数週間前のわたしは、まさか自分が、こんなにも立派な感じの「とんこつラーメン」を、自分で作るに至るとは思わなかった。図らずも、成り行きで、久しぶりに「熱意を込めて」料理に取り組んだ気がする。
Facebookに、ほぼ発作的に、このようなコメントを投稿したのは、7月16日のことだった。
そもそも、とんこつラーメンが好きではあったが、「もんのすごく好き」というわけでは、なかった。ところが、インドで入手できる素材を使い、健康的でおいしいスープが作れるということがわかって、急激に愛着が増した。今後、とんこつラーメンに対し、真摯に取り組んでみたいとの思いが生まれてしまった。
研究会発足を発表した翌朝。7月22日に予定されていたウイスキー蒸留所見学が、先方の都合でキャンセルになってしまった。たまたま蒸留所見学を希望していた人と、「バンガロールとんこつラーメン研究会」に参加表明をした人が重なったことから、急遽、22日に第1回研究会を実施することにした。
まず最初に謝っておきたい。「わたしも入りたい!」という人に、当初は「今度ね〜!」と軽く答えたが、撤回せねばならない。
第1回研究会を終えた今、頻繁にメンバーを変えて実施するのは困難である。今回、9人の参加予定が、都合で7人となったのだが、味見をしつつ落ち着いて研究するのに、ちょうどよい人数だった。無論、我が夫は研究には加わらず、試食会のみの参加だったことから、キッチンは6名だった。
これまでの調理実習の経験からも、「最大10人」と見ている。ゆえに次回の開催時、欠員が出た場合のみにおいて、希望者にお声をおかけしたいと思う。
さて、「バンガロールとんこつラーメン研究会」を結成するにあたり、簡単な「骨子」を作った。「豚骨」だけに骨子。
以下、拡大してお読みいただきたい。
★ここでひとつ断っておきたい。最近ではうまみ調味料とか、調味料(アミノ酸等)と記されているMSG(グルタミン酸ナトリウム)系の調味料。日本では広く普及しており、実に多くの加工食品、調味料などに使用されている。うまみ調味料をして、「天然の素材を使った発酵調味料」とも定義づけられているようだ。
その事実に関し、とやかくいうつもりはない。MSGは日本の食卓に遍く浸透しているものであり、避けての食生活は非常に難しい。わたしの干渉すべきところではない。
わたしはインド移住以来、なるたけ自然の食材を、最低限の味付けで調理するようになった。その結果、MSGが、わたしの味覚にも身体にも合わなくなったことから、摂取を避けるようになった。ゆえに、上記のようなルールを決めた。そのコンセプトに関心のある人たちが、今回は集っての研究会となった次第だ。
開催前の数日前に「メッセンジャー」にて研究会のグループを作り、以降、参加者でやりとりしつつ(わたしはLINEをやっていない)、役割分担などを決める。
************************************
◎第1回:とんこつラーメン研究会
●日時:7月22日(土)午後3時〜
●場所:坂田マルハン宅
●会費:500ルピー(ミューズ・クリエイションへの寄付)
《準備するもの》
・とんこつスープのベース、塩や醤油など(坂田)
・鶏ガラスープ(坂田)
・なんちゃってチャーシュー(坂田)
・味玉(坂田)
・マー油(Kasumi)
・ワイン(Kiyone)
《おしらせ》
・空きっ腹だとガツガツ食べる恐れがあるので、一旦ランチを済ませ胃袋を落ち着かせてからご来訪ください。
・ラーメン以外にも飲食を楽しまれたい方、つまみ、おかず、アルコール類など、なんでも持ち寄り歓迎です!
************************************
さて、スープ&チャーシュー担当のわたしは、前日の金曜より、材料を仕込む必要がある。さらには「味玉」担当だった参加者がキャンセルとなったことで、味玉も作ることになった。
どう考えてもわたしの負担が大きすぎじゃないか!
