(日本語は下に)
Unexpectedly, my husband and I had an elegant dinner together.
I am wearing a Banarasi saree which is made in Varanasi (complicated). I bought this hand-woven saree about 10 years ago at Kala Niketan in Mumbai. I love the floral pattern, reminiscent of Botticelli's “Primavera”, spread over the soft yellow gold.
(I nearly always write in Japanese, and the auto-translation is often incorrect and misleading.)
インド生活における「個人的な負の側面」は、敢えて書かないようにしている。優先して書きたい「いい部分」がたくさんあるし、ぼやいている暇はない。トラブルその他の大半は、あとで「笑いのネタ」にもなる。
さらには昨今、ソーシャルメディアにて勝手に提供されている「自動翻訳」の存在もある。わたしが毎回のように、「自動翻訳は誤訳が多い」ということを記しているのは、日本語が読めない友人知人に対しての警告だ。
自動翻訳の「悪意」としか思えないミスが原因で、わたしたち夫婦はこれまで、どれほど喧嘩を重ねてきたか。わたしが「夫」と入力した時点で、自動翻訳機は夫婦の危機を誘発したいと考えているに違いない。とさえ、思えるほどなのだ。
一例を挙げよう。わたしが福岡へ帰省したときに、ラーメンを啜る音をもじった、「ZURUZURU」というロゴ入りのTシャツを買った。そのことをして、
「わたしは、ちょっと子供っぽい、ふざけたTシャツを、夫へのお土産に買った」
という文脈で記録を書いた。それを自動翻訳機は、
「わたしは、子供っぽくて愚かな夫に、Tシャツのお土産を買った」
と、訳しやがっているのだ!!! もうね、ないやろ。まじで。
ゆえに最近は、「夫」のことを、あまり書かないように心がけている。が、今日は書く。
昨日19日。夫から、友人夫妻のパーティの招待を受けていると聞いていた。ディワリのシーズンゆえ、サリーを着ていくべしと、いそいそ準備をした。これは、10年ほど前に、ムンバイのKala Niketanで購入したバナラシ・シルクの手織りサリーだ。
淡いゴールド・イエローの地に、花が織り込まれている。ボッティチェッリの『プリマヴェーラ』を思わせる柄が、とても気に入っている。
雨の降る中、友人宅へ向かうも、Googleマップの示すポイントに辿り着けない。夫が友人に電話をして確認したところ……。
「え? 来月?!!」
パーティは、10月19日ではなく、11月19日だった模様。
諸々立て込むこの季節。互いのスケジュールは常に擦り合わせを……と、今朝も二人での打ち合わせで、「日付の間違いをしないように」と言っていた矢先!
せっかくおめかししたのに、このまま家に帰って、出前を取るとか、いやすぎる。
というわけで、帰路、OBEROI ホテルに立ち寄り、WABI SABIで晩餐。わたしは最初の数十分、不機嫌である。大人気ないのである。
「思いがけず、二人のデートができて、よかったじゃない」と、夫は言うが、すぐに気持ちの入れ替えができない。
窓辺の席で、雨音を聴きながら、黙ってドリンクメニューを見つめる。ENLAIというカクテルにしようと思う。柚子と花、ジン。
……と、夫は、わたしが注文するよりも先に、ウエイターに向かって「僕はこの、ENLAIにします」という。
思わず笑ってしまった。
数あるドリンクメニューの中で、同じものを選ぶ。これはニューヨークで出会ったときから、わたしたちに共通することだった。他に何の共通点もないが、好みの飲食物が似通っているのだ。
ENLAIは、多分、遠雷のことだろう。Distant thunder.
「遠雷とは、遠く彼方から聞こえる雷鳴のことだよ」と教えたら、きれいな言葉だねと気に入っていた。
いい夜だった。ということにしよう。