2014年7月。NORA姉さんが我が家を住処と決める前の我々夫婦。猫にほとんど興味がなかった。
「庭のネズミ対策に、猫、飼ってもいいかもね」
などという無礼を平気で口にするような人間だった。
「猫の餌? 人間の残り物でいいんじゃない?」
などという無知を平気で口にしてもいた人間だった。
ところがご察しの通り、我々はほぼ数週間後には「猫の虜」となった。当初は近所で購入するドライフードを食べさせていたが、徐々に「高級物」に移行。やがて「Farmina N&D」が定番となった。
あるときROCKYが体調を崩した。食欲がなかったとき、わたしが焼いた牛肉やチキンのレヴァーだけは、食べた。
病院で検査を受けた結果、心臓疾患があることがわかり、日々の投薬が必要となった。それを契機に、手作りの猫餌作りを始めたのだった。ほとんど加工食品を食さない我々。人間が手作り食で健康ならば、猫らとて同じこと。薬に副作用があることも聞いていたから、「できるかぎりのケア」をしたいと思った。
とはいえ100%を手作りにするのはたいへん。ゆえに市販の餌3に対し、手作りの餌7程度の割合で与えている。猫が食べられない食材などもあるので、専門書を購入して勉強した。
野菜の残り、ご飯などの残りは冷凍して猫用に。肉や魚類は、ど〜んとまとめてFreshtohome.comで購入し、一気に1ヶ月分を作って冷凍庫に入れる。我が家では、人間は冷凍した食品をほとんど食べないので、猫餌で埋め尽くされている。
お気に入りのアイスクリーム、NATURALの容器が保存に好適。かつてミューズ・クリエイションの毎週金曜の集いで、メンバーのおやつに出すこともあったので、パッケージはたくさん保存されているのだ。パーティのときなど、氷を取り出そうと冷凍庫を開けたゲストは一様に「美穂さんたち、こんなにアイスクリーム食べるんですか?!」と驚愕していたものだ。
食材は、人間の餌と差別化したく、廉価なものを選びつつも、栄養価は高く、多分おいしい。今日の肉類は、丸鶏、レヴァー、ハツ、白身の小魚、イワシなど。その他、雑穀や野菜の残り、豆類、カボチャなど、そのときどきで家にあるもの、余っている食材を活用する。全ての食材を加熱し、さましたあと、ブレンダーで粉砕する。
肉&魚の割合が5割を切ると、猫らはあからさまに不満そうな顔をする。一口二口食べて、す〜っと離れたりする。……悔しい。
今日は非常に奮発して、7割近くを肉&魚にした。これは絶対にうまいはず。確信はあったが、まずは確かな舌を持つグルメNORA姉さんに味見をしてもらった。男子らは、周囲に餌を撒き散らしながらガツガツと食べてすぐ走り回り吐いたりするが、NORA姉さんは上品に味わい、周囲にこぼさないばかりか、お皿もきれいに舐めるなどお行儀がよい。
彼女はまた、「腹八分」を心得ているため、食べすぎることもなく、理想的な体型を保っている。尊敬する。そんなNORAが、今日の料理はたちまち平らげた。猫専属シェフ、肉体労働が報われる思いだ。
猫餌作りの参考書、及び、動物病院でもらった猫用カルテノート。母子手帳状態。そろそろ猫もワクチンを接種せねば。