人間誰しも、判断力を喪うことはある。自分が望んで選んだ道だったはずなのに、その道を歩く過程において、「これは本当に、わたしが望む道であろうか」と、自問する瞬間。
果たしてわたしは、本当に、これを食べたかったのか。
1つ18ルピー(約25円)の、言っちゃなんだが安っぽい、いや実際安い、揚げ物を。
あれは1週間ほどまえのことだ。
急に、ワダ(VADA)が食べたくなった。上の写真にあるのがそれ。豆の粉を主原料としたドーナツ風の揚げスナックだ。
我が家の近所の店でも、美味なワダは食べられる。ただ、このところ、ローカルフード探検も怠り気味だったので、新規店を開拓してはどうだろうか、と思い至った。いや、魔が差した。
ネットでサーチしたところ、ワダも旨いが、ともかく、イディリ (Idli)が最高に旨い! バンガロールで一番! という店を発見した。その店のレヴューを読めばもう、イディリ! イディリ! と、イディリ絶賛の嵐。
俄然、興味がわく。
ローカルのレヴューを信じちゃならないと、そもそも味覚が違うのだから、ということを、またしても、忘れて。
さらには自分が、どことなく「かるかん(鹿児島銘菓。猫の餌ではない)」を思わせる、もっさりした触感のイディリを、実はあまり好きではない、ということさえも、忘れて。
ローカルに大人気の店で、ギーまみれの壮絶ドサを食して、スリランカ旅の余韻をぶち壊されたあの朝のことを、忘れていたのか、わたしは。
イディリとは……といちいち説明するのも面倒だ。興味のある方、過去の探検をご覧あれ。
■第2回ローカルフード探検@Udupi Sri Krishna Bhavan (←Click!)
実は、この探検では、度肝を抜かれる経験をした。なにしろ壮絶な祭りに遭遇しちまったからな。ローカルフード探検の記録を書けないほど強烈で、まずは、この奇祭の記録を残したのだった。
これ、読んでない方、一見の価値ありかと。動画もすごいぞ。だけど、おぞましいもの苦手な方は、見ない方が、よいでしょう。
■教えてここはどこ?「非日常が日常」の極み体験 (←Click!)
さて、超ローカル店は、営業時間がややこしい。朝食は12時までで、そのあとは午後のスナックで3時から開店といった具合に。
そんなわけで、11時ちょっと前に、現地集合とした。11時集合とすると、ついつい11時を大幅に遅れるインド人化した日本人がたまにいるので、11時ジャストに集合という意味を込めての、11時ちょっと前だ。
距離にしたらさほどでもないのだが、渋滞が予測されたことから、自宅を50分前、即ち10時10分に出るはずだった。
ところが、早く来てねと頼んでおいたメイドのプレシラが遅刻。いつもなら問題ないが、今は大工衆が出入りしているため、家を空けられない。
彼女の携帯に電話をかければ、
「いつもより早く出ましたが渋滞で……」
遅れるらしい。
「いつも、遅れる時はあらかじめ電話してっていったでしょ? 今日は大事なミーティングがあるって言ったじゃない!」
どんだけ大事なミーティングよ。
と、心中で自らに突っ込みをいれつつも、厳しい口調で返答。20分遅れで家を出たところ、わずか10分もたたないうちにPAKAKO隊員からSMSが届く。
10時35分。すでに、到着したらしい。
しかも、ローカルムードが満点すぎる店らしい。先にコーヒーを飲みつつ待ってくれるらしい。PAKAKO隊員なら、男衆だらけのローカル店に一人放置していても、ノープロブレムだ。
なにしろ、普段からご利用されているからね。
それにしても、PAKAKO隊員の、妙にうれしそうな顔が目に浮かぶ。
その一方、渋滞の道中で、思うのだった。わたしは、なにをしているんだろう、と。
自分、遠出してまで、ワダを食べたいのか? 話題作りのために、無理してないか?
これが、火曜日の午前中にわたしがなすべき、行動なのか?
そして11時15分。大幅に遅刻して到着したのが、上の店なのであった。
しかも、店内には立ち食い用のテーブルさえなく、みな、皿を片手に、立ち食いですわ。
わたしたちはせめてもの思いで、歩道に特設されているテーブルを使った。間違いなく、歩行者(右端の白いサルワールカミーズ姿のお姉さん)の邪魔になっている状態だ。
わたしが注文したのは右上。ワダとイディリを1つずつ。サブンとチャトゥネに浸されて供される。
確かに、おいしかった。おいしかったよ。
だからって、わっざわざ遠出して、歩道で立ち食いしてまで食べたい味か、と問われれば、問わんでくれ、という話だ。
自分で企画しておきながら、たいそう打ちのめされている隊長の心に、隊員らの楽しんでいる様子は染み入った。かたじけない。
このごろは、カメラを向けられると自動的に笑顔となってしまう。
そのせいか、不意を突かれて撮られた写真との、顔つきのギャップが激しく、自分でもびっくりする。
笑ってない顔は、超ばばくさいのだ。
故に、笑うべし。
そらそうと、ワダがおいしかったので、やめときゃいいのに、もう一つ追加で食べた。
わざわざ遠くまで来たんだもの。
しかし、2つ目を二口ほど食べたところで、胸焼けしてきた。それでもなお、食べ尽くす自分の食い意地が、いや。
店の詳細は……隊員のレポートに一任したい。
ところで看板に「Since 1965」とある。わたしが生まれた年だ。
「うわぁぁ。ずいぶん古くから、あるんですね〜」
と、VINA隊員。ほっとけ。
なにかと隊長は、「やさぐれ状態」だが、隊員のレポートを読むに、この店は「好印象」のようである。よかった。
おっと、忘れるところであった、お店情報。下記のサイトをご覧ください。
■Brhamin's Coffee Bar (←Click!)