と思うが、まあ1回目だし、様子見である。ところでわたしは「味玉」という存在を知らなかった。「味付けをした味噌をボール状にしたもの?」とか勝手に想像していたのだが、ネットで調べたら、味を付けたゆで卵ということがわかった。
日本を離れて20余年。それなりに、日本に疎いのである。ともあれ、ゆで卵を味付けするだけなら、準備も簡単だ。
チャーシューと味玉の仕込みは、木曜の夜にすませておいた。
●7月20日(木)下準備その1:チャーシューの仕込み、味玉作り
皮付きの豚バラ塊肉は、2キロ。多すぎるが、余れば山分けすればよい。骨はきれいに取り除かれている。取り残されている軟骨だけを、切り取る。
塩麹を塗って、全体になじませる。そのあと、ぐるりと巻いて、タコ糸で縛る。
無理やりタッパーに押し込んだ姿は……。モスラの幼虫時代を彷彿とさせる。
そして完全に浸りきっていない味玉は、恐竜の卵を彷彿とさせる。
豚バラ肉の形を整えるために切り落とした部分。かなり脂が多い。これも塩麹とマリネしておく。
これは木曜の夜の即席夕飯。マリネしておいた豚肉の切れ端を適当な大きさに切り、豆腐と一緒に味噌仕立てで煮込む。脂肪分が多すぎるので、一部の肉は翌日に残したが……美味!
木曜夜からすでに、豚肉食の幕開けだ。
豚肉まみれの傍らで、チョコレートブラウニーを作る。なんとも、ケイオティックな台所、である。
●7月21日(金)下準備その2:とんこつスープ煮込み開始
さて、翌朝。毎週金曜日はミューズ・クリエイションの集いであるところのサロン・ド・ミューズの日。しかも午前中は、「ドリームキャッチャー」のワークショップが実施される。ゆえに、ドリームキャッチャー作りを人より早めに済ませ、台所で仕込みを始めた。
少量なら仕込みも簡単だが、量が増えると使う鍋釜類も増えて、それなりに、手間がかかる。当然といえば当然だ。
それらをざっと洗い、ルクルーゼ巨大鍋2つに分けて、火にかける。最初の水は、一旦沸騰させて捨てる。さもなくば、血や灰汁などがたいそう出てくるからだ。
なかなかに体力を要する料理である。
モスラには、醤油もかける。今回は、とんこつスープを生かすために、味付けは最小限にとどめるべく、塩麹と醤油のみ。
メンバーが帰りし午後5時以降。これから、心おきなく、とんこつスープに向き合える。
昼ごろから夜にかけて、約8時間ほど、弱火でじっくりと煮込まれるスープは、時間の経過とともに脂肪分が浮き上がり、肉がやわらく骨から離れはじめる。その肉をすくって、集める。
夫不在の金曜夜、簡単な夕食。ほくほくのジャガイモ、昨夜の残りのキャベツ、それに豚肉を載せ、軽くしょうゆをかけて食べる。それだけで、旨い!
●7月22日(土)下準備その3:当日朝、鶏ガラスープ仕込み、トッピング作り
とんこつスープについて調べていたところ、「鶏ガラスープとブレンドしてもおいしい」との記述を目にした。丸鶏のスープは、我が家の定番。簡単に作れる。というわけで、まずは土曜の朝、丸鶏を捌く。
丸鶏2羽の主に骨の部分(奥)はスロークッカーへ。身の部分(手前)は後日、料理に使うべく仕分ける。
昨夜のとんこつスープ。見るからに、スープが濃厚なので、一旦、このスープを濾して、再度、水を加えて煮込むことにした。
骨を二つの鍋に分けて、適当に水を加えて煮込む。水を入れすぎると薄くなりそうなので、まずは極力濃厚にするために、水を少なめにしておく。
煮込む間、トングを使って骨をつかみ、ボーンマロー(骨髄)を出すべく、トントンと叩いたり、箸で取り出したりの作業をする。骨を金づちで叩き割るという方法もあるらしいので、実験してみたが、骨が相当に硬いので断念した。
