デリーに暮らす義理の両親が来訪。約1カ月前にデリーを出て、家族の住むチェンナイを起点に、スリランカやタイを旅し、旅の最終地点にバンガロールへ。夕飯は、外食続きだろうからと、野菜たっぷり、あっさりとした食卓にした。
異文化に生まれ育った我々夫婦は、何かにつけて衝突し合ってきたが、「食」に関してだけは、出会った当初から、嗜好が極めて近かった。
「子は鎹(かすがい)」ならぬ、「食は鎹」である。これは、極めて幸運なことだ。
一般的には食文化が大いに異なる日本とインド。しかし、夫とだけでなく、夫の両親や姉夫婦、親戚と旅行などで共に過ごしても「嗜好が合わない」ということは、ほとんどない。
今から20年近く前のこと。家族揃って、イエローストーン国立公園へ旅行した。普段、インドではおいしい牛肉が食べられないからと、義姉の家族がビーフステーキやハンバーガーを、もりもり食べていたことを思い出す。食後のデザートも欠かさぬ一家の食欲に驚きつつも、共に楽しんだ。
インド人は、一般に辛いものが好きだと言われるが、我が夫も、義理の父も「スパイシーな料理」が苦手。ゆえに家庭料理はほとんどチリを使わない。たまに外食で、辛いものを食べたりすると、義父は額から滲む汗をハンカチで拭き拭き、夫は何度もしゃっくりを繰り返し、なにかと落ち着かない。
ゆえに、わたしが作る、こざっぱりとしたお惣菜も、喜んで食べてもらえる。
メインは丸鶏を捌いて、玉ねぎとマッシュルームで煮込んだもの。味付けは、和風に見えて、実はオリーヴオイルとバルサミコ酢が利いた「洋風」だ。
野菜炒めも、オリーヴオイルと自家製粒胡椒、そして茅乃舎の野菜だしが利いた、ほぼ「洋風」。
茹でたほうれん草を、ほんの少しのマヨネーズと醤油で和え、ゴマと七味唐辛子をほんの少しだけかけたものや、白菜の「数時間漬け」サラダも添えた。こちらは、敢えて言えば、「和風」。ご飯は、Happy Health Meで買った五穀米ならぬ四穀米。
作りすぎたかと思ったが、4人でほとんど完食。
ところで、我が食の記録を久しくお読みの方はお気づきかと思う、この和風の食器。料理が「いい感じ」に見えると思うが、どうかしらん。
日本から食器を買って帰るというのは、いつも優先順位から低くなり、気がつけばもう、いい大人になっていた。ゆえに、帰国時を狙わず、インドで購入しようと、少々割高ではあるが、Nicobarというお気に入りのブランドで買い求めた。
食器洗いをメイドに任せることが多く、割れにくくシンプルな皿ばかりを使っていたが、味気なかった。これからは、食器棚の奥に眠っていた、お気に入りの食器も取り出しつつ、これらは自分だけが触るものとして、大切に使おうと思う。