5年連続で年末を過ごしたアーユルヴェーダグラム滞在を今年は返上。クールグを旅したあとは、緩やかな年の瀬を過ごすはずであった。
ところが、過去ミューズ・リンクスの『インドでの食生活と健康管理』に参加し、おまけとしての「調理実習」に参加した数名より、「ぜひ年内に、また調理実習を」とのリクエストがあった。
ならば年内のうちに、と話しているうちにも、25日なら空いているとのことだったので、では調理実習のあと、こざっぱりとクリスマス会にいたしましょうという話をしていたのだった。
そもそも25日とあれば、国籍を問わず、家族と過ごしたり、海外に出かけたり、母国に帰省したりと予定がある人が多数。特に予定もなく過ごす人のほうが少ないだろうと思っていた。クリスマスから週末にかけては、メイドもお休み。クリスチャンの彼女は、「本気のクリスマス」を祝するがゆえ、である。
従っては、なるたけこざっぱりしたく、まあ、来る人も少ないだろうと見込んで「もしも予定がなく、寂しいクリスマスを送ることになりそうな人のみ」に声をかけたつもりだったのだが……。
結果的には、バンガロールで働く主には単身の男女、それにミューズ・クリエイションのメンバー、インドのファミリーフレンド2組も加わって、25名ほどにもなり、たいそう賑やかな夜となったのだった。
インド人のゲスト2組のうち1組は、他のディナーパーティに招かれているからカクテルタイムだけ、もう1組は新婚さんで、奥さんがヴェジタリアンかもしれず、ともあれさほどガツガツ食べはしないだろうと察せられた。調理実習に参加しない人たちには、「飲食物はご持参を」としていたこともあり、さほど多めに作ることはないだろうと判断していたのだが……。
ともあれ、この日のメニューは、下記の通りだ。
レシピ、と呼べるほどのものはなく、いつも「適当に」調理しているので、厳密にいえば調理実習とはいえず、料理の準備の手伝いをしてもらった……という状況でもあった。とはいえ、みなでの作業。それなりに手間がかかることが予測されたことから、あらかじめの下ごしらえはしておいた。
◎丸ごと鶏肉(2羽)のオーヴングリル
これは、先日ミューズ・クリエイションのパーティで作ったのと同じもの。野菜を切るだけ、鶏は捌かずにそのまま使えるので、準備時間は短め。ルクルーゼの巨大鍋に入れ、オーヴンで1時間半から2時間焼く。
◎豚肉ブロック肉の塩麹キャベツ蒸し
先日、日本へ一時帰国した際、試しにと購入していた話題になって久しい塩麹。ポークショップで皮付きの肩ロース肉の塊を2キロ仕入れる。が、脂身たっぷりの豚肉。苦手な人もいるだろうからと、1.5キロだけを調理することに。前日のうちに塩麹でマリネし、翌朝、更に醤油や酒を加えて味を整えておいた。
◎シーフードサラダ
これは、先週まとめ買いし、冷凍しておいたエビやイカを使ったサラダ。前夜のうちにエビ、イカ、それぞれにきれいに「掃除」をし、下茹でをしておいた。これに、チェリートマトや発芽したひよこ豆、赤や黄色のピーマンを加えてオリーヴオイル、塩胡椒、ヴァルサミコ酢で和える。
◎インゲンとベビーコーンの炒め物
食べる前にオリーヴオイルと塩こしょうで炒める予定だったが、炒め忘れていた。結果的には、豚肉の煮汁で最後に煮込むことに。
◎鶏レバーのパテ
ポークショップと言いながら、実は新鮮で美味な鶏肉を売っている我が家御用達の店。ここでも何度か紹介したが、そのポークショップで購入した新鮮な鶏のレバー1キロを用いて、初めてパテを作ってみた。前夜に自分で作り、一晩、寝かしておいたもの。これが予想以上においしくて大好評。レシピを教えて欲しいと言われるが、クックパットほか、複数のレシピを参考にしつつ我流で作ったので、どうしたものか。勘のいい方なら、下記の内容で理解していただけるかと。なお、以下は1キロの鶏レバーに対して分量だ。
・レバーを洗い、適当な大きさに切りつつ白い筋、血液を取り除く。
・レバーをひたひたの牛乳に数十分浸して臭みを取り除く。
・玉ねぎ千切り中小4、5個分程度と、ニンニクのみじん切り大さじ3、4杯分程度をたっぷりのバターで炒める。
・レバーを入れて炒め、軽く火が通ったところで赤ワインをコップ1杯分ほど入れる。白ワイン、酒でもいいようだ。ブランデーを、というレシピもあった。
・適当に塩胡椒をしつつ煮詰める。その時点で味見して好みの味に整える。
・生クリーム150cc程度を入れる。まろやかリッチにしたければ多めに。
・弱火で加熱してなじませたあと、甘い風味を出したくラム酒をふりかけた。
・ブレンダーにかけてなめらかにしたあと、容器に移して冷蔵庫で冷やす。
・特に冷やさずとも、出来たてのそのままでも、十分においしかった。
鶏肉の購入先は、下記を参照のこと。
■豚肉店の鶏肉が旨い! (←Click!)
