↑インディラ・ガンディ元首相と、夫の祖父、Dev Datt Puri.
今日の記録はまた、いつもにも増して、超絶マイノリティ志向。関心を持つ方が稀なのは承知のうえで、今日も今日とて、記す。
2013年、『インド・ライフスタイルセミナー』と称し、インドの歴史や文化、日常生活など、多岐に亘るセミナーを本格的に始動して8年。
歳月を重ね、知見が増すに比例して、資料はどんどん厚くなり、情報の取捨選択を迫られる。
図らずも、COVID-19世界に移行したことで、オンラインセミナーが実現し、それをYouTubeでアップロードすることにより、同じ話を何度も繰り返す必要がなくなった。同時に、新たな情報を次々に吸収し、整理することができる。
わたしにとって、これは画期的な転機だった。
これまでブログなどを通して、折に触れて記す以外に伝達する手段のなかった事柄にさえ、光を当てたくなる。
なかでも、常にわたしが関心を持っているのは、我が夫の親族や友人など、身近な人たちを巡る物語だ。どんな書籍にも記されていない、しかしストーリー性の強い人生を送る人々。
「身内/友人の自慢話」といった、生温い領域のものではない。しかも、「数人程度」ではない。身内云々を超えて、特筆すべき偉大な人たちが、わたしの身近には何十人もいる。
職業柄、取材したい、取材したいとの思いを募らせながら、今日まで来ている。
中でも、夫の母方の祖父と曽祖父は、印パ分離の歴史において、刻まれておくべき人物だと確信する。しかしながら、セミナーなどでちらっと言及したところで、背景を知らぬ人たちに、彼らの存在が、いかに稀有であったかを、理解してもらうのは難しい。
そもそもこのテーマ、たとえインドに関わりのある人たちからでさえ、関心を持たれることは稀だ。
ゆえに、これまで幾度となく存命の関係者をインタヴューしようと思ってきたにもかかわらず、実行に移さぬまま、今日まできている。
そのあいだにも、一人、二人と、この世から去っていく。
昨日、Clubhouseにて、『インド独立の志士/朝子』の著者である笠井亮平さんと言葉を交わす機会があった。かつてインドに駐在され、現在は、日印を結ぶべく活動を積極的にされている丹治大佑さんの立ち上げた「日本とインドの架け橋」のクラブで、お話しをされていたのだ。
📕『インド独立の志士/朝子』
AMAZON.JP
1945年5月、チャンドラ・ボースと、その側近だった父サハーイの影響を受け、インド国民軍婦人部隊に入隊した「朝子」ことアシャ。日本で生まれ育ち、若くしてインド独立運動に身を投じた彼女とその家族の数奇な運命を通して、気鋭の研究者が日印関係史に新たな視角をもたらした傑作ノンフィクション。(Amazonより抜粋)
わたしは同書を読み、セミナーの中でもご紹介している。そんな話も含め、印パ分離独立の時代を生きた曽祖父や祖父の話をごくかいつまんで簡単に説明したところ、笠井氏も関心を示された。
その場にいた方も、何人かは、興味を持たれたかもしれない。
インドの今を知る際に、歴史を知ることは重要だ。過去を知ることで、今に連なる世界を理解しやすくなる。などということを、何度となく言い募る歳月よ。
改めて、身内云々を超えて、できる限りを取材し、書き残しておくべきではなかろうかと、今回ばかりは、強く思った次第。
無論、あまりにも取材対象が多すぎて、わたしの一人の人生では到底、追いきれない、封印された歴史が埋没している。
今まで本腰を入れずにきたことに、これからは向き合っていかねば。ひとまずは来週、デリーの伯父にインタヴューすることにした。本当は1年前、義父が他界したことから残されたデリーの実家(現在は我々夫婦の家)で過ごすべく、頻繁にデリーを訪れる予定だった。自由に飛べない昨今、できることから始めたい。
加えて、先ほどから、夫から聴取しつつ「家系図」を作り始めた。
特筆すべき背景を持つ人ばかりの一族の中に、唯一、毛色の違う日本人の自分が紛れ込んだことの違和感を、視覚で認識。改めて衝撃を受けつつ「こらやっぱ、わたしもなんかせないかんやろ。」と、なぜか博多弁で思うのだ。
取り敢えずは、「公的な情報」が主なセミナーの動画を以下、転載する。同時に、ごくごく断片ながらも、我がインド家族のエピソードを記したブログも記しておく。
◉Activity Record of Muse Seminar セミナーの実施記録
夫の一族は、インドには珍しい小家族の集まり。一人っ子、子どもがいない夫婦も少なくない。幸か不幸か少数精鋭なので、家系図も入り組みすぎないですみそうだ。
