火曜の午後、外出の帰りにオーガニックショップに立ち寄る。火曜と金曜は新鮮野菜が近隣の農家から運ばれているからだ。しかし、少し時間が遅かったせいか、めぼしい野菜が見当たらず。ピーマン3つと、朝ジュース用のニンジン、ザクロ、トマトだけをカゴに入れる。
車中で、急に「パクテー(肉骨茶)」が閃いた。シンガポールの料理だ。作ったことはないのだが、スペアリブがあれば、なんとかなるだろう。ということで、ついでに近所のポークショップに立ち寄ってスペアリブを購入。なぜか、イングリッシュ・スペアリブと、チャイニーズ・スペアリブの2種類がある。
どう違うのか、と問うたが、「今はこれしかない」とチャイニーズ・スペアリブを出されたので、やむなくそれを購入。多分、大きさが違うのだと思う。わたしが買ったのは短めだった。
レシピをいろいろ検索するが、これ、といったものが見つからない。「パクテーの素」を使ったレシピなどが堂々と載っている。それは、ない。
ともあれ、家にあるスパイス類を適当に入れてみる。圧力鍋を使うと早いらしいが、いつもの巨大ルクルーゼで作ることに。
入れたのは、塩、そして生姜、ニンニク(房ごと)、クローヴ、シナモン、八角、黒粒胡椒など。中国的薬膳もインド料理も、似たようなものである。いずれも身体を温める「ガラム・マサラ」だ。
ちなみに八角以外は、すべてインドで購入したスパイスだ。
スペアリブはさっと熱湯をくぐらせて洗ったあと、鍋に入れる。そして1時間あまり、ひたすら煮込む。灰汁はこまめに取り除いていると、やがて、出なくなる。
肉を煮込んでいる間に、もう一皿。
しかし、野菜がほとんどない。冷蔵庫を開けたら、そこには解凍されたイカが! しまった。今日はイカでなにかを作るはずだったと思い出す。仕方ない。取り敢えず、輪切りにして茹でる。
なんとも、困った取り合わせ。これはもう、サラダにするしかないだろう。というか、ほかに閃かなかった。
オリーヴオイルと塩こしょうで味付け。それなりに、さっぱりと美味である。
鶏肉に比べると、スープの味が出ないなあと、味見をしているときは思ったが、時間がたつにつれて、風味が出て来た。が、もちろんこれだけでは味が足りないので、しょうゆ、バルサミコ酢を加える。
すると、鶏ガラスープ同様、劇的においしくなった。これはいい。
またしても、簡単でおいしい料理の完成だ。もう少し時間をかけて煮込むと、よりいいのかもしれない。今度試してみよう。
これは、たっぷり作っておけば、いつものように「翌日ランチのラーメンに」も好適である。パクテー。これもまた、我が家の定番料理のひとつになりそうだ。
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ちなみに、スペアリブは脂が多いので、そうそうたくさん食べられるものではない。翌日のランチ分を除いて、残りは冷凍保存した。冷凍すると味も栄養も落ちるが、まあ、時にはよいというものである。