文字にすると、いかにも簡単そうな調理工程ではあるが、しかし、金曜昼から土曜昼にかけて、鍋を火にかけている間は気になって、何度も蓋を開けた。そうして、何度となく、骨の周囲の肉をトングで剥がしたり、骨髄をトントンしたりを繰り返していた。
単純作業ながら、手間はかかるのである。
そういう作業をするうちにも、この、通常は「捨てられる」部位である骨に対する、得も言われぬ敬意が湧いてきた。
思い返せば、丸鶏スープとて、そうである。骨からおいしいスープが出る。コラーゲンたっぷりで、旨味と滋養が溶け出す。数カ月前に読んで強い感銘を受けたキャサリン・フリン著『ダメ女たちの人生を変えた料理教室』にも、「骨の重要性」に触れられていて、興味深く読んだものだ。
そうやって、無心に鍋に向き合いながら、思った。
殺生した命を、余すところなく、味わう。これこそが、まさに「命をいただく」というにふさわしい食べ方ではなかろうか。
ところでわたしは、昨今の日本において、なにかといえば、「いただく」と表現する風潮が嫌いだ。そもそも、「食べる」「食す」とされていた「食べる」行為が、なぜ、昨今では「いただく」になったのか。そもそも「いただく」とは謙譲語ではなかったか。
さらには、人が食べている様子をして、「いただいてください」などというシーンも見られる。それを言うなら、「召し上がってください」だろう。これは明らかに間違っている。
雑誌などの文中にも、
「旬の恵みをいただく」
などといった表現が普通になっているが、いちいち、気持ち悪い。
と、ここまで書いて気になって調べてみたところ……現在の辞書には「いただく」は、「食べる」「飲む」の謙譲語・丁寧語となっているようだ。
なんと! 丁寧語としての働きが加わっていたとは。
ちなみに、わたしの手元にある昭和56年発行の「角川新国語辞典」は、「謙譲語」のみだ。少し安心した。
日本を離れて20余年。時代の流れとともに、言葉も変わるのだろうことは理解している。尤も「食べる」という表現も、かつての「食らう」が野蛮な響きだったせいなのか、「給(たぶ)る」にと移行したとの説もある。
ゆえに、いちいち頑固な親父みたいなことは言いたくはないのだが、やはりこの場合の「いただく」は、安易に「丁寧ぶっている」気がする。本当に「いただく」という言葉を使いたい時に、本来のありがたみが、失せる。
というわけで、説明がくどくなったが、わたしは、かつての表現で以っての、「骨の髄までいただく」ことのできる、このとんこつスープというものに、深く感じ入ると同時に、この食べ方こそが、究極のノンヴェジタリアンであると、思い巡らせていた。
さらには、「骨の髄まで愛している」などという表現についても、考えが及んだ。一般的な表現ではあるが、骨の髄なんて、未知の世界だ。骨の髄には、本人にすらわかりっこない「強い何か」が潜んでいるという風にも思う。うまく言えないが。
さて、豚肉のグリルには1時間半から2時間程度かかる。これは、ダッチオーヴンの底にキャベツを敷き、その上に半分に切った肉の塊を載せて、オーヴンにセッティング。
●7月22日(土)午後3時、参加者集合。研究会開始!
下準備は午後1時には終わったが、作業は少し、参加者のために残しておく。なにしろ、なにもかもお膳立てしていたのでは、研究会にならない。午後3時を過ぎて、参加者が三々五々、集まり始める。エプロンをし、手を洗って、キッチンへ。
一番出汁には、かなり脂が浮かんでいることから、表面のそれをすくいとることにした。その脂はラードとして、炒め物などに使える。
スープまですくってしまわぬよう、表面の脂を丁寧に慎重に、すくう。集中力と、慎重な技が必要だ。
こちらは二番スープをとるべく、骨に残った身や骨髄を取り除く作業。骨をトングで掴んで、トントンを繰り返しているうちに、手首を痛めそうになっているKiyone青年。大丈夫か!?