取材し記録したい人々数十名のうち、ひとまずは母方の曽祖父、祖父についてを調べる予定。わたしが知る限りのバックグラウンドを列記するだけでも、熱い。
◉母方の曽祖父/Rai Bahadur Babri Das
・Rai Bahadarとは、英国統治時代、帝国への奉仕や公共福祉に貢献した人物に与えられた名誉の称号
・ラホール(現パキスタン)出身
・ラホール最高裁の弁護士。パキスタンの父ジンナー(元はコングレスに所属)が弁護士だった時代、ムスリムとスィク教徒の聖地紛争で闘い、ジンナー側のムスリムに勝訴。→Shaheed Ganj Mosque
・パンジャブ・ナショナル銀行の創業メンバー
・1881年パンジャブ州ラホールで創刊された新聞「ザ・トリビューン紙」の創刊メンバー
・Doaba Collegeはじめ複数の大学や教育機関の創設メンバー
・印パ分離独立時の裏事情に精通していたが、家族には一言も漏らさず。ラホールでの裁判のミッションを終えて後、家族がすでに移住していたデリーに移る。
◉母方の祖父/Dev Datt Puri
・ラホール出身、事業で財を築く
・フリーダムファイターを志すも、マハトマ・ガンディの影響を受け平和運動家に
・ヤムナナガール創業の、英国統治時代の製糖工場を受け継ぐ
・鉄鋼会社ISGEC創業(古くから日本企業との関係がある。現在、製糖工場と共に夫の従兄弟が経営。日立造船と合弁会社も設立している)
・インド製糖協会(ISMA)会長
・ILO (International Labour Organization)のインド代表。スイスへもよく訪れた。
・コングレス(インド国民党)政治家。ローク・サバー(連邦議会下院)、ラージヤ・サバー(連邦議会上院)双方の議員を経験
・印パ分離独立時の『007』並の国境越えエピソードなどは、ブログの記事にて軽く言及している。
・軍医だった義兄(姉婿)は、第二次世界大戦中、マレー半島のコタバルで日本軍の攻撃により戦死。
・晩年、ロンドン滞在中、心臓発作で客死。そのエピソードもまたドラマティック……。
🇮🇳🇵🇰印パ分離独立を巡る、ドラマティックな祖父の人生 (1)
https://museindia.typepad.jp/2020/2020/02/delhi02.html
🇮🇳🇵🇰印パ分離独立を巡る、ドラマティックな祖父の人生 (2)
https://museindia.typepad.jp/2020/2020/02/delhi03.html
[Memories with Papa 05] 散骨の長距離ドライヴ。家族のルーツを辿る旅
https://museindia.typepad.jp/2020/2020/01/papa05.htm
📷3月9日は1年前に他界した義父ロメイシュの誕生日。アルバムに滲むインドの歴史。家族の肖像。
https://museindia.typepad.jp/2021/2021/03/papa.html
🇮🇳パラレルワールドが共在するインドを紐解く①
多様性の坩堝インド/多宗教と複雑なコミュニティ/IT産業を中心とした経済成長の背景/現在に息づくガンディの理念
◆はじめに/異国と関わるに際して
・固定観念や既成概念に囚われず聞いてください
・18世紀ムガル帝国時代、インドは世界で最も繁栄していた
・自分が見ているインドは氷山の一角(たとえば、富士山)
・インドの位置。日本の位置。
・15〜17世紀/大航海時代の地図
・日本とインドの相違点/あくまでも大雑把な傾向
・コミュニケーションの基本的傾向が両極端の日印(ハイコンテクスト vs ローコンテクスト)
◆多様性の坩堝、インド
・国土と人口/日本との比較
・インドは一国で、欧州連合(EU)のようなもの
・インドの多様性を構成する要素
◆インドの宗教と、複雑なコミュニティ
・インドの宗教
・異教徒が共存する日常生活 〜質疑応答〜
・多様性の要素/宗教、地方、コミュニティ、カースト(ジャーティ)〜質疑応答〜
・パールシー(ゾロアスター教)の人々
・パールシーの伝統刺繍
◆IT産業を中心とした経済成長の背景
・印パ分離独立直後の産業基盤作り。未来見据えてIIT創設
・欧米諸国への「頭脳流出」から「頭脳循環」へ
・インド市場が世界の注目を集め始めた2000年代
◆現在に息づくマハトマ・ガンディの理念
・ガンディとは/真理の主張〈サティヤグラハ〉の軸となる非暴力〈アヒンサー〉
・インド独立運動とガンディの活動(モディ首相が踏襲するガンディの理念)
・ガンディが提唱した「カーディ KHADI」
・現在のMAKE IN INDIAに連なるカーディ
・機械への狂信と、ガンディの考え方
・現代に生きる、ガンディの言葉(耳が痛い!)
