キングフィッシャーの独壇場だったインドのビール市場に、「彗星の如く」現れ、少なくともデリー、ムンバイ、バンガロールなどの都市部においては、あっという間にその名を広めたクラフトビール、BIRA91。
ブランディングについて調べていたところ、興味深い記事を発見したのでシェアしたい。
BIRA91概要は知っていたが、商品名にまつわるエピソードなどは、この記事で初めて知った。なんと最初は、「BIRU」にするつもりだったという。
BEERを日本的に発音したところの「BIRU:ビール」!
しかし日本における商標の問題があり、結果、BIRAになった。北インドでは「BROTHER」の意味を持つという。
91は、インドの国際電話の国番号。シンプルな主張が、面白い。
命名からマスコット作り、パッケージングなどのプロセスには、9カ月近くを要したという。
初めてこのビールを目にしたときには、かなり斬新なデザインに、限られたエリア(都市部)の、限られたターゲット(若者)に訴求する、どちらかといえば一過性のブランドで終わるのではないか……と、ほんのり思った。
しかし、街を走ればあちこちで、アルコールショップの店頭に大きなBIRA91の看板を見かけるようになった。
インドのヴェンチャーキャピタル大手の投資により、かつてない「強くて太い新しさ」のようなものを、感じたのだった。
インド。あらゆる、まさにあらゆる市場において、10年前、いや5年前には想像しなかったことが、次々に起こっている。若者らの発想やパワーが、着実に、形になり、目に見えている。数カ月でもぼんやりと引きこもっていたら、街の光景が、違って見えるくらいだ。
ともあれBIRA91。ドライなブロンデもいいが、ほんのり甘く、はるか昔のベルギー取材で初めてフルーツ・ビールを飲んだ時の感動を思い出させるホワイトもおいしい。
個人的には、このIPAが、一番好き。ちなみにIPAとはIndia Pale Aleの略。インドが英国に統治されていた時代、英国でインド輸出用に開発されたビールの銘柄だ。豊かな風味、ホップの苦味が味わい深い。
"They didn’t use any kind of marketing campaign or any sort of surrogate tricks. What they simply did was make the product available in a few pubs. The rest was left to the people who gave a really good response to the product. After that, it was a stark word of mouth publicity. Furthermore, they gained a 30% share in the premium segment without spending anything on traditional marketing."
インドらしい「フィードバック」の文化をシンプルに利用した廉価で斬新なキャンペーンの在り方もおもしろい。広告費にお金をかけるのではなく、パブやブリュワリー、あるいはコ・ワーキングスペースなどにビールを「無償で提供」し、「試飲」をしてもらうことで味を知ってもらい、口コミで認知を広げる作戦を取っている。
面白い。将来性を強く感じさせるブランドだ。
The Bira Story | How Did Bira Become India’s Favorite Beer?(←CLICK!)