ロックダウン24日目。軟禁生活28日目。一昨日、動画を撮影するために、久しぶりに「きちんとした」服を着た。そして久しぶりに、ヘアドライアーをかけた。髪が伸びた。最後に切ったのは昨年10月の一時帰国のときだ。伸び放題だ。わたしはまだいいとして、夫の髪も伸びている。わたしが散髪するべきか。
バッグ。アクセサリー。靴……。出番のない彼らの存在感。一方で、「日々の家庭での暮らし」を心地よくしてくれるもの、特に飲食にまつわるものに対しては、愛着を持てるものを揃えておく方がいいのだということを、肌身に感じる日々。
一昨年の一時帰国時、銀座のGINZA SIXにある玉川堂(ぎょくせんどう)で、急須を買い求めた。あまりの美しさに、奮発して、衝動買いをした。
創業以来200年余りの新潟の老舗。無形文化財の銅器を打ち続けている。眺めても、触れても愛らしく、煎れるお茶はおいしく感じられ、磨けば時を経て色合いを変える。
日常の中で息づく芸術品。愛用している柴田慶信商店の曲げわっぱにしても然り。使い勝手のいい鍋などの調理器具など、日々使うものは、いいものを、若いうちに思い切って買って、ずっと使い続けるのがいいと思う。わたしが若いときには、自分の収入は、ほとんど外へ向かうためのもの、すなわち「旅」に費やしてきてきたけれど、この歳になってしみじみと、「日頃から心地いいものを使う」ことの大切さを実感する。
わたしの場合、伝統的な工芸や文化を重んじる姿勢は、インド生活を通して教わった。物を大切に、慈しみながら生活することは、すなわちサステナブル(地球環境に負担をかけることなく、健康的な自然を維持し続けることが可能)な在り方だということを思う。
サステナブル、という言葉の意味するところを、きちんと理解し、日々の暮らしに反映させながら、地球の上に住まわさせてもらわねば……我々、人間。