スロークッカーに仕込んで数時間後の鶏肉スープ。こちらも、脂やらコラーゲンやらが染み出してきて、風味が増してきた。
さて、これから試食(試飲)に入る。各自マグカップを持って……。
・一番スープ
・二番スープ
・丸鶏スープ
それぞれを、まずは味付けをせずに、味わう。
◎一番スープ:一口目は、油っこく、口内で風味を認識するのに、少し時間がかかる。最初は「油っぽい?」と思う。しかし、ほんの少し塩を入れた途端、とんこつの風味と旨味が浮かび上がってくる。塩の威力に、「おおぅ!」と声があがる。
◎二番スープ:さんざん煮込まれたあとの骨に水を加えて煮込んだいうのに、骨髄やコラーゲンがじっくりと滲み出ているようで、非常においしい。油っぽさがなく、口当たりもよい。軟骨やコラーゲンの部分を濾しているので、それらしいトロミがある。また、独特のとんこつ臭があるにもかかわらず、洗練された風味。塩を入れると格段に旨味が際立つ。
◎丸鶏スープ:我が家では頻繁に作っている毎度おなじみの味。チキンスープは、米国において「体調不良時」に食する典型的な料理。日本でいうところの「お粥」的な存在。ゆえに、滋養たっぷりで身体にとてもよいのだ。とんこつの強い風味が気になる人は、これをブレンドするとマイルドかつ、独特の味わいが楽しめる。
一通りの味を確認したら、各自、自分の好みのブレンドを探すべく、少しずつカップに入れて、味わう。
総じて、二番スープが人気だ。
使用したのは、選び抜かれたわけでも、厳選されたわけでもない、オーガニックショップで購入したシーソルト。1キロで100円もしない超廉価な塩だ。が、このシーソルトをほんの少し入れるだけで、味がぐ〜んと際立つから、本当に驚く。天然塩の威力を思い知る。
研究という名の味見をしすぎてお腹いっぱいにならないように……と言いつつも、次々にブレンドしては飲むを繰り返す参加者。
まずは、当地で入手できる生ラーメン麺を最初に試してみたのだが、それが太麺だったせいか、とんこつスープには全く合わなかった。他のラーメンには合うのだろうが、とんこつには細麺が使われる理由が、よくわかった一瞬だった。
実験を兼ねて、そうめんとスパゲティを茹でてみる。スパゲティ、さらっとしていて悪くない。ということは、細麺パスタなら、いけるかもしれない。そしてそうめん。
意外にも、そうめんが、いちばん合う!
とんこつラーメンとは、とんこつスープの旨味を生かすためにも、主張がありそでなさそな細麺が向いているのだということがわかった瞬間であった。満場一致でそうめんの勝利。
ところで、味付けには最初、塩しか使わなかったのだが、Kasumiさんが作ってきてくれた「マー油」を少したらしてみた。そうしたら! 驚くほど、風味が増して、おいしいではないか!!
実はわたし、味玉に次いでマー油も、その存在を知らなかった。ネット上の実用日本語表現辞典によると、以下の通りである。
----------------------
マー油
読み方:マーゆ
別表記:麻油
胡麻油と、揚げたり炒めたりして適度に焦がしたニンニクを主な材料とする調味油。「焦がしニンニク油」などとも呼ばれる。特に九州・熊本ラーメンで香味として用いられる。熊本に本拠地を持つラーメンチェーン店「桂花ラーメン」では自家製香味油を「魔油」と呼ぶ。なお、中国では「麻油」といえば胡麻油を指す。
----------------------
ちなみにKasumiさんはクックパッドにあるレシピに基づき、「背脂」も加えて作ったのだという。とんこつスープはさておき、パスタにこのマー油を和えただけでも、超おいしい! ペペロンチーノ的、素朴な旨さである。
このような薬味系の調味料を複数、自家製で用意しておけば、食生活が豊かになると実感。このマー油の威力には、本当に目から鱗が落ちた。今後、自分でも作ってみようと思う。
さてさて、一通りの試食が終わったら、食卓での宴だ。すでに味見でお腹がいっぱいになりつつあるが、各自、好みのブレンドで「自分の1杯」を作る。
オーヴンから取り出した豚バラ塊肉。こんがりと、おいしそうに焼けました!!
