ランチタイムは、長い工事期間を経て、2年ほど前にようやくきれいになった「チャーチ・ストリート」沿いのレストランで……と思っていた。
どの店にしようかと、あちこちを覗き込みながら歩くも、今一つ、そそられぬ。
釜焼きピザのBRIK OVENや、THE PIZZA BAKERYは好きな店だが、一昨日、インディラナガール店でたらふく食べたばかり。
見学がてら、昨年完成していたビルディングの最上階にあるMIRAGEへ。ここは夜の方が雰囲気がよさそうだ。
そうこうしているうちに、通りの突き当たりに出た。目の前に、石造りの、なじみのビルディングが見える。BOOK SOCIETYの文字が刻まれた、しかし今は、HARD ROCK CAFE。
1912年に設立されたこの建物は、英国統治時代、キリスト教関連の書籍や教科書、文房具などを作成していたという。やがて、カンナダ語の聖書が作られるようになり、図書館としても機能していようだ。
わたしがバンガロールに移住したばかりのころは、コーヒーショップのバリスタ・カフェが入っていたが、2007年にハードロック・カフェとして生まれ変わった。
バンガロールは、インドでは数少ないビーフが食べられる都市。「バンガロール・ビーフ」のフィレ肉はとてもおいしい。とはいえ、当時はおいしいビーフを食べられる店は、THE ONLY PLACE や、MILLERS 46など、数店舗に限られていた。ビーフバーガーにしても然り。
そんな中、ハードロック・カフェのビーフバーガーはアメリカンな「肉肉しい」ビーフパテがおいしく、訪れるたびに食したものだ。
しかし、歳月の流れと共に、多くの店でも供されるようになり、ここからも足が遠のいていた。そうそう、夜訪れた時に、あまりの大音響に辟易したのだ。いくらハードロックが好きでも、同行者との会話が成り立たないを通り越して、ひたすら爆音だった。
先日、ヴィーガン・マーケットを訪れた後にビーフバーガーを食べたばかりだというのに、久しぶりに食べたくなった。重厚なドアを開いて中に入るなり、同じ街に住んでいながら、「懐かしい」との思いがこみ上げてくる。
最後にここで食事をしたのはいつだろう……。少なくとも、6、7年は訪れていない。数あるバーガーメニューの中から「一番シンプル」だという「ビッグ・チーズバーガー」を選ぶ。
料理を待つ間、店内を眺めるうちにも、さまざまな思い出が去来する。この街に、16年も住んでいる。どこを訪れても、何を見ても、何かを思い出し、尽きぬ。
攻撃的なプレゼンテーションで供されるハンバーガーは、以前よりも、おいしくなっている。フライドポテトもほくほくと、これまたおいしい。とても食べられないと思っていたのに、またしても、気付いたらきれいさっぱり、平らげていた。……というようなことを、しばしば記しているような気がする。絞りたいと言いながら、食べ盛りの青少年のような食欲はどうしたものか。
……パンデミック世界に突入し、旅や活動が制限され、「一旦停止」のような状態が続く月日。
脳裏に靄(もや)がかかったような、はっきりしない日常で。ただただ、日々しっかりと、噛み締めて暮らす。
【過去の記録。だいぶ面白い】
🎸HARD ROCK CAFEに集い、ハードロックの封印を解く。(2008/08/17)
➡︎https://museindia.typepad.jp/2008/2008/08/post-8.html
🏏またしても、スタジアムへクリケット観戦に!(2011/10/09)
➡︎https://museindia.typepad.jp/2011/2011/10/hrc.html