←楽しげな隊員と、↑食後、ハンカチ(タオル)で汗を拭う「素」の隊長。背後の看板のおじさん(誰なんだ)とわたしが、何かしらシンクロしているところが怖い。
数カ月ぶりに隊長自らのお声かけによるローカルフード探検。今回のお店は私も以前からずっと気になっていたイドリの有名店!
私の乗ったオートが止まった瞬間、目に飛び込んできた店先を見て、
「ここかいなぁー!」っというのが第一印象!
こりゃ、まさにド・ローカルですよ、隊長(笑)
Since1965と書かれた年期の入った看板に、テーブルすら置いていない殺風景な店内。私は南インドの朝ごはんの定番である「Single Idli, Vada」を注文。
通常の朝の立ち食いで見かける風景では Idli や Vada はたっぷりのSanbalと一緒に食べられていることが多いのですが、このお店が他と違うのはサンバルではなく、たっぷりの「Chatney」だけでこれらを食べるところ!
だくだくに注がれたChatney に Idli と Vada が浸っている感じ。きっと自慢のChatneyなんでしょう。
肝心な Idli と Chatney のお味は・・・!?
これ、私てきには最高です!!
柔らかくて、フワフワ。口に入れるとフワァ~っと溶けていくような食感。
うちの近所の立ち食いでもたまにこのような「フワ~」なイドリが出てくる時があるのですが、それは偶然の産物という感じ。
でもこのお店はこのフワフワなイドリを毎日毎日、昔から提供し続けてきたからこそ、たくさんのお客さんが、たった1つのこのIdliの為にこのお店にやってくるのでしょうね。
Chatney の方もご自慢の?一品だけあり、塩分もチリも控えめで、たっ~ぷりと付けて食べたくなるの気持ちが理解できました!
イドリ好きな方はぜひ一度、足を運んでみて下さい! ただ完全なる立ち食いですので、ご注意を(笑)
いや~、今日はかなりexciteしました! 人気店と聞いてたけど、「え?本当にここですか??」と疑ってしまうような、かなりの質素な雰囲気…。
華やかな看板も装飾も何もなく、コンクリートで作られた建物に、小さな食券売り場と奥にシンプルなカウンター。それ以外、椅子もテーブルもないんです(建物の外にステンレスのテーブルがほんの少しだけありました)。
食券売りの人と、入口でひたすらチャツニを入れているおじさん以外は、誰が店員か区別がつかないぐらい、制服もとても控えめなデザインで。
ただ、写真を撮った時に「no」と注意しに来るのが店員さんだ、と分かるのみでした。
でも、この雰囲気に妙にテンションがあがり、つい 3種類(Vada, Khara Bath, Kesari Bath)も注文して、さらにはVadaのおかわりもしてしまいました。
Bath(お米の料理)は食べ慣れないせいか、どちらもそこそこな感じでしたが、Vadaはサクサクで美味しかったです。
気にいったのはスープのようなチャツニ。こんな状態のチャツニは初めてでしたが、バランスの良い比較的優しめの味で、スープのように最後までズズッといってしまいたい衝動にかられました。
入口のチャツニおじさんは、そんな風にチャツニをスープのように飲んでしまうお客さんに、おかわりを入れるためなのでしょうか…。
このメニューが4種類しかない小さな小さなお店に、またわざわざ行くかどうかは分かりませんが、もしかしたら、あのチャツニをもう一度味わいたくなって、寄ってしまうかもしれません。
仕事で南インドに来るようになってから10余年、インドはもちろんのこと、おいしいと聞けばシンガポールや日本の南インドレストランでも南インド料理食べてきましたが100%立ち食いの店は初体験!!
探検隊に参加する機会がなければ多分これからも行くことはなかっただろうであるこの店、イドリーはソフト、ワダはクリスピーかつシンプルな味。
バンガロール在住の現在は週2-3回ローカル朝食を食べているけれど、よく利用するMTRやMiyasなどのギーを多用したり、マサラの味の濃い料理に比べると、ごくごくあたりまえ、服でいえば普段着みたいな感じ。
毎日、朝食に南インド料理を食べる人であればこの味がわかるのかも知れないけれど、正直いってこんなに人気を集めるほどの味だろうか。
夜になって帰宅した夫(南インド出身)に今日の体験を話してみると、夫も行ったことがあるとの事。
おいしいと思うかと聞いてみると、別に特別においしいとは思わない、あの店に人が集まるのはノスタルジーを感じるからとのこと。
ああ、そうなのね。急速に発展するインドだからこそ、変化もより激しい。店やレストランの業態も多様化しているものね、当時のおいしさを、当時のスタイルで味わいたい人でいっぱいなのね、と合点。
判定:古き良きバンガロールを体験したければ訪問の価値ありの店。