【拡散希望】インドを支援🇮🇳信頼のおける寄付先紹介
全国各地で、生死のせめぎ合いが繰り広げられているインド。何らかの形で寄付をご検討の方は、坂田が主宰するミューズ・クリエイション (NGO)のブログ記事をご覧ください。
➡︎https://museindia.typepad.jp/mss/2021/05/donation.html
*1991年から1993年にかけて、東京都新宿区大久保のアパートの一部屋を編集部に、さまざまな国籍やバックグラウンドを持つ人が集い、出版していた在日外国人向け情報誌『We’re』(「わたしたち」「我們」「WE」「우리」)
🌸PODCAST/ ぜひお聞きください🌸
◉インドの現状を伝える報道のダブルスタンダード
今に始まったことじゃない。インドという多様性の巨大国家が、偏った報道のされ方で、その負の部分が強調されてきたこと。わたしが米国に住んでいたころのニューヨークタイムズなど、インドに限らず「新興国」と定義された国の、奇習や社会問題など、負の側面が取り上げられることが常だった。2003年、トーマス・フリードマンがバンガロールに駐在し、この国のIT事情や新経済の実態をレポートし始めたころから、風向きは徐々に変わったが。
しかし、このCOVID-19の第二波が襲ってからは、報道モラルの偏りが目に余る。火葬場の上空、瀕死の病人。今度は聖なる川に浮かぶ遺体か……。
インドのメディア規制が緩いが故か、センセーショナルな写真を撮り世界に拡散する諸外国メディアのダブルスタンダード。ロイターなどが配信する写真は、瞬く間に世界各国のメディアに利用される。
そういう報道が日々、日本でもなされ、インドは阿鼻叫喚の巷か。そこにあるのは、死ぞ。この国に対する敬意はないのか。同じことを他の国でやっているか。たとえば2001年9月11日。あのとき、米国は瞬時に、ビルから落下する人や遺体の写真をメディアに載せぬよう報道規制した。この国には、そのような配慮の対象外のようである。
インドは今、報道規制に対応できていない。インドが撮らせてくれるから、報道していいのか? なぜ偏って酷い場面ばかりを切り取る?
報道されている側面は、確かに現実だ。しかし、それが9割ではない。この国の、この苦境の中、日々、助け合いが広がっているからこそ、平常心でいられる。希望が持てる。瞬く間に自助、互助の輪が広がり、民間の力で救済が展開されていることを、なぜ報道しない? 回復者が多いことを、ワクチン接種がどんどん広がってきたということなども。希望より絶望が、魅力か。
一介のライターが、こんな場所で、日々記すも虚し。しかし、どんなに小人数でも、誰かの目に止まればとの思い。
この動画は、4月下旬に収録された、インドのジャーナリスト会議。彼らの声を聞くべし。あなたにメディア関係の知り合いがいるのなら、シェアしてほしい。見せてほしい。英語がわからない? さあらば、海外の報道をするなかれ。
◉16年前のカルチャーショックは、インド人に対する一部日本人在住者の態度
米国での10年間の生活を経て、16年前にインドに移住したときの一番のカルチャーショック。それは他でもない、日本人コミュニティの、少なからず駐在員やその家族の、インド人を見下す態度だ。他所様の国で、食い扶持を稼がせてもらっておきながら、その国の人間に対する無礼は、我が夫にまで及び、心底憤慨したことも一度や二度ではない。
折に触れて、ブログなどにやんわりと実情を記し、少なくともここ10年ほどは、直に不快な思いをさせられることは減った。自分が「日本人」というだけで、なぜインド人に対して不遜で傲慢な態度を貫けるのか、理解の域を超えるケースも多々見てきた。それでも、都度、若者らにセミナーを実施するなどして、異なる視点の必要性を説いてきた。
日本という島国は、その歴史的背景や地理的背景により、「異文化間コミュニケーションを苦手とする」のは仕方のないことだと思う。しかし、今の世界、鎖国しては生きられない。海外との協調が不可欠だ。少なくとも、異国に関わる人、あるいは社会的影響力大きい「情報発信者」は、自分の発信する内容を吟味する必要がある。学ばねばならない。そういう時代になっている。
◉『ナマステ・カレーポリス』の、何が、どのように、問題だったのか
さて、それでなくても、日本におけるインドの報道の「悲惨な部分の偏り」の閉口していた矢先。ご存知の通り、インドは今、全国的に厳しい状況が続いている。そんななか、日本人Youtuberらによる、インドに対して無礼な動画が拡散された。
その動画は何百万人ものインド人の目に触れるところとなり、何万ものコメントが寄せられた。その大半が、ネガティヴな反響。普段、人に謝罪を要求する国民性ではないインドの人々が、動画を消せ、謝罪せよと、ひっきりなしにコメントを寄せている。
2、3日放置されていた状況に業を煮やしたインド人たちが、インドの日本大使館に通報をし、日本大使館がFacebookを通して謝罪文を発表する事態となった。
◉インド文化を侮辱?日本人の「カレーポリス動画」が物議 現地大使館にも苦情、遺憾表明
➡︎https://news.yahoo.co.jp/articles/9a898b9c1f07214221419e42cff5a03dc3a539e1
それにしても、なぜここまで炎上したのか。通常であれば、「ステロタイプだ、仕方ない」と多くのインド人が取り合わなかったことも予測される。その大きな理由は、この動画に、200万人を超えるインド人フォロワーを持つ、日本人のYoutuberが出演していたことだろう。
