今年に入ってから、旅をする機会が増えている。誕生日の週末もどこかへ行こうかと夫から提案されたが、わたしは近場で気分転換ができれば十分だと思っていた。そもそも、平日はバンガロールの中心部にある旧居、休日は空港近くの新居を往来する日々。落ち着きがない。
旧居から新居までは、道路交通事情にもよるが、車で北へ約40〜50分程度。このリゾートまでは更に北へ40分ほどの距離だ。
かつては、閑散としていた北バンガロールは、過去10年でみるみるうちに変貌している。特にデヴェロッパー大手のPrestigeグループやEmbassyグループの手がける高級住宅地が次々に誕生し、空港周辺のトラフィックを加速してきた。今ではもう、さまざまな不動産会社が雨後の筍のごとく、開発を進めている。
特にPrestigeグループが、2011年、このナンディ・ヒルズにPrestige Golfshireというゴルフコースと住宅地のコンプレックスを構築してからは、北部の開発が加速されたように思う。PrestigeグループとJWマリオットは提携していることから、ゴルフコース内にもスケールの大きいマリオットのホテルがある。
わたしたちが今回滞在しているリゾートは、ゴルフコースから車で5分ほどの場所にある、やはりマリオットの経営するMulberry Shadesというホテルだ。こちらはこぢんまりと、アットホームな雰囲気が漂う、真新しいリゾートだ。以前から気になっていたので、ここで過ごそうと決めたのだった。
ナンディ・ヒルズに近づくと、空気が変わる。
以前は「いい感じ〜」くらいにしか思っていなかったのだが、今回は明らかに、異なる力を感じた。去年の誕生日はタミル・ナドゥ州にある霊山、アルナーチャラの麓で過ごし、山の周辺14kmを、都合2周もするなど、よくわからない衝動を起こしたものだ。あのときは、パワースポットのパワーを浴びすぎた気がする。
その後も再訪し、またしても14km歩いた。自分でも、その衝動がよくわからない。
そして昨日。山を仰ぎつつ、ここは「いい感じ〜」を超越する力を感じた。懐かしさも感じる。ナンディ・ヒルズ。かなりのパワースポットではあるまいか。実際、山の頂上や、周辺にも寺院は点在している。あいにくここ数日は曇天で、ピクニック日和とは言い難いが、2泊3日の滞在中、寺院に足を伸ばしてみようと思う。
天気がよければ、日の出を見に行く……ということも考えていたが、明日の朝も曇天らしいので、それはまた別の機会に。
昨日の朝、夫が花を注文してくれていた。美しいアレンジメントを家に置き去りにするのは惜しく、ニューアーク・ミッションでいただいた花と一緒に、車に積み込んでホテルに持ってきた。それらを部屋に飾る。テーブルには、誕生日ケーキなども用意されている。
わたしがここに滞在していることを知ったPrestigeグループの友人Anjumが、ワインやアペタイザーなども届けてくれる。本当にありがたく、うれしい。
夕食は、ホテルがアレンジしてくれる車でPrestige Golfshireまで赴き、EASTというオリエンタルレストランで夕食をとった。やはり、Anjumが個室を準備してくれていて、スタッフが歓待してくれる。広すぎるほどの贅沢な空間。シェフに味付けの好みなども伝えて、ヘルシーに美味な点心や、魚料理などを楽しんだ。とてもおいしかった。
日本に生まれ育ち、米国を経て、インドに暮らすことになった自分の命運。せめて誕生日くらいは、その意味を、しっかりと考え、噛み締めよう。
異邦人であるわたしを受け入れてくれるこの国と、我がライフを取り巻く人々に感謝しつつ、この先の一年もまた、大切に過ごす。
みなさん、ありがとうございます。