ヴァラエティ豊かなマッシュルームをはじめ、滋養と滋味に溢れたオリジナルの各種調味料などを販売しているグリーン・エプロン。わたしが創業者のNamrataと初めて出会ったのは、2018年、OWC(Overseas Women’s Club)が主催するクリスマスバザールにおいて、だった。かつてミューズ・クリエイションは毎年、このクリスマスバザールに出店、ステージではパフォーマンスを披露するなど、会場を盛り上げてきたものだ。
人々で混雑する会場で、しかし、椎茸やマイタケ、オイスターマッシュルームなど、さまざまなマッシュルームを栽培し、販売しているのだというNamrataの話は非常に興味深く、印象に残った。
その後、パンデミックのあとに開かれたNAMUのVegan Marketや、先日のA HUNDRED HANDSのバザールでも顔を合わせて、言葉を交わした。日曜日に訪れた際、ピンク・オイスターマッシュルームのキットを購入した。栽培に必要な条件は、ビニル袋の中ですでに完璧に整えられている。わたしは帰宅して、ビニル袋の数カ所にハサミの先で切れ目を入れ、日陰に置き、1日に数回、霧吹きで表面を潤せばいい。
火曜日に穴を開けて、水、木、金……とわずか4、5日でグングンと成長。特に金曜日の成長っぷりは著しく、台所に行くたびに、「わっ!」と目を見張った。そして、愛着すら湧いた。夫が「なんだか、食べるのが憚られるね」と言うくらいに。
土曜日、そして日曜日、炒め物などにして食した。しっかりと歯応えがあり、風味のよいオイスターマッシュルーム。しっかり咀嚼しながら、しみじみと味わった。とても、おいしかった。
自分で野菜を育てるのには、時間も労力も要するから、簡単にはいかない。しかし、このマッシュルーム栽培は、短期間ながらも、「食べ物を慈しむ」気持ちが育まれて、とてもいいものだと思った。子どもの食育の一環にもなるのではないだろうか。
この記録を残そうと、グリーン・エプロンのサイトを開き、わたしがどんなサイトでも必ずチェックする”ABOUT US”のページを開いた。どんな企業であれ、団体であれ、どういう人がどんな思いで手がけているのか。それを知ることは最も大切なことだと思うからだ。
創業の背景を描いたNamrataの文章に、感銘を受けた。彼女の眺めた情景が思い浮かぶ、情趣に満ちた文章だ。どうしても紹介したくなったので、急ぎ日本語訳した。ぜひ目を通していただければと思う。
🌱GREEN APRON ~From Earth to Plate~
https://greenapron.in/
🍄以下、Green Apronの創始者であるNamrataの文章を日本語訳して転載する(一部省略)
わたしは、食生活を慈しみ、重視するインドの家庭で育った。この家庭環境が、わたしの「滋養ある食べ物への愛情」を育んだ。我が家では、昔ながらのバター攪拌機を使ってバターを作った。バターだけではなく、あらゆる野菜由来のものを、家庭で作った。スパイスや穀物は、伝統的な砥石で挽かれた。ピクルスをはじめ、多彩な家庭料理が作られる様子を眺めながら、わたしは育った。
4世代が一緒に暮らすジョイント・ファミリー(共同家族)の中で、わたしは新鮮で健康的な食べ物を食べる喜びを経験してきた。大家族の胃袋を満たすため、我が家の大きな台所には、いつもたくさんの料理があった。夏になると、テラスに白いシーツが敷き詰めらた。丁寧に手作りされたパパドを天日干しにするためだ。パパドとは、料理の前に食する、薄くて香ばしいスナックのような食べ物のことである。
わたしは祖父が、果物屋や卸売市場から、果物を自ら手に取り吟味しながら買うのを見てきた。果物が大好きな祖父は、食事と一緒に果物を食べた。曾祖母は余った果物や野菜の皮を使って、栄養価の高い健康的な料理を作った。無駄なものは何もなかった。我が家を取り巻くすべての人のために、食べ物が用意されていた。テラスに集まる鳥も含め、訪問者が空腹になることはなかった。
バター攪拌機、マサラ挽き器、麺棒、果物かご……目がほとんど見えなかった曾祖母の、しかし強い意志で調理される料理。白いシーツの上に干されたパパド……。これらは、わたしの原風景だ。
やがてわたしは家を出て、生物科学と法律を学んだ。卒業後はインドでも有数の法律事務所で働き、さまざまな立場の人々と関わってきた。この期間、わたしは人々が食べ物に対して持つ個人的な経験についても知ることとなった。
やがてわたしは愛すべき子どもの母親になった。わたしは、子どもに食事を与えるに際し、自分が幼少時に得てきた体験と、現代の食の知識を結びつけていることに気がついた。子どもに栄養価の高い食事を提供するために、自分の知識を活用した。この経験が、グリーン・エプロン創業の契機だ。グリーン・エプロンは、準備期間を経て、2018年4月から消費者へのアプローチを開始した。
グリーン・エプロンは、多様な背景、文化、年齢層から集まった勤勉な人々で構成された恵まれたチームだ。この仕事を愛するわたしたちは、母なる自然が育んだ最高の食材を、多くの人に届けたいと願っている。
愛をこめて。