一昨日の「浴衣 (Yukata)」を、いろいろな方から褒めていただき、大変うれしい。今回の日本にて、季節外れかもしれないが、もしも入手できれば新しい浴衣を買いたい。なにしろ、持っているのはこの1枚と、あとは高校時代(!)の体育祭で盆踊りを踊るために仕立ててもらった40年ものが1枚あるのみ。「ヴィンテージ浴衣」として、これも別の機会に着ようと思う。
さて、オベロイホテルのWABI SABIという日本料理店を貸し切って開催された一昨日のイヴェント。今回も、グローバルな実業家たちのグループ、YPOが主催するもので、親しい友人が幹事だったこともあり、手伝うことになった次第。実は2年前にも、YPO主催の日本に関するイヴェントをサポートしたことがある。
そのときには、わずか1週間足らずの準備期間で、参加者40名の浴衣を仕立てたり、日本風の会場を手配したり、驚くべき速度で「ジャパン・ナイト」が実現した。パンデミックが明けて以降、日本を旅するインドの友人らが急増し、各方面から日本についてを尋ねられる。彼らの好奇心を満たすべく、日本の魅力を引き出すアイデアは数々、湧き出るのだが、わたしの身一つでは足りず。ひとまずは、一人で動けるところから……と、動いている次第。
この日のわたしの役割は、日本料理の概要を説明すること。当初は、主催者の要望もあり、ヴェジタリアンの人が、いかに日本で食事を楽しむかを話すつもりだったが、それだけでは当然ながら日本料理の魅力が伝わらない。
ヴェジタリアンは精進料理との関わり、「禅」の教え、店の名前にもなっている「侘び寂び」についての説明をしつつ、インドにおけるサトヴィック料理との共通性などを説明。それ以外は、肉や魚などを含む、日本食の歴史や基本的なメニュー、諸々の背景などについて語った。日本人の国民食としてのカレーの説明や、インド独立の革命家らによって育まれた中村屋のカレーや銀座ナイルレストランのカレーについても言及するなど、そこそこに深い。
ところで、友人のYashoが着ているのは、バンガロールのブティックで購入したという日本の羽織(はおり)。実は海外で、日本の羽織風をデザインし「キモノ」と称して販売しているケースは少なくない。こういう着こなしも素敵だ。
デザインによっては、サリーの上に羽織を着るというのもありだと思う。南はともかく北インドは冬場寒くなる。サリーの上にカーディガンやパシュミナのストールなどを羽織るのが一般的だが、羽織ならば、ゆとりがあるので、サリーの上からでも着やすいし、美しい。日本で仕入れてこようかしらとも思う。
シェフによるクッキングのデモンストレーション、そしてわたしのレクチャー、食事……と豊かなプログラムだった。わたしからは、コンプリメントでギフトを準備。毎度のように、参加者の名前を「いい感じの漢字」の当て字で記し、京友禅柄のかわいらしい千代紙で鶴を折った。千代紙の美しさも、本当に格別。ミューズ・クリエイションの活動でも使ってきた千代紙。このごろは、一時帰国のたびに、上質なものを入手し、ギフトにアレンジして使っている。
筆ペンと紙と千代紙さえあれば、日本風の世界が表現でき、特別なギフトになるのがいい。ちなみに、幹事が準備したギフトは、著作権フリーの写真をプリントしての日本風の箱、そして名入りの夫婦箸、寿司などを盛り付けるのに好適な黒い石製のお皿。WhatsAppで情報交換しつつ、彼らは瞬く間に、業者に頼んで準備してくれる。
わたしが、インドの富裕層やアカデミック層、社会的な影響力を持つグローバルなコミュニティの実態について、折に触れて克明に記すのは、この国の強さの理由のひとつを、日本の人たちにも知ってほしいからだ。インドに対して「新興国」と下に見る人が多いからこそ、敢えて。思いは募るが今日もまた、拙速ながらも経験を記す。
🇯🇵わずか1週間で準備完了! 日本がテーマのヴァレンタインズ・デー(2021年2月)
https://museindia.typepad.jp/2021/2021/02/valentines.html
🇯🇵日本の酒と日本のお茶。日本の味覚でインドの友人知人をもてなす夜。(2022年9月)
https://museindia.typepad.jp/2022/2022/09/japan.html
🇯🇵YPOフォーラム/ドキュメンタリー動画 久しぶりに集った盟友8人。(2020年12月)
親日派の彼女たちに聞く日本旅のエピソード。日本の文化やライフスタイルに対する印象
https://youtu.be/7ZmPZQIHuuk