スライスして、ダッチオーヴンの蓋に盛り付ける。なんだか高級感あふれる「なんちゃってチャーシュー」だ。
こってりを緩和するヘルシーな副菜。トマトはリンゴ酢と蜂蜜とでマリネ。
生姜の付け合わせは「梅酢」がなかったので、梅干しの汁に浸した。ほんのり、ほんのり、ピンク。キノアのサラダはKazukoさん作。ヘルシーにおいしい。
白菜の浅漬け。毎度おなじみ茅乃舎のだしとシーソルトをふりかけて、ぐいぐいと揉み込んで数時間冷蔵庫に寝かせたもの。
味見でお腹いっぱいなので、小さなボウルにコンパクトに盛り付ける。ちなみに、個人的にとんこつラーメンには、白ワインか、スパークリングワイン(シャンパン)のドライ(Brut)なものが合うように思う。とはいえ、ひとしきり食べた後には、赤ワインがおいしかった。
出張を翌日に控え、書斎に引きこもって仕事をしていたマイハニーも、食事のときには参加。とんこつラーメンが大好きな彼も、大喜びだ。
午後3時に「研究会」を開始、そして宴となり、夜が更けるまで、飲んで食べて語っての、愉しき土曜日であった。
もう、さんざんとんこつにまみれたので、しばらくは食べたくないだろうと思っていたが、残っていたスープで翌日のランチに再びラーメンを作る。
こんなにも、いい感じで、出来上がった。見た目、プロ並みではなかろうか。
今回、自分で作ってみて、ラーメンにMSGが使われる理由も、よくわかった。手早く廉価に旨味を出す手段として、最も便利な存在だとわかったからだ。原価を抑えるためには、大衆的なラーメン店にとって、なくてはならない存在だろう。
本当に良質なスープを作ろうとすると、当たり前だが手間がかかる。日本のラーメンの相場はよくわからないが、たとえば大衆的なそれが600〜700円としたならば、このような添加物のないラーメンは、少なくとも2000円して、しかるべきだろう。
たとえば、豪華トッピングも全て込みで、
・豚鶏ブレンドスープ:2300円
・とんこつ一筋エナジースープ:2500円
・究極の白濁、極上とんこつスープ:3000円
というくらいの、値段設定にしたいものである。
などと、なにを素人が言っているのか、と思われそうだが、実際に作ってみて、それくらいの価値(滋養や旨味)があると思うのだ。無論、ここには「上質の麺」も加わってのことであるが。
ラーメン店を開くつもりは毛頭ないが、将来もしも飲食関係の店を出すようなことがあれば、とんこつラーメンはメニューに加えようと思う。それくらいに、楽しめた調理だった。
実はすでに、次の研究会のテーマも決まっている。細いパスタを重曹で茹でるとラーメン麺のようになるという情報をネットで得たので、まずはそれを実験したい。
さらには、英語の家庭教師のシブと話をしていたところ、骨を低温で長時間、グリルした後にスープをとるとおいしいとのこと。これは『ダメ女たちの〜』の中でも、ビーフのスープの取り方として、言及されていた。
骨を焼くことで、旨味をより凝縮できるらしい。それをとんこつスープに応用できるのか。一度少量で実験してみたいと思う。
以上、長大なる記録、読了お疲れさまでした!
(今、あなたはとてつもなく、ラーメンが食べたくなっているに違いない……)
★研究者の感想★
◯Kasumi
・塩だけの味付けで、あんなにも美味しい豚骨スープになるとは驚きでした。
・それなりに油が出ていた豚骨スープ。味見をたくさんしたので、スープでお腹いっぱいに。ですが、直後も翌日も全く胃もたれすることなく、すぐに消化されたのか、すぐにお腹が空きました。笑
・手作りのスープはあっさりとしていたからか、残念ながら太麺が合いませんでした。噛めば噛むほど麺の味や食感が勝ってしまい、スープの旨味が消えていってしまいました。最終的に素麺が一番美味しく食べられました。豚骨ラーメン全体的に細麺が使われている理由が分かりました。
・マー油があそこまでの隠し味になるとは思いませんでした。今後、マー油を使うと美味しくなる料理も開拓してみたいと思いました。
・今回、スープ作りは美穂さんにお任せで、大変さを体験してはいないのですが笑、無添加の豚骨スープは本当に美味しかったので(そこらへんのラーメン屋より美味しかった)、世の中のラーメン屋も原点に戻って、MSGを使わない流れになるといいなと思います。
◯Takahisa
インドでとんこつラーメン?
