夫と出会って20余年。「一人外食」が嫌いで「出前」も嫌い。手料理が好きだと言い張るがゆえ、結婚前の同棲時代から、わたしの不在時は、大量に料理を作って冷凍保存しておくのが常だった。
しかし2年ほど前に、北インドの「そこそこおいしい料理」を作ってくれるメイドさんが来てくれるようになり、不在時は彼女に任せていた。ところが今回連絡したら、「料理の仕事はやめた」とのこと。
辛いものが苦手、油脂も控えめ、あれこれと注文が多いため、料理人を見つけるのも一苦労。
ちなみにインド富裕層家庭の大半は、自宅に料理人がいる。我が家はメイドに掃除や洗濯を頼んではいるが、料理はわたしがしている。ゆえに、短期間だけ誰かに頼むというのが、難しい。
昨今のインドは、ヘルシーな料理を提供するデリヴァリーフードのスタートアップも次々に誕生し、選択肢もあれこれとあるのだが、夫は頑なに試そうとしない。そもそも冷凍・解凍というプロセスを経ると、食の力は断然落ちる。冷凍の手料理より、新鮮な出前の方がいい場合もあるのだが……。
猫ご飯クッキングのあとは、人間ご飯クッキング。妻が不在時の、夫の食事を大量に作る。仕出し屋と化す、夕暮れ時。
このところ、食のブログの更新も滞っているが、毎日作って、食べている。このごろは、Eコマースの劇的な成長のおかげで、素材の調達もヴァラエティ豊かに手軽になった。
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ともあれ、食事が大切すぎるお方につき、作りおきをしておくに越したことはない。ちなみに我が家は電子レンジを敢えて使っていないので、料理はあらかじめ解凍しておき、フライパンなどで加熱する必要がある。
加熱しても焦げ付きにくくするため、汁気のあるものを。尤もインドの人たちは、食事における「ドライ(汁気なし)」と「グレイビー(汁気あり)」の調和を重視する。レストランなどで、汁気のない料理ばかりを頼むと、汁気のあるものを頼んだ方がいいと促される。
インドにおけるケチャップの消費量が恐ろしく多いのは、ピザやフライドポテトやクラブハウスサンドイッチなど「ドライ」なものを食べるときに、汁気を欲するからだ、と、わたしは常々思っている。それは、非インド料理でも徹底している食の文化だ。
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かくなる次第で、◎丸鶏のぶつ切り、大根と玉ねぎとの煮付け ◎小エビとイカのガーリックバター炒め ◎豚バラ肉とインゲン、ナスの味噌炒め ◎マナガツオの塩焼き……などを料理。主にノンヴェジ(肉魚類)を作っておき、そのときどきで、サラダや野菜は出前をとってもらうことにした。パンは明日焼き冷凍する。ごはんは必要に応じて、メイドに炊いてもらう。
そうして、こんなに作っても、結局は「やっぱり友人と食事に行った」だの、「出張が多くてさ〜」だのと言って、毎回、残っていたりするのだ。やれやれ。