バンガロールは本格的な夏を迎え、空気が一段と乾燥します。熱中症にかかる人も少なくありません。実は9年前、ミューズ・クリエイションのメンバーだった男性が、サッカー(フットサル)の試合でスリランカに赴いた際に熱中症に罹り、非常に危険な状況に陥りました。帰路の機内では「全身が硬直」、誰もそれが「脱水症状」だとわかってなかったらしく、同乗していたメンバーは「死ぬんじゃないか」と本気で思ったそうです。空港からコロンビア・エイジア・ホスピタルに急行し、数日の入院を経て回復されましたが、本当に危険なことでした。
そのときにサッカーのメンバー向けに書いた記事を含め、かつてミューズ・クリエイション通信で記載した情報などを以下にまとめてシェアします。
★帽子、日焼け止め、むしろ長袖、サングラスなど。
この先、数カ月のバンガロールは一年で最も暑い季節となります。湿気の多い日本の夏、あるいはチェンナイやムンバイの暑さと違い、不快指数は低いものの、水分が不足しがちです。即ち脱水症状になりやすいといえます。木陰などは風も涼しいので、うっかり「大丈夫かも?」と思ったりしますが、日差しを遮るもののない炎天下では、気温が非常に高くなります。帽子などをかぶる、日焼け止めを塗るなどして、日差しから身体を守りましょう。
また、肌を日差しから守るために、露出を控え、薄手の長袖を着用することをお勧めします。万一、日焼けした場合は、速やかに「アロエジェル」を塗って皮膚を冷やしてください。アロエジェルはドラッグストアやオーガニックショップで入手できます。また、日射しによって目もやられますので、外出時はサングラスをかけることをお勧めします。
★喉が渇いてからでは遅い! 常に意識して水分の補給を
水分といっても、普通のボトル水は身体に吸収されにくく、体内の塩分が低下します。「塩分が少量含まれており、吸収をよくするための糖質が入った飲料」が、スポーツ時には好適です。
たとえば、嘔吐や下痢などの症状、あるいは高熱が出たときの水分補給には、「天然の点滴」とも言われるココナツウォーターが最適ですが、スポーツ時など、汗で溶け出した塩分を補うには、ナトリウム(Sodium)を多く含む「エレクトラル(ELECTRAL)」をお勧めします。最寄りのドラッグストアで入手できます。いくつかのサイズがありますが、わたしは小さいサシェ(1リットル用)を複数買っておき、旅行に出る時などにも持参しています。夫が、比較的胃腸が弱いので、万一食あたりになったりした際に役立つのです。ボトル水の中に入れて振って飲めばいいので便利です。
また、バンガロールではあまり見かけませんが、4月~6月に、乾燥した猛暑に襲われるデリーなど北インドに赴くと、よく「ニンブ・パニ」が売られているのを見かけます。以下に詳細を記していますが、レモン水です。水にレモンの絞り汁と、砂糖と塩を入れたものです。簡単に作れるものですから、これをスポーツの練習時に持参するといいでしょう。エレクトラルよりもナチュラルなので、飲みやすいしおいしいと思います。いずれにしても、身体のためには「氷入りの冷たい飲み物」は極力避けた方が無難です。
★普段からの運動に加え、練習前には入念なストレッチを
みなさん、ご存知だとは思いますが、普段からヨガやストレッチ、ラジオ体操などで身体を伸ばしたり、ウォーキング、ジョギングなどで身体をほぐしておくことはとても大切です。また、スポーツの直前には、特に時間をかけてじっくりとストレッチをされることをお勧めします。たとえ若いころ、運動をしていたとしても、日頃やっていないと、肉離れを起こしたりアキレス腱を切ったりしやすくなります。
★運動の前は、満腹でも空腹でもNG!
