如月も下旬となりて。バンガロールの日差しは日増しに鋭くなり、空気は乾き、そしてマンゴーが店頭に並び始めた。いずれのマンゴーも、旬と呼ぶにはまだ早く、しばらくは見守る。
今はまだ、イチゴが出回っているので、イチゴがおいしく食べられるおやつを作る。写真は金曜日に行った『インドでの食生活と健康管理』のセミナーの、ティータイム用のお菓子。
今回は、おなじみカスタードクリームのタルトに、イチゴの軽く砂糖で煮込み、と、バナナと生クリームを自分でトッピングしてもらう。人気のデザートだ。
インドの食材でも十分においしい料理が作れるということを語るが故、資料だけを渡すより、味わってもらいたいとの思いである。インドの小麦粉、バター、砂糖、卵、牛乳、生クリーム、ヴァニラビーンズ、ラム酒、イチゴ、バナナ。ごく限られた食材で、しかし安心できる品質のものを選べば、十分においしいものを作ることができる。
ちなみにインドのイチゴは、酸っぱいだのふぞろいだのと、評判が悪い。しかし、オーガニックの無精製の砂糖をふりかけ、数十分、軽く煮込むだけで、本当に濃厚に風味豊かなイチゴのソースができ上がる。工夫次第で、素材は生きるのだということを知るのも、大切なこと。
決して「洗練された味」ではない。見た目も、麗しいとは言い難い。しかし、素朴に素材の味がおいしいおやつを、作ることができる。
思えば日本に住んでいたころ(といっても、お菓子を作っていたのは中高生のときだった)は、見た目の美しさに拘り、クッキーにせよ、タルトにせよ、きれいにデコレーションをすることにも専心していた。
しかし、米国に暮らし、マーサ・スチュワートや、ジュリア・チャイルドのレシピなどを見るにつけ、素朴な母の味」を思わせるお菓子作りに、心を動かされるようになった。そういえば、リンゴのおやつをしばらく作っていない。イチゴの季節が終わるころ、少しリンゴものを作ってみよう。