このごろはもう、呆れるほどに降り続く季節外れの雨。友人夫妻に招かれてランチへ赴くころ、久しぶりに青空が見えた。空気が輝き、視界が開けて清々しい。
「マンガロールの家庭料理を食べにおいで」と言われ、二つ返事で誘いを受けた。我が家の近所にある「マンガロール・パール」という老舗で、肉や魚が豊富な料理を食べたことがあるが、家庭料理を味わったことはない。インド料理は家庭の味が格別なのだ。
マンガロールはバンガロールと同じカルナータカ州ながらも、ケララ州にほど近いアラビア海に面した土地。わたしたちは、5年前にケララ州のべカル(Bekal)を旅した際、マンガロール空港を利用したものの、目的地へ直行したためマンガロールを知らない。
友人夫妻は子供のころからバンガロールに暮らしているが、出自はマンガロールのクリスチャン。食卓には、マンガロールのクリスチャンコミュニティで食されるという、イディリに似たサナ(Sanna)という米粉を発酵させて作った蒸しパンをはじめ、豚肉、鶏肉、魚、エビなどのノン・ヴェジタリアン料理、そしてバナナやドラムスティックのカレー、ナスのマリネ、きゅうりのライタなどのヴェジタリアン料理が並ぶ。
我が夫が「辛いものが苦手」だということを知り配慮してもらっていたので、味付けもマイルド。どれも非常においしい。個人的には、プランテーション・バナナのカレーや、ココナツ風味が効いたナスのマリネが、初めての味わいでとてもおいしかった。
招かれたゲストを含め7名と小人数だったこともあり、昼間からワイングラスを片手に、語り合いながらの心地よい午後。大人数で踊って賑やかなパーティも楽しいが、こうして小人数で意見を交換し合うパーティは、わたしにとっては特に有意義。インドの文化、ライフスタイル、ビジネス……さまざまに、話ができる機会でもあるからだ。
コーヒーテーブルに置かれていたチェティナード料理の本からも話が広がる。お隣タミル・ナドゥ州のチェティナードは、壮麗で豪華な宮殿や邸宅が残されている歴史豊かな土地で、THE BANGALAというホテルの料理が格別らしい。
わたしがチェティナード料理のことを知ったのは、今年ClubHouseで知り合った真更薫さんに教わってから。以前、「知らずに」バンガロールの店で食べたことはあったが、THE BANGALAの料理は別格で、とにかくすばらしいとのこと。友人夫婦も太鼓判を押す。
チェティナードには、先日から度々記しているところの「和製マジョリカ・タイル」をふんだんに使った邸宅もあるようで、近い将来訪れたいと思っていたところ、友人らからも「絶対に行くべき」と強く勧められる。
本当に、インドは魅力が無尽蔵で、困ってしまう。来月は近場を旅する予定だが、未だ行先定まらず。どこへ向かうのだ我々は……!🇮🇳