わたしはもう、特段、しばしば食べたいとも思わないのだが、夫は別だ。マンゴーのシーズンになると、取り憑かれたように、各種マンゴーを食べたがる。
ムンバイに行けば、アルフォンソ・マンゴーを箱買いしてくる。
バンガロールでは、旬のマンゴーを青果店で尋ねては「ベストなもの」を買って来る。普段、自分で食品を買うことなどない人だが、マンゴーだけは別なのだ。
先日、デリー出張から戻って来た夫。片手に箱を携えている。
「今年最後の、おいしいマンゴーだから。ラングラ・マンゴーだよ」
開封すればたちまち、キッチンいっぱいに、甘く華やいだ香りが立ちこめる。
緑色でも、しっかりと熟している。
ナイフを入れれば果汁のしたたり、思わず味見と立ち食いすれば、その芳しき果実。
これから数日は、日々、1〜2個ずつ。