🇮🇳パラレルワールドが共在するインドを紐解く②
「広く浅く」インドの歴史(インド・パキスタン分離独立)/インドの二大政党と特筆すべき人物/テロが起こる理由とその背景
◆はじめに/今回の内容について
・なぜわたしが、歴史を知っておくに越したことはないと熱く語るのか。その理由と背景
(1988年、初の海外取材先である台湾でのエピソードに遡る)
◆インドの歴史 その概観
・インドの歴史① 1947年の印パ分離独立以前
・18世紀ムガル帝国時代 インドは世界で最も繁栄
・ムガール帝国宰相が創始した「ハイデラバード王国」
・英国統治時代のインド帝国の地図 1931年
・1947年 印パ分離独立後の地図の変化
・インドの歴史② 1947年の印パ分離独立以降
・今日まで延々と続く「印パ分離独立」の大いなる余韻
◆インドの政党と、その歴史的背景
・政党① インド国民会議派/コングレス
・政党② インド人民党/BJP
・インド・パキスタン分離独立に関わった主要人物
・国民会議派の主要人物 ①マハトマ・ガンディ
・国民会議派の主要人物 ②ジャワハルラール・ネルー
・国民会議派の主要人物 ③ヴァッラブバーイー・パテール
・国民会議派の主要人物 ④ムハンマド・アリー・ジンナー
・英国インド最後の総督 ルイス・マウントバッテン
・ダリット出自の偉人 ビームラオ・アンベードカル
・ネルー首相の長女、インディラ・ガンディ元首相
・インディラ・ガンディの長男、ラジーヴ・ガンディ
・ラジーヴ・ガンディの妻、ソニア・ガンディ
◆インドで起こるテロの背景
・インドで起こってきたテロ/衝突の要因
・❶イスラム過激派「ラシュカレ・トイバ」
・❷スィク教とブルースター作戦(黄金寺院事件)
・❸インド共産党毛沢東主義派/ナクサライト
・❹タミール・イーラム解放の虎
・ヒンドゥー vs ムスリム聖地争い/アヨーディヤー
・アルヴィンド(夫)の親族を通して知るインドの歴史
・おすすめの映画① 英国統治時代と印パ分離独立
・おすすめの映画② 印パ分離独立後のテロ攻撃
🇮🇳パラレルワールドが共在するインドを紐解く③ 〜前編〜
明治維新以降、日本とインドの近代交流史〈前編〉人物から辿る日印航路と綿貿易/からゆきさん/ムンバイ日本人墓地/日本山妙法寺
【歴史にみるインドと日本の関係 〜前編〜】
◎明治維新以降の、日本とインドの近代交流史、断片①
●2004年、坂田、初のムンバイで引き寄せられる縁
●ジャムシェトジー・タタ/1839~1904
・英国統治下「インド人の誇り」を具現化
・ホテルの逸話とムンバイ同時多発テロ(2008年11月26日)
・ムケーシュ・アンバーニ邸とヴァーストゥ・シャーストラ
●渋沢栄一/1840〜1931
●「綿」で結ばれた、インドと日本のビジネス
●岡倉天心/1863〜1913
●ラビンドラナート・タゴール/1861〜1941
・1916年、タゴールが初来日した際の写真
・ラビンドラナート・タゴール「果物採集」より
◎明治維新以降の、日本とインドの交流史、断片②
●からゆきさん 〜人身売買〜
●島木ヨシ/1886年〜
・ムンバイの日本人墓地 1908年(墓標は1891年〜1935年)
●藤井日達/1885〜1985
・ムンバイの日本山妙法寺
