのだ。
遠い昔のことのようにも思えるあのころの混沌。今もまだ、何も解決はしていないけれど、この世界でフレキシブルに、共存していく。
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