思い出の詰まったヤズダニ・ベーカリーへ。1953年創業のこの店。イラン出自のパルシー(ゾロアスター教)家族が経営している。この古びた三角屋根の建物は、第二次世界大戦中、日本の銀行だった建築物だ。
今日、8カ月ぶりに訪れたら、前回、車いすで出勤していた長男ではなく、次男が店番をしていた。
2004年に初めてムンバイを訪れ、タージマハルホテルに泊まって翌朝。カメラのバッテリーチャージャーのコードがないことに気づいた。ホテルから、カメラ屋さんを求めて街をさまよい歩いているときに、パンが焼けるあまりのいい香りに吸い寄せられたのが、この店との出会いだ。
そのときの旅記録以来、過去のブログのあちこちに、この店の写真が散らばっている。
2004年の写真は次男。以来、彼とは店以外でも、NCPA(ムンバイのコンサートホール)などでも何度か顔を合わせた。それ以降は、長男が主に店番をしていたので、彼に会うのは本当に久しぶりのこと。
iPhoneで過去のブログをたどり、彼の写真を見せたら大感激の様子。写真を眺めながら、わたしの手を握り、自分の心臓に手を当てて、じっと離さない。このあたり、長男とそっくり。
同じ場所で撮影しましょうと声をかけたら、よたよたと立ち上がり、しかし元気さをアピールしてくれた。
勧められたアップルパイを食べながら、これから先はもう、安否を確認するために、足を運ぶようなものかもしれない、とも思う。