ロックダウン26日目。軟禁生活30日目。全世界を眺めるに、新型コロナウイルスの威力が、早々に収まりそうな気配は感じられない。いろいろと考えて、熟睡できない日も多い。それでも、家事もエクササイズのひとつ、身体を動かし、よく食べ、体調もよく、概ね平穏な日常だ。数日に一度は夫とのバトル(大小)が展開されるが、それは今に始まったことではない。
そもそも27歳のときからフリーランスとして独立しているわたしは、家に籠っての仕事が通常モードにつき、「外に出かけられない」「夫が四六時中いる」ということを除いては違和感はない。毎日が週末のようなムードの中、「平日と休日」の差は、自分の中で設けている。
違いは「昼間からアルコールを摂取するか否か」くらいなのだが。平日は午後6時以降。休日はランチタイムでもOKという、自分なりのルールである。
ロックダウン以来、アルコール店は販売を停止している。アルコール飲料は生活必需品ではないのだ。赤ワインやハードリカーは、ストックがたくさんあるのだが、盛夏に飲みたい白ワインは皆無。スパークリングワインは大切に保管していたものが2本、ビールは残すところ1本。もう、この1本をどうしろというのだ、という感じの1本。
日曜日、ついには1本のスパークリングワインを開けた。まるで儀式でも行うが如く、丁寧に、恭しく開栓。一滴たりともこぼさぬよう、丁寧に注ぐ。飲みなれたナシック産(インドのマハラシュトラ州)のシャンドンが、殊の外、格別に、おいしく感じられる。
ところで、インドのロックダウンをして、多くの日本の人たちからは、気の毒がられる。確かに、気の毒な境遇の人たちも大勢いるのだが、しかし同時に、この1カ月の経験が、その後の人生の指針を大きく変える意義深いものになっている人も多くいるということは、間違いない。
ネガティヴなことばかりではない。
わたしのインド人の友人らの暮らしの変化もまた、それが顕著に見て取れる。
息子は自分の料理が好きだが、今までは仕事が中心で作ってやることができなかった。今は二人で作っている。
子供と一緒に歌やダンスを練習する。
自分で部屋の片付けをして、不要なものの多さに驚く。
山積みになっていた本を紐解いていく。
昔好きだった絵画を始めてみる……。
それは、わたしが今年のはじめに決めた、「緊急じゃないけれど大切なこと」を重視する、「大きな石」を優先して瓶に詰めていくライフが、図らずも具現化しているような気がする。
わたしはといえば、「書く」表現から「話す」表現で、インターネットの海を泳いでみようとの契機となった。これまで幾度となくやろうと思いつつできていなかったことに踏み切れたのは、外出できない環境に陥ったためだ。
無論これも、インターネットという文明の利器が、維持され続けてこそのものではあるが。
今まで、Youtubeを通して、動画を見ることはあっても、「ユーチューバー」と呼ばれる人々の動画を見続ける習慣はなかったことから、いったい誰の何を参考にすべきかよくわからない。
ともあれ、伝えたいことのネタは尽きない。ただ、ブログにせよ、SNSにせよ、わたしが発信している内容に関心を持ってくれる人は、極めて少数派だとは理解している。自分の生き方が多分マイノリティだから、共感度が低いのは当然といえば当然だ。
「暖簾に腕押し」な状況には慣れているが、願わくば、同じような波長を持った、なるたけ多くの人に、インドをはじめ、わたしが見てきた世界のこと、旅のことなどを伝えたいと思う。同時にそれは、同じような感性を持った人と出会う契機でもあるような気がしている。
・インドのライフスタイル情報
・日々の食生活と健康管理
・インドの概要(歴史、文化、政治、その他)
・忘れ得ぬ旅先と、そのエピソード(ありすぎる)
・文学、音楽、アート、エンターテインメント
・異文化コミュニケーション(若者向け)
・ミューズ・クリエイション情報(慈善活動)
・インドの慈善団体のファンドレイジング(資金調達)協力
・マルハン家のクアトロ・ガッツ(4匹の猫)←強力な助っ人
……と、ざっと思いついた項目を挙げていくだけで、それぞれ15分……1000本分くらいのネタはある気がする。高校球児か!
と、自分に突っ込みつつ、大きく出て続かないのは情けないので、とりあえずは100本を目指そうと思う。そうしているうちにも、マイノリティの母数が少しずつでも増えてくれれば、やりがいも出てくるというものだ。
地道にやってみよう。
それにしても、空の青さよ!