朝のうちは豪雨だったが、正午過ぎから雨脚が和らぎ、ゆえに友人とともに南ムンバイをめざした。かつてよく訪れていた、マリン・ライン沿いのサリー専門店 KALA NIKETANに立ち寄ったり、コラバ・コーズウエイにあるチョコレートブラウニーが人気の老舗ペイストリーショップTHEOBROMAを覗いたり。
大雨で外出を控える人が多いせいか、むしろ渋滞がなく、かつてなく短時間で移動できたのは、実に幸運だった。
タージマハルホテルでは、やはり老舗のブティックで質のいい手工芸のテキスタイルを眺めたり、お気に入りのJOY SHOESで定番のサンダルを購入したり。
そして最後にたどりつくのは、Sea Lounge。インド門を眺めるここは、本当にすてきな場所。ムンバイに住んでいたころは、しばしばここを訪れ、書き物をしたり、読書をしたり、したものだ。
喧噪と混沌のムンバイにあって、ここはオアシスのようでもあった。
ランチを食べていなかったので、早めの夕飯を兼ねてのアフタヌーンティーを楽しむことにした。延々、3時間ほども、おいしいスナックや菓子類、果物、そしてコーヒーやお茶を味わいつつ、語り合う。
かつてに比べれば呆れるほど、なにもかもが高くなってしまったけれど、しかしこの場所が紡いでくれる時間は、格別な輝きを放つ。自分にとって心地のよい場所を見つけられることは、ささやかながらも、大切なこと。だ。
わたしがムンバイで一番、気持ちが休まる場所は、過去から今に至るまで、ずっと、このオールドウイングのSea Loungeだ。
(ニューウイングの宿泊者も、オールドウイングのSea Loungeで朝食をとることができる。おすすめです)