空腹時の運動は、血液中のブドウ糖が不足して低血糖症になる恐れがあるそうです。逆に満腹だと、消化器官に集まるべき血液が全身に巡り始めるため、消化不良を起こしてしまう……というわけで、いずれも身体に負担をかけます。運動前は脂質を控え、おにぎりなど炭水化物を少量をよく噛んで、あるいはバナナなど消化のよい果物、野菜ジュース、栄養補給の食べ物などを摂取しましょう。
★空きっ腹に飲酒は、場合によっては命取り! 特に乾燥している時期は注意が必要
それから最後に。アルコールは「水」ではなく、「火」のようなものです。アルコールは体内を乾燥させるので、水分補給にはなりません。空きっ腹でアルコールを摂取すると、身体に多大な負担がかかります。特にスポーツ直後の飲酒には、くれぐれも気をつけてください。
「とりあえず、ビール」「喉が渇いている時のビールはおいしい!」と多くの日本人が口を揃えて言いますが、身体にとっては「毒を流し込んでいるようなもの」です。真っ先にビールを飲みたい気持ちはわかりますが、やめましょう。
特に、暑さなどで身体が疲労しているときにアルコールを摂取すると、内臓や筋肉に悪いのはもちろん、血糖値も下がるし、疲労感を増長します。場合によっては気を失うことにもなります。どうしても飲みたい場合は、まずはアルコール以外の水分を取り、胃袋に食べ物を入れ、筋肉が冷えきったあと、よく冷えたビールを飲むことをお勧めします。
●ELECTRALエレクトラル/インド版ポカリスエット。熱中症予防や食中毒時にも便利
飲み過ぎ、食べ過ぎ、食あたり……。嘔吐や下痢に見舞われた際の、水分補給に役立つエレクトラル。粉末を水に溶いて飲めば、水分が速やかに身体に吸収される。ポカリスエットのメディカル版。たいていの薬局で販売しているので、今すぐ調達を!
●TUSS NIL/喉の痛みや咳に即効性あり。症状の出始めに服用するのがポイント
KERALA AYURVEDAの咳止めシロップ。天然の成分につき、一般の咳止めシロップのような毒々しい甘さや人工的な風味がせず、副作用もない。咳がひどくなる前、「喉が何だかいがらっぽいな」「ちょっと風邪気味?」というときにすかさず飲もう。坂田マルハン家およびその周辺でも、非常に重宝している。常備薬としてぜひとも購入しておきたい商品だ。keralaayurveda.bizほか、amazon.in, Bigbasket.comなどでも入手可能。
●PUDIN HARA/胃腸の不調の特効薬! ミントの濃縮液
極度乾燥の話題とはずれるが、常備薬でお勧めの筆頭がこれ。食べ過ぎによる胃のもたれ、不快感、ガス、消化不良などに効果のあるミントの濃縮液プディン・ハラ。アーユルヴェーダの処方による生薬だ。単なるミントの濃縮液だからと侮るなかれ。我々夫婦は、このプディン・ハラにどれだけ救われたことか。
外食で食べ過ぎたとき。二日酔いで具合が悪いとき。乗り物酔いでぐったりしたときなど、爽やかなミントの香りが、胃の不快感を速やかに取り除いてくれる。脂っこいものを食べたとき、濃厚なインド料理を食べたときなどにも、ぜひ一粒二粒、たっぷりの水と摂取したい。げっぷ(失礼!)が爽やかなミントの香りに変化する。
液体が即効性が高いがタブレットが携行に便利。たいていの薬局で販売されている。ボトル入りは、BigBasket.comでも販売されている。
わたしは、日本への一時帰国時に友人らへのお土産に持参している。かなり喜ばれる。なお、小さなボトル入りの液体は、グラスに水をいれ、数滴を落として飲む。間違っても一気飲みしないように。
●ココナッツ・ウォーター/天然の点滴。神に捧げる果実の威力は絶大。
ほのかに甘みのあるあっさりとしたジュースで、速やかに喉の渇きを潤し、体内に吸収される。暑い時期の身体冷却、嘔吐や発熱の際の水分補給に好適。アーユルヴェーダによると利尿効果や精力増進効果もあるとのこと。点滴と類似した成分を含む。ただし、塩分を含まないので発汗した際には、ココナッツウォーター以外に「塩分」の接種が必要。
●ニンブ・パニ(レモン水)/夏のインドの風物詩。ヒマラヤの岩塩とジャガリを混ぜて飲む
インドで「レモン」と言えば、このピンポン球大のライムをさす。廉価で出回っている一般的な柑橘類。夏になると家庭ではnimbu pani(ニンブ・パニ:レモン水)が作られる。家庭によってレシピは異なるが、基本はライムの絞り汁にハチミツ、あるいは砂糖(ジャガリ)を加えたものを水で割る。汗をかいたあとは、塩(岩塩)を加えたほうがよい。食堂やレストランのドリンクメニューにも必ずあり、ソーダ水で割るのも一般的。アーユルヴェーダ療法によれば、風邪、胃の不快感、肥満に効く。