ヒンディー語が話せ、インドの人たちにフレンドリーな彼の動画は、多くのインドの人々を惹きつけ、ファンを獲得してきた。その彼が、インドを蔑み馬鹿にするような動画に出演したのだ。裏切られたような思いが、怒りを増長させる。
彼は、インドに暮らし、ヒンディー語を巧みに話せていながらも、この国の文化的歴史的背景を学んでいなかったのだろう。そして、「炎上商法」で知られるようなグループと共に作品を仕上げる過程でも、その内容がどれほどの問題を孕んでいるか、想像できなかったのだろう。
日本国内では許されることでも、国境を超えると、国際問題にさえ発展することがある。いや、インド人ですら、祖国を喪う形にさえなる。
インド人の著名な画家、M.F.フセイン。インドの近代アートに貢献した巨匠で「インドのピカソ」とも呼ばれてきた。しかし彼は2006年、ヒンドゥー教の女神を「裸身で」を描いたことから多くのヒンドゥー教徒の怒りをかい、亡命を余儀なくされた。ドバイと英国を行き来する生活の果て、ついぞ母国の土を踏むことなく、2011年に他界している。
https://en.wikipedia.org/wiki/M._F._Husain
今回、「この動画の、どの部分が悪かったのかわからない」という日本人の声を多く目にした。問題点がはっきりしなければ、同じ間違いが繰り返される可能性がある。この対談(というがわたしがほぼ、一人でしゃべっているが)では、わたし個人の経験から、何がどのように問題だったのか、その背景にはなにがあるのか……についてを、語っている。
異論は覚悟のうえ。25年に亘りインド人と関わり、インド人を家族とする「ひとりの日本人の声」に、耳を傾けてほしい。日印間に限らず、日本人が異文化とコミュニケーションを図る際に心得ておいたほうがいい視点についても、言及している。
*今回語った内容に関連する情報をシェアしようと下部に添付していたら、呆れるほど膨大な量になった。情報攻撃か、と自分で突っ込みたくなるほどだが、同時に、それだけいろいろな問題がつながっているということでもある。読む気も見る気もしないだろうが、せめてこの動画制作に関わった各位には、くまなく見てほしい。
♨️炎上動画の事情がわからない方のために。このYoutuberが要点をまとめてくださっている。これだけ見ると、コメディだが……。要点がつかめすぎて、笑えない事態なんだけど笑える。
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🌿5月9日(日)の午後、急遽Clubhouseにて、この件を語った。聞き手になってくれた大森美樹さん、どうもありがとう。以下、音声とコンテンツ
🌸PODCAST/ ぜひお聞きください🌸
0:00〜
・インドのCOVID-19第二波の現状
・互助の精神の強さ。宗教やコミュニティ、貧富の差の垣根を超えて助け合う
・次々に「テクノロジーを駆使した」アナログなサポート
・感染者数は報道されているよりも、もっと多いはず
・重篤化する人の割合は低いが、圧倒的に人口
・去年の状況とは全く異なる変異株の威力。身近な感染者の状況が違う
・感染力が高い/重篤化すると治癒までの時間がかかる
・あらゆる年齢層の健康体が罹患する
・ワクチン接種の実情
・的確に情報が回り始めており、徐々に悲痛な叫びが減ってきた
6:30〜
・ピリピリした空気のなか、保護猫グループはほのぼのとしている
・インドの野良動物事情
9:00〜
🔥炎上動画についての話題開始
・坂田個人の異文化交流。海外生活25年
・東京フリーランス時代に『We’re』という四カ国語情報誌の編集
・海外生活で自分が受けてきた差別問題
・911直後、インド人たちが米国で受けた差別
17:30〜
・「ナマステ・カレーポリス」ストーリーの説明
25:00〜
・この動画の何が問題だったのか
・無知→冒涜
・インド人に対する甘え→傲慢な見下し
・家族や宗教に対する考え方など
・日本国内では炎上商法が看過されても、海外で通用しない
・食文化の冒涜 食べ物に対する粗末感
・1947年の印パ分離独立以降から、宗教間の軋轢が暴動、テロの原因
・絶妙な均衡を保ちながら、多様性の国が一つの国。奇跡的な存在
*インドで人気の日本人Youtuberが出演していたことがより物議を醸す
48:00
・よりによって、インドが苦境に陥っているときに、不快な動画を投下
50:00
・偽善ではない。せめて善を装いましょう。「装善」
56:00
・この動画によって起こりうる負の連鎖
・わたしたちは、どう在ればいいのか
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📻トピックに出た話題に関連するブログや記事、関連情報など
🇯🇵わずか1週間で準備完了! 日本がテーマのヴァレンタインズ・デー
➡︎https://museindia.typepad.jp/2021/2021/02/valentines.html
◉いかなるときにも揺るがぬ猫愛。猫煩悩ご近所WhatsAppグループで和む日々。
➡︎https://museindia.typepad.jp/2021/2021/05/cat.html
◉在日外国人向け四カ国語情報誌『We're』(1991〜1993)
