10年前、インドに来たばかりのころ、国産の赤ワインの「おいしくなさ」は、辛かった。インド産ワインのパイオニア、マハラシュトラ州はナシック産のSULAですら、当時はまだ赤ワインが「焦げ臭い」感じで。
直前までカリフォルニアに暮らし、ナパやソノマのワイナリー巡りを楽しみ、決してワイン通ではないがしかし、手頃に美味なるワインを日常的に楽しんで来た身としては、なかなかに悲しい現実だった。
2007年だったか、SULAの白ワイン、Sauvignon Blancが急激においしくなって、感激したものだ。あれはコラマンガラにVIA MILANOというイタリアンレストランがオープンして直後、友人らとランチにでかけたときのことだ。あれから、幾星霜。
ムンバイに住んでいた2008年からの2年間は、ムンバイでしか手に入らないマハラシュトラ州のワインをあれこれと試したりもした。
SULAの赤ワイン。DINDORIの誕生に喜び、RASAの味わいには、最早、深い感動さえ覚えたものである。泥臭く、ボトルの底に澱が沈殿するワインに打ちのめされ、飲みきれず、ひたすら料理用のワインが増えていった日々がたちまち、昔日の思い出。
そして数年前、発売され始めたこのKRSMA。ここカルナタカ州、ハンピにあるワイナリーだ。
もう、悲しくない。全然、悲しくない。
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