・坂田の父方祖母と、父と、日蓮宗。そしてインド
・藤井日達上人と、わが祖母(坂田政子)
・坂田とムンバイの日本山妙法寺、そして日本人墓地
・ムンバイ郊外、見晴らしのよい「カンヘリ仏教遺跡」偶然、見つけた「南無妙法蓮華経」
・ダラムサラにて、ダライ・ラマ法王14世と面会
🇮🇳パラレルワールドが共在するインドを紐解く③ 〜後編〜
明治維新以降、日本とインドの近代交流史〈後編〉第二次世界大戦での日印協調/東京裁判とパール判事/インドから贈られた象/夏目漱石
【歴史にみるインドと日本の関係 〜後編〜】
・スバス・チャンドラ・ボース/1897〜1945
・日本軍の後押しで誕生したインド国民軍 (INA)
・ラース・ビハーリー・ボース/1886〜1945
・A.M.ナイル/1905〜1990
・インパール作戦 1944年3月〜7月
・メディアや書籍で知る日印の協調とインパール作戦
・第二次世界大戦後。東京裁判と靖国神社とパール判事
・『東京裁判~人は戦争を裁けるか~』2016年/NHKドラマスペシャル
・ラダ・ビノート・パール/1886〜1967
・巣鴨拘置所/現サンシャインシティと東池袋中央公園
・ネルー初代首相が上野動物園に贈った象のインディラ
・娘だけではない。希望と慈愛、そして太陽も。
・夏目漱石の生きた明治時代。
・夏目漱石は英国留学時から、明治維新以降の日本の「盲目的な西洋追従」に対して危機感を抱いていた。
・第七夜。 夏目漱石『夢十夜』(1908)より一部抜粋
・囚われちゃ駄目だ。 夏目漱石『三四郎』(1908) より一部抜粋。
🇮🇳パラレルワールドが共在するインドを紐解く④
インド憲法の草案者アンベードカルと仏教/壮絶な使命を遂行! 半世紀以上に亘り、虐げられし民を救済する僧侶、佐々井秀嶺のすさまじき足跡。
●仏教の概要(アンベードカルと佐々井秀嶺上人を知るために必要な最低限の情報)
・仏教のはじまり(初期仏教)
・仏教の源泉と広がり(上座部仏教/大乗仏教)
・日本に伝来した仏教。その背景
・仏教の教え(苦の輪廻からの解脱)
・インドにおける仏教(誕生と繁栄、衰退、そして復興)
●アンベードカルについて
・アンベードカルの略歴
・アンベードカルの活動とその偉業の断片
・アンベードカルとガンディ。カースト制度をめぐる対立
・アンベードカルとインド国憲法
・アンベードカルと仏教
・インドの中心点、ナーグプル。蛇(龍)という名
・ナーグプル市は仏教徒が非常に多く、識字率が高い
●佐々井秀嶺上人について
・インドに至るまでの経緯
・南天龍宮城へ行け。龍樹のお告げ
・坂田の祖母の話
・龍樹(ナーガルジュナ)とは?
・大日如来とは?
・南天鉄塔とは?
・佐々井秀嶺上人の主な活動
・仏陀聖誕祭、佐々井秀嶺上人にご同行/坂田マルハン美穂、ナーグプル旅
・佐々井上人によって発掘された2000年以上前の仏教遺跡「マンセル遺跡」
・早朝から深夜まで。仏陀聖誕祭に因んでのイヴェントにご同行
・佐々井上人のことば
・佐々井秀嶺上人の現在/2020年に新型コロナウイルスに感染されるも、使命を遂行されている。ご縁を受けた者に、なにができるのか。
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