福岡タワーのすぐそばに、静かに鎮座するインドの神々。彼らの存在を知ったのは、2008年。福岡タワーに隣接するRKB放送を訪れたときのことだ。当時、折に触れて『中西一清のスタミナラジオ』にラジオ出演をし、インドをレポートしていた。このときは、中西さんはじめ、お世話になっている関係者各位にお会いすべく、一時帰国時に訪問したのだった。
あれから14年。中西さんは2018年に71歳で他界された。歳月の流れを思う。
このヒンドゥー教の神々はまた、1989年に開催された「アジア太平洋博覧会(よかトピア)」の名残らしい。インド館に展示されていた像が撤収されぬまま、残されたとの「不確かな情報」しか、見当たらない。
強い海風に、吹き飛ばされそうにはならないまでも、髪の毛を逆立てながら、海辺へ向かう。なんとも、いい眺めだ。お腹が空いていたので、海辺のカフェでランチをと思うのだが、3時近かったせいか、料理を出す店がない。
福岡タワーの展望台にレストランがあるだろうと、上ってみることにした。ここもまた、わたしにとって、初めて来る場所だ。
てっぺんまで含めての全長は234メートル、海浜タワーとしては日本一高い電波塔で、やはり1989年に建てられた。高さ123メートルの場所にある展望所までは、エレベーターであっという間に到着。ガラス窓越しに広がる福岡の情景がみるみるうちに遠のいて、足がすくむような思いだ。
展望所の1階下にあるカフェでランチ。あいにく、カレーライスとスパゲティ、それぞれ数種類という選択肢しかなかったものの、スパークリングワインを注文して、絶景を楽しみつつのひととき。
夫にヴィデオ・コールをしたところ、ぱっと見、ハワイ的な情景に、またしても非常にうらやましがられる。思い返せば8年前。夫と「九州一周旅行」を楽しんだ。いや、楽しむというよりは、わたしはツアーコーディネーター業でたいへんだったが、ともかく、夫は非常に喜んだ。
あのときに、東京や京都にはない、九州は外国人にも喜ばれる魅力が詰まっていると実感したものだ。外国人や海外永住日本人を対象としたジャパン・レイルパスを使えば、九州新幹線(のぞみ/グリーン車を除く)も乗り放題。あのときには、「熊本が九州旅行のハブにふさわしい」と強く感じ、月に一度のFM熊本でも力説したものだ。
その2年後の2016年、熊本は大きな地震に襲われ、熊本城を含む多くの建造物が被害を受けた。復興が進んでいるであろう現在、外国人に向けたツーリズムにも力を入れてほしいと、個人的に切望する。
我が親しいインド友らは一様に、日本に関心がある。すでに日本を旅したことがある人も多い。そんな友人らを連れて、近い将来、九州旅を実現したいと思っている。東京や京都は外国人が旅する素地が整っているし、わたしが案内することもない。
しかし九州は、自分の故郷ということもあり、愛着を持って案内できる。風光明媚な場所は多く、古来の伝統文化や日本らしい情景に満ち溢れている。山あり、海あり。料理、酒、温泉……と、魅力は尽きない。
そもそもは、旅行ガイドブックの編集者&ライターであり、視察コーディネータでもある自分のキャリアを活かしつつ、日本とインドの間で自分ができることはたくさんあるなと改めて思う今回の一時帰国だ。
●2014年、夫と九州旅をしたときの記録
✈︎https://museindia.typepad.jp/miphoneindia/japan-2014-kyushu-with-arvind/
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