ヴェトナムやカンボジアを舞台に、30店舗以上を展開する人気のピザ・レストランPizza 4P’s。経営するのは、日本人夫妻、益子陽介氏と高杉早苗氏だ。店舗やお二人の背景については、ネット上でも数多の記事が掲載されているので、ここでは割愛。
近々、東京の麻布台ヒルズ、そしてバンガロールのインディラナガールに新店舗をオープンするという話は、CEOである益子陽介氏のソーシャルメディア (SNS)で、半年ほど前から拝見していた。
実は2016年、わたしは、共通の友人である豊田氏を通して、益子氏及びフレッシュ・チーズ作りのスペシャリスト小貫氏と、お会いしていた。ゆえに、バンガロール進出の報を知ったときには、とてもうれしかった。
ヴェトナムやカンボジアで成功されているのだから、インドでもきっと、荒波を乗り越えられるのだろう……と思う一方、この7年間で目まぐるしく変貌したバンガロール(インド都市部)の外食産業事情、ピザ業界の急伸、そして「何をするにつけても、ハードルしかない」インドにおいては、タフな思いをされているかもしれない……とも思った。
広大無辺のインド世界、もといインド宇宙。住んでみなければわからないことばかり。
先日、インド人の嗜好を鑑みてのメニュー作りに苦戦されている様子を 益子氏のX (Twitter)にて拝見し、うっかり、口を挟みたくなった。しかし、余計なお世話かと憚られ、ぐっと我慢しつつ😅、ここは開店を楽しみに待つにとどめようと思っていた。そんな矢先の、我が日本旅直前。益子氏からメッセージが届いた。
インドの食事情などに関してお話を聞きたいとのことだったので、二つ返事で、帰国後(29日)に、「インドの食生活と健康管理セミナー/スペシャル濃密編」を実施することとなった。
できればその前に、料理の味を試させてほしい。サイトなどで美味しそうな料理を拝見してはいたものの、実際に食べてみなければ、テイストに寄せた話をする際、核心を突けない。バンガロールに戻ってきた翌日(一昨日)の朝、どうしても気になり、セミナーの前にテイスティングをする機会はないかと問い合わせた。すると、偶々その日にも実施予定だということだったので、急遽、バンガロール市街南東部、タミル・ナドゥ州に近い場所にあるキッチンへと赴いたのだった。
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益子氏曰く、ヴェトナムやカンボジアよりも、「インドは非常にタフ」だとのこと。言わずもがな、痛いほどにわかる。2005年以来、公私に亘り、自他共に、数えきれないほど「インド進出の困難さ」を目の当たりにしてきた。あらゆる側面において。インド人の夫ですら、何度、打ちのめされてきたか。インドでのライフを軌道に乗せるためには、何が決め手となるのか。それはまた千差万別につき。
一概には言えないことを前提に、わたしが思うところ……。まずはこの国の多様性の実態や歴史、文化、生活習慣や価値観の探究は不可欠。その「基礎の上に」、自分の軸をぐっと刺す。暴風に吹かれて揺れても倒れぬ軸を刺す。基礎なき地盤はもろいから、倒れる。
そして具体的なVISIONを描く。プロセス(過程)に有意義を見出す。矜持を揺らがせない。日本的な「時間の概念」を脇において、インド的な時間の流れをも尊び(←超絶困難😅)、その上での事業計画(予算案)作成……と、偉そうに書いているが、本当に、このあたり、「肝」なのだ。
さて、テイスティングである。サラダに前菜、パスタにピザ……。この日、数あるメニューの中から10種類を超える料理が出された。「全部食べたらお腹いっぱいになりますから、味を見たら吐き出してください」とビニル袋を渡された。ワインのテイスティングで吐き出すのは知っているが、料理でもそうなのか……。と思いつつ。結論から言えば、「吐き出すなどもったいない!😂」
実はうっかり、ランチに、ごはんと味噌汁をがっつり食べて参上してしまった。しかしながら、インドの食材を吟味し、試行錯誤して作られた料理の数々。バンガロールで作られたフレッシュチーズもまた新鮮でおいしい! 少しずつ、しかし確かに、味わった。気に入った味のピザやサラダなどは、次の料理が届いても皿の隅に確保、のちに食べるなど、楽しませてもらった。
正直に言えば、インド人の意見を受け入れすぎてか、「ちょっと難解……」と迷走気味な料理もあった。シェフも悪戦苦闘されていることだろう。しかし「基礎」が完成しているのだから、多分、ちょっとした改善で、完成形が導かれるに違いない。……などと偉そうに書いているわたしとて、エキスパートではない。世界各地を旅し、インドの食生活を知る者としての経験値をフル稼働し「客観的」「主観的」双方の意見を忌憚なくお伝えしたのだった。
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日本旅の直後で、正直に言えば立て込んでいるときに、なぜわたしがこんなに前のめりなのか……といえば。
出発前に益子氏からご連絡をいただいたとき、彼らが紹介されている数多の記事を拝見して、共感する点が多く、その実行力に感銘を受けたからに他ならない。ご夫婦がピザ事業を始めることになった契機や思い、そして指針を目にし、何度も頷きながら読んだ。
同志のようなご夫婦の協調、そしてバンガロールでの開店に向けて、一斉に拠点を移された日本人スタッフやヴェトナム人スタッフ……。そのチームワークにも驚いたし、それをマネジメントされているお二人にも、感嘆するばかり。「タフなインド」を知っているだけに、尚更だ。
インドで「ことを起こす」際には、「千手観音」的な対応力が要される。店舗の工事(超混沌)に、事務手続き(超混沌)、人間関係(超混沌)その他諸々、「うぉ〜」と発狂したくなるような事態が連発だ。しかも、現在のインドは絶賛ホリデーシーズンで、時間が停滞する。周囲を変えることは無理だから、自分の精神に向き合うしかない……といった達観の境地を望まれもする。
これからオープニングまでは、波乱が続くだろう。
しかし、店舗のロケーションも、店のコンセプトも、全般に亘ってすばらしい。この店が開店したら、わたしは間違いなく、ARAKU COFFEEと並んで常連になるし、インド友らにも強く勧める。とても楽しみにしている……ということだけを、ひとまずは残しておく。
🖋試食会参加に関してはオフレコかと思っていたが、益子氏が公表は問題ないとおっしゃっていたので、ここに所感を残す次第。この記録もまた、未来、ひとつの思い出になることだろう。
📷2016年のスクリーンショットは、豊田さんのFacebook(🌏公開)からお借りしました。全体的に初々しい😁
【波乱万丈】ピザ激戦区・インド進出奮闘記/サイバー辞めてベトナムでピザ屋で成功/インド成功のカギは水牛チーズ/サイバーエージェント流ピザ事業は成功するのか? (PIVOT 公式チャンネル)
https://www.youtube.com/watch?v=D9sVLwR5smo
🍕ベトナムを席捲する有名ピザチェーン店オーナーは日本人。「Pizza 4P’s」CEO・益子陽介氏インタビュー (SmartWeb)
https://smartmag.jp/archives/25175/
🍕「Pizza 4P's」を通じて、世界中に笑顔を増やしたい。ベトナム・ホーチミン在住 高杉早苗 (motokura)
https://motokurashi.com/vietnum-pizza4ps/20171218
🍕【特集】Pizza4P’s開業10周年記念|益子陽介・早苗氏インタビュー (vietexpert)
https://vietexpert.jp/discovery/feature/18963