➡︎https://www.thirdeye.jp/magazines
◉李良枝李 良枝(イ・ヤンジ)『由熙』(ユヒ、유희)で第100回芥川賞を受賞
➡︎https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E8%89%AF%E6%9E%9D
◉インドで延々と続いてきた宗教の争い
➡︎https://museindia.typepad.jp/2019/2019/11/ayodaya.html
◉北東インドの若者たちの悲哀
➡︎https://museindia.typepad.jp/indiamedia/2012/05/my-entry.html
【拡散希望】COVID-19禍のインドをへ支援をお考えの方、こちらをご覧ください
🇮🇳信頼のおける寄付先紹介 by ミューズ・クリエイション (NGO)
➡︎https://museindia.typepad.jp/mss/2021/05/donation.html
*『We're』最終号(1993年12月)。28歳の坂田とその文章。
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◉坂田がインドで発信を続ける背景
➡︎http://www.museindia.info/museindia/bangalore-intro.html
◉異国に暮らし働くことについて。坂田の個人的な体験と、伴う私見
➡︎http://www.museindia.info/museindia/bangalore-personalmatter.html
わたしは、1988年に海外旅行誌の編集者となり、以来、海外取材を重ねてきました。1996年に米国へ移住してからは、20年以上に亘り、海外に暮らす日本人関わり、その心の問題に、思いを巡らせる機会がありました。思い返せばわたし自身、経験を重ねるに伴い、物事の見方や考え方が変化してきたように思います。私事ながら、この項では、今のわたしがミューズ・クリエイションを創設したり、日本人の駐在員夫人と活動を共にしはじめた契機となった出来事のいくつかを、書き残しておきます。
CONTENTS
●永遠の夏。シンガポールの日本料理店にて(1989年)
●焼き餃子を巡る記憶。北京の中国料理店にて(1991年)
●人の死に思う。異国に暮らし働くということ(2012年)
●ハドソン川を渡れなかった駐在員夫人たち(1999年)
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【インド・ライフスタイルセミナー/インドを発信する方には、ぜひ見ていただきたいシリーズ】
●パラレルワールドが共在するインドを紐解く/セミナー動画
①多様性の坩堝インド/多宗教と複雑なコミュニティ/IT産業を中心とした経済成長の背景/現在に息づくガンディの理念
②「広く浅く」インドの歴史(インド・パキスタン分離独立)/インドの二大政党と特筆すべき人物/テロが起こる理由とその背景
③明治維新以降、日本とインドの近代交流史〈前編〉人物から辿る日印航路と綿貿易/からゆきさん/ムンバイ日本人墓地/日本山妙法寺
④明治維新以降、日本とインドの近代交流史〈後編〉第二次世界大戦での日印協調/東京裁判とパール判事/インドから贈られた象/夏目漱石
⑤ インド国憲法の草案者、アンベードカルとインド仏教、そして日本人僧侶、佐々井秀嶺上人
【インドの富裕層、アカデミック層の人々についても知ってほしい】
みな我々夫婦の友人、知人です。去年のオンライン・イヴェントに協力してくれた尊敬すべき人々のなかの、ごくごく一部です。動画概要欄にも彼らのことを記しています。
●ドキュメンタリー/久しぶりに集った盟友8人。親日派の彼女たちに聞く日本旅エピソード(インド富裕層のライフ)
●多文化の国インドに生きる/父はスィク教徒、母はキリスト教徒、夫はヒンドゥー教徒……シブの物語
●神戸で生まれ育ったムンバイ在住のインド人女性たち/日本唯一のジャイナ教寺院を神戸に建立/おいしい豆腐が食べたいあまり、ムンバイで防腐剤不使用の豆腐を販売
●高品質オーガニックコーヒーを生産するソーシャルアントレプレナー。アラク・コーヒー創業者マノージが語る日本との関わり
●インド初、酪農家を支援し、乳製品の品質向上を目指すスタートアップ、ミルク・マントラ。ソーシャル・アントレプレナーシップのその背景
【上記対談の中で出てきた話題の関連動画】
●「バンガロールのゴミ問題」に向き合おう! 地球環境の負担を減らすためには、先進国、新興国を問わず、まずは「捨てるゴミ」を減らすことが重要。
●インド各地から108のヴェンダーが集結。手工芸品バザールの様子をレポート
●インドにおける新型コロナウイルス感染症の現状と背景(2020年6月1日)
●ミューズ・クリエイション8周年記念動画 ①創設背景 ②慈善団体訪問 ③イヴェント
【2007年から5年間、西日本新聞に毎月連載した記事66本からピックアップ】
この古い記事を、敢えて今、シェアする。日本人がインドに対して持つイメージは、10年以上前からほとんど変わっていない……というよりも、何も伝わっていないだろう。伝わる必要もないのだろう。一方、この10年の間にも、筆舌に尽くし難い、インドライフは変貌を遂げてきた。
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