♪俺に会いたけりゃ、ビリヤニを炊いとくれ! いつでもどこでも、すぐに駆けつけるぜ〜!
……というような、「ビリヤニ讃歌」が存在してもいいのではないか。というくらい、インドの人々、特に男子は、ビリヤニ好きが多い。ビリヤニに相当する日本の料理を考えてみるが、思いつかない。
ビリヤニとは、ムスリム(イスラム教徒)起源のインド料理。簡単に言えば、スパイスをふんだんに使った炊き込みごはん、である。ヴェジタリアン、ノンヴェジタリアンの両方の嗜好に合わせたビリヤニが存在するが、最も華のある定番はマトン・ビリヤニであろう。
ムスリムが多い南インドのハイデラバードは、ビリヤニでも有名な都市。バンガロールにもその都市名を冠した「ハイデラバード・ビリヤニ」の店がある。
ムスリムの家庭では、基本的に「祝祭日」や「ハレの日」に作られるビリヤニ。各家庭のレシピに基づいて、大きな釜で炊き上げられるそれは、愛情も一緒に炊き込まれているようで、外食とは異なるおいしさだ。
我が家の隣家は、ムスリム一家。ビリヤニが炊かれるに違いないムスリムの一大祝祭日になると、夫は朝から「今日、お隣さんはビリヤニをお裾分けしてくれるかな?」などと期待して、落ち着かない。
ビリヤニにまつわるエピソードは尽きない……といった話を昨日、『インドの食生活と健康管理』のセミナーでした矢先! 今日は思いがけず、美味なるマトン・ビリヤニを食することとなった。
月に一度、ホテルの会議室を借りて行われるYPOのフォーラム・ミーティング。我がフォーラムは8人のメンバーで、うち5人がヒンドゥー教徒、1人がムスリム、1人がチベット仏教、そして多分仏教徒のわたし。ヴェジタリアン、ノンヴァジタリアン混在の、多様性に溢れた面々だ。
今日は、ムスリムの友人が、ミーティングの合間のランチにと、ビリヤニを差し入れてくれるという。普段はレストランの料理を注文するところだが、彼女の使用人が届けてくれた料理にびっくり。ヴェジタリアン、ノンヴェジタリアン二つの大きな鍋。新聞紙と布に包まれて保温性も抜群。蓋を開けたら湯気が立ち込める新鮮さ!
鍋底には、骨付きマトンにホクホクのジャガイモと、具もたっぷり! それらを掘り起こして皿に盛る。もりもり盛る。
付け合わせのダール(豆の煮込み)やライタ(ヨーグルトにキュウリなどのスライスが入ったもの)もたっぷりで、友人ら、興奮の渦。我がインド友らは、なにしろよく食べる。おいしい、おいしいと言いながら、ひたすら食べる。みなそれぞれにおかわりをして、さらにはお持ち帰りセットも託されて、夕飯の準備も不要である。
帰宅後は、ビリヤニセットを温め直してテーブルに。夫、案の定、大喜び! デザートには昨日の残りのロールケーキ。満腹に幸福な夜の食卓であった。Thank you, Anjum!!
*ビリヤニを食べたくなったバンガロールの方へ。ローカル食堂から高級ホテルまで、さまざまな場所で食べることができるが、個人的にお勧めなのは、ITC系列のホテル(ウィンザーやガーデニア)、あるいは、JWマリオットなどのメインダイニング(カフェテラス)などのブッフェ。常に3、4種類のビリヤニが用意されている。ITCウィンザーのRaj Pavilionはかつて、水曜か木曜にビリヤニ・ナイトをやっていた。興味のある方は、直接、お問い合わせを。