もう、世間は早い時期から動き始めているのだが、我が家はすっかり外食から遠ざかっていた。
しかしもう、そろそろ外へ出て、共存を加速せねば。
日本人の友人夫妻とともに、TAJ MG ROADにオープンしたばかりの 7 Rivers Brewing Companyへ。
このホテルも、15年前とはすっかり様変わりしてしまった。ここはかつてICE BAR があったところだ。
惜しむらくは、お気に入りだったダイニング、GRAZEがなくなったこと。
そのかわりに、カフェレストランが大規模化し、極めて開放的かつモダンになった。
他の外資系ラグジュリアスホテルとの差別化が図りにくい、すなわち「似たり寄ったりで特徴のないおしゃれな感じ」になってしまった。
あの、独特のコージーな感じ、パーソナルなサーヴィス、おいしい料理が好きで、ヴァレンタインズデーやバースデーなどに、よく利用していたのだが……時代は流れる。
たまたま、注文を取りに来てくれたマネージャーらしき女性。この店は先月オープンしたばかりで……などと話を聞きながら、「GRAZEがクローズしたのは、本当に残念でした」話題を持ち出した途端、彼女の表情がエモーショナルになった。
彼女はGRAZE創設時(十数年前)の立ち上げメンバーとして、ずっと裏方でマネージメントをしてきたらしい。相当、愛おしく思っていた店のようで、閉店は不本意だったよう。
無念さを滲ませつつも笑顔で、しばしGRAZEのお気に入りメニューなどについて、語り合う。
ビールは現在、3種類しか準備できていないとのことで、まずはテイスティングから。3人とも、American Pale Aleが気に入って、追加注文。
アーリーバードな5時半ごろに集まって、軽食をつまみながら、会話は尽きず……。
思えばこんな風に、リアルに人と会って、飲みながら、食べながら、日本語でゆっくりと語り合うことは、本当に久しぶりだったと思う。
もちろん、話が通じ合う人たちとの会話だったからこそ、よりいっそう、とめどなかったのではあるが。
モンスーンの時期でもないのに、このごろはまた雨が多く、豪雨がプールの水面に打ち付けて弾き、時間の感覚も、季節の感覚も、混沌として心もとなく。
気がつけば10時半ごろだったか。ホテルを出れば、帰路の道路は各所で水没。まさに川面を走るような塩梅で。
他の国のことは、他の都市のことは、わからない。
しかしもう、ここは動いている。早くから動いている。
わたしも、自分なりに注意を払いつつ、フィジカルに動き出そうと思う夜。