インドでは日本食レストランも少なく、日本の食材も手に入りにくいという現状があります。そこで今回、とんこつラーメンを研究しようという坂田さんのフェイスブックを見て面白そうだなと思い、研究会に参加。
実際に僕が会場に到着する頃には坂田さんが下ごしらえを済ましていて、最初の大変な工程は体験できませんでしたが、途中からでも大変! 豚骨スープを作るのはここまで大変なのかと驚愕しました。
一連の作業が終わると、皆で味見を始めました。そのままでも美味しいのですが、塩やマー油などちょっとした調味料を加えるだけで味の変化が楽しめ、自分が好きな味にたどり着くまで一苦労しました。最初は塩加減がわからないので、塩を入れすぎたり、逆に少なすぎたり、何回か味見を重ねていくごとに自分の好みの味にたどり着くことができました。
最後は、坂田さんが用意してくれたトッピングをのせ、完成。自分好みのオリジナルとんこつラーメンが仕上がりました。
MSGなどの添加物を一切使わないラーメン。最初は味が薄くなってしまうのではないかと思いましたが、全然そんなことはなく。とても濃厚なラーメンに仕上がりました。現在、効率化を求め色々なところで化学調味料を使用し摂取する機会が増えていますが、今後も自分の体に入るものには気を使おうと再認識されました。今後の生活にも役立てたいです。
◯Mayuko
・豚の骨からだけのスープを飲んだのは人生で初めてでした。自分が化学調味料にまみれた生活をしてきたことを痛感しました。味付けは塩のみで十分だと分かったとともに、自然の味がやっぱり一番だということを知りました。
・豚骨スープの一番だし、二番だし、鶏のスープの配合の度合いによって味が少しずつ変わるので、スープを味見するたびに、世界で一つの味に出会っている気がして楽しかったです。
・豚骨ラーメンには細麺が合うのですね。太麺や細麺、縮れ麺など麺には様々な種類がありますが、ラーメン屋さんがスープの味によって麺を変えているのにはちゃんと理由があることが分かりました。
・そうめんやパスタの麺が豚骨スープに合うというのは驚きでした。麵によって風味も変わるから面白かったです。新しい発見でした。
・まー油の威力が大きかったです。一滴加えるだけでスープをさらにおいしくする力は本当にすごいです。
◯Naoyuki
トンコツ様。ご開帳! その後、我等は更にあなた様の研究に没頭し、トンコツラーメンではなく、トンコツ鍋に辿りつきました。白菜、豆腐、肉なし。味付けは塩のみ。トンコツ様を味合うためにあえてシンプルな具材のみ。ラーメン🍜も良かったのですが、鍋はコラーゲンを全て摂取出来ます。トンコツ様、有り難いひと時ありがとうございました。また、参拝させて頂きたく思います。
◯Kazuko
当日伺うと、美穂さんが前日から煮込んでくださった豚骨スープとチキンスープがコトコトお鍋で揺れています。参加者一同、台所に漂う良い香りと出汁ガラとなった、豚骨の迫力に感嘆!
先ずは豚骨スープの一番出汁、二番出汁、チキンスープをそれぞれテイスティングして行きます。一番出汁を口に入れた感想は「何か物足りない。」後から旨味がじわじわ来るのですが、これだけだと弱いな、と思いました。
二番出汁はより旨味が出ていて良い感じ!チキンスープは言わずもがな、旨味の塊です。個人的には三種のスープを均等にミックスし、塩とマー油をほんの少し入れるレシピが美味しかったです。
テイスティングしながら思い出したのは、以前に中国人の友人宅で手作りのラーメンをご馳走してもらった事。彼女はチキンスープをベースにしていました。黄金色のスープは見た目も美しく、優しい味。麺よりスープが主役のラーメンでした。
今回の豚骨ラーメンも正にスープが主役!白濁したスープが食欲をそそります。ベースがしっかりしているので、調味料や具材のアレンジも多様に広がって行きそうですね。
帰りにスープをお裾分けして頂き、翌日は鍋にしました。とっても美味‼︎ 美穂さん、貴重な経験をどうもありがとうございました。