インド移住当初の2005年末あたりは、限られた店で、限られた数しか、オーガニックの食材を目にすることはなかった。
『激変するインド』(西日本新聞)にも記したが、しかしここ数年のうちに、複数のオーガニック食品ブランドの食品を、さまざまなスーパーマーケットや小売店で目にするようになった。
ムンバイ宅滞在時に利用しているのは、アパートメント向かい、ワールドトレードセンター内にあるGodrej(財閥)系の高級スーパーマーケット、NATURE'S BASKET。
インドにしては、「高級スーパーマーケット」的位置づけだが、先進国基準で見れば、輸入物も置いてある小規模商店、といった店である。
日本のコンビニエンスストア程度の広さであるが、ともあれ、野菜や果物、肉類などの生鮮食料品、輸入加工品、酒類もあるなど、一通りの食材が揃う。
国産の食材の品揃えが少ないのが玉に瑕だが、数回に一度、やはり近所にある、ごちゃごちゃとあらゆる商品が積み上げられている「インド的コンビニエンスストア」へ赴き、不足分を調達する。
さて、NATURE'S BASKETのオーガニック食品のスペースは、ここ1年半のうちにも、徐々に拡大、充実の傾向を見せている。
NATURE'S BASKETの店内でも、さまざまな種類の粉類(各種小麦粉、米粉、豆粉)、岩塩、砂糖、各種豆類、米類、油、ハチミツ、スパイスなどが並んでいる。値段は、先進諸国のそれに比べれば遥かに安い。特に穀物の安さと豊富さを目前にすると、看過することができない。
「これらをなんとか有効利用したい!」と思わせるに十分な、魅力的な商品が揃っているのだ。
先日は9種類の豆が混ざったものを一袋購入し、豆とキャベツのスープを作った。多種の豆を食べているというだけで、ずいぶん健康的になった気がする。
右の写真がそれだ。
無精製の全粒小麦粉 (ATTA)に、玄米、大豆、ヒエ、アワ、モロコシ、大麦の粉がブレンドされたものらしい。チャパティやパラタ、あるいはパンケーキなど、いろいろと活用法はあるのだろうが、今日はパンを焼いてみることにした。
Whole Wheat, Bread, Recipeで検索したところ、ある米国人女性のブログにあるレシピが簡単そうなので、使わせてもらうことにした。
ぬるま湯、牛乳、ハチミツ、植物油、イースト、塩を混ぜたものに、粉を加えて捏ねるだけ。油とハチミツが若干多いような気がしたが、これがしっとりの秘訣かもしれないと思い、レシピに従った。
バンガロール宅にオーヴン専用の温度計を置いてきたため、適切な温度を測れない。ムンバイ宅のオーヴンがどれほど忠実かあやしいところだが、ともあれ、焼いてみることにした。
型も適切なものがなかったので、ムンバイ宅に唯一用意していたケーキ型を使うことにした。生地をボールに入れて1時間、型に入れて1時間、計2時間発酵させたあと、オーヴンで30〜40分ほど、焼いた。
スライスして、さっそく味見をしてみたところ、しっとりとしておいしい! 油が入っているので、決して低カロリーとは言えないが、素朴で健康的な味がする。
複数の粉による、懸念していた臭みもなく、ハチミツのほどよい甘さと相まっている。バターを付けるとカロリー過多になりそうだが、スリムな向きにはバターをつけて食べるのもよいだろう。
インドの食材をフルに活用したパン作り、かなり楽しい。次回はハードブレッドに挑戦してみたいと思う。