というわけで、レシピをご所望のみなさん、あとはネットで複数のレシピを検索しつつ、「インドで揃う材料」で、適宜、がんばっていただければと思う。ちなみに、セロリやニンジンをいれるレシピもあった。それはそれでおいしいと思う。
調理実習参加者は、男子3名、女子3名。真剣度は若者男子の方に軍配が上がった。というか、体育会系比較的スパルタな指導に、20代若手男子がやむを得ず追随してくれた、とも言える。
「褒めて伸ばす」というよりは、「突っ込みをいれて潰しつつ、たまに励ましてもみる」という傾向にある自分に気づき、来年はもう少し、「普通にやさしく」ありたいと思う。
鶏肉は、余分な脂肪などを取り除きつつ「掃除」をして、水気を拭き取る。右は、巨大な豚肩ロース肉の塊を、キャベツを敷いた鍋に載せて蒸し焼くの図。
みなが歓声を上げるほどに、巨大なんです。この肉塊。鍋が巨大だからよくわからないかもしれないけれど。裏面は豚肉の皮だ。新鮮できれいな肉につき、コラーゲンもたっぷりと、くまなく食することができる。
初挑戦のチキン・レバーパテが大好評! ワインともよく合って、美味。インドのファミリーフレンドも、みな喜んで食べてくれた。これは今後のパーティの定番となりそうだ。
まだ到着していないゲストもいるというのに、調理実習から参加した面々は空腹に耐えかね、インド的にはありえない7時には夕食開始。ちなみにインドでは、このようなパーティの場合、カクテルタイムが延々と続き、夕飯は早くて9時、10時ごろから開始となる。ところでこの写真だと、鍋の大きさがよくおわかりいただけるかと。
豚肉の塊は、スライスして再び鍋に戻し、キャベツと絡めて出す。見た目は悪いが、これがもう、予想以上に大人気の逸品となった。遅れて来たゲスト4名が食べ損ねる事態に。
豚肉の脂身や皮の部分は苦手な人もいるだろうと思っていたのだが、今回のゲスト、そのような人が見られず。
カクテルタイムだけに参加するはずのインド人ファミリーフレンド(親子3人)も、「次のパーティでは、もう、夕食は食べないわ」と言いながら、ここでしっかりお召し上がりに。
柔らかさは塩麹のおかげだろう。また今度、日本で塩麹を調達せねば。それに加えて、ポークショップの豚肉が良質だったのも幸いしたのだと思う。ともかく、わたし自身、一口しか味見をできなかったが、自画自賛すべき味わいだった。
そして毎度おなじみの鶏肉。下に敷かれたジャガイモやニンジン少々を残す以外、こちらもきれいさっぱり、なくなった。
盛りつけが雑と言えば雑だが、ともあれタイ・バジルの風味も豊かに、シーフードサラダも美味。
その他、ポットラック的に、チキン南蛮やマカロニサラダ、野菜の煮込みにキュウリの浅漬けなど、料理を持ち寄ってくれたゲストもいたのだが、あっという間になくなってしまった。
思い返せば今回のゲスト、インターンの学生3名を含め、20代が半数近く。食べ盛りな人々が多かったことも理由であろう。ここが日本なら、おにぎりでもたっぷり用意したいところであったが、入手困難な貴重日本米を振る舞うほど、太っ腹ではなかった。なにしろ、夫がニューヨークからせっせと仕入れて来た田牧米ゴールド。大切に食さねば。
この日のゲスト、ミューズ・クワイアとロイヤルエコーのメンバー、計10名ほどが参加。というわけで、歌う歌う。アカペラで、ピアノ伴奏付きで、CDに合わせて……と、歌って踊って、エンターテインメントなひとときでもあった。
実はこの日、ゲストの仕事関係者もなぜか飛び入りとなったのだが、彼は初インドでバンガロール空港に到着し、その足で我が家に来訪したのだった。インドで初めて訪れた場所が、このクリスマスパーティ。
「インドって、こんな?」
と大いに衝撃を受けている様子だったので、「ここは特別。今夜は天国。明日から地獄かもよ」とだけ、伝えておいたのだった。
そんな彼も加わって、食後はクリスマスケーキのデコレーションだ。予め朝のうちに、スポンジケーキを焼いておいた。それに、生クリームとフルーツを添えるのだ。
スポンジケーキは、ロールケーキのレシピ通り。約12〜14人分のスポンジを2つ焼き、フルーツを挟んで二段重ねにする。
これまでのクリスマスケーキと言えば、ドライフルーツたっぷりのケーキやアップルタルト、フルーツタルトなどを用意して来たが、今年は日本のクリスマス風にイチゴのショートケーキをイメージしてみた次第。
不揃いのイチゴたちに加え、複数ゲストによって不揃いにスライスされたイチゴにバナナ、キウイらが用意され、手作り感満点のデコレーション。このあたり、若者らに任せた。
果物をサンドイッチにしたあと、全体に生クリームを塗り、最後のトッピング。
クリスマスにちなんで、イチゴで「X」模様を作ったらしい。それなりに、味わい深いということで。
ケーキもまた好評で、こちらも何一つ余ることなく、完食されたのだった。
なんだかんだと言いながら、なかなか静けさには至らない年末の我々。とはいえ、手がけた料理をおいしいと喜んで食べてもらえることは、とても張り合いがあり、また幸せなことであるなということを、しみじみと感じたのだった。
大人数料理はどうしても手早く簡単にできるものを、というコンセプトになりがちだが、これからも少しずつ、レパートリーを広げて、みなでワイワイ賑やかに食べられる「インドの食材を大いに生かした、健康的な料理作り」に、励んでみたいと思う夜でもあった。
ともあれ、豚肩ロースブロック肉の塩麹漬け&鶏レバーのパテ。この二つは間違いなく、我が家の定番料理になりそうだ。