日本に住んでいた20代のころまでは、「ごはんと味噌汁」を食べずにいても、特に問題はなかった。むしろ日本料理を食べることの方が少なかったし、長期出張中なども、特に日本食が恋しくなることはなかった。
しかし、年を重ねるごとに、嗜好は変化する。それまで特に好きではなかった味噌汁を「おいしい」と感じるようになったのは30代後半になってからだった。40代でインドに移住してからは、簡単に手に入らないという現実も手伝ってか、日本米や味噌を重宝するようになった。
長い旅行の後、久しぶりに帰宅して用意するのは日本米と味噌汁。インド人の夫でさえも、「やっぱり、家のご飯は落ち着くねえ」などという。だいぶ、間違っている😅
我が夫のケースはさておき、年を重ねるにつけて、生まれ育った国の基本的な食事が、身体に合うことを実感するように思う。特に顕著なのは「病み上がり」。体調が悪いときの炊き立てご飯や味噌汁、あるいはおにぎりが、どれだけおいしいか。
さて。先に写真をご覧になった方は、一部、雑というかダイナミックな盛り付けに驚かれたかもしれぬ。新鮮な豆腐を手に入れにくいから、夫の好物でもある高野豆腐(大きいのを齧るのもおいしい)は常備。これらは最近の、朝食や昼食の写真だ。無論、毎日、日本米を炊くわけではないが、頻度は増えた。なお「谷藤米」は、インドで作られている日本米で、最近のお気に入りだ。
ミューズ・リンクス(坂田のビジネス部門)では、過去10年以上に、不定期ながらも多様なセミナー(インド・ライフスタイルセミナー)を実施している。中でも『インドでの食生活と健康管理』は、開催頻度も高く、最優先してきた。なお、文化や歴史、日印関係などを伝える「パラレルワールドが共在するインドを紐解く/必修編」は、ロックダウンのころ、オンラインで実施し、それを編集してYoutubeにアップロードしている。
それらも大切だが、インドに「暮らし働く」人たちには、何をおいても健康管理が最優先だ。元気でなければ、仕事どころか、生きていくことさえ辛い。
バンガロールの食生活は、10年前と比べると、雲泥の差で便利になり、選択肢も増えた。情報源を確保し工夫すれば、健康的な食生活を実現できる。しかし、日本の利便性を優先した食生活に馴染んでいる人にとっては、暮らしのハードルは高いようだ。
結果、日本から持ち込んだ大量のインスタント食品を常時、食べ続けることになる。かつてミューズ・クリエイションのメンバーには、折に触れて伝えてきた。「極力、新鮮な料理を作りましょう」と。料理の得手不得手はあるにせよ、最低限の自炊をするか否かで、ライフの質は大きく変わる。
日本での仕事を辞めて帯同した女性たちの中には、「専業主婦になる」ということ自体に違和感を覚える人が少なくなかった。家事や料理をすることにも抵抗感を覚える気持ちは、わからないでもない。
しかし。人生はチームワーク。異郷の地で就労できない以上、家族の命を健康に保つための食生活管理部門は、帯同の妻が担うのが賢明だと考える。タフな労働環境のもとで働く夫や、慣れない学校に通う子どもたちのためにも、滋養のある食事を作ることが、妻の重要なミッションだと思うのだ。
単身赴任者が体調を壊し、精神的にも参っている様子を、これまで無数、見てきた。諸悪の根源が「インド」のせいになっているが、いや、自分の心身を守るのは、自分の責任でもある。日本人の多くはハードワークで睡眠不足、ストレスを溜めがちだ。そして気軽に市販薬を飲みすぎる。……だめだ、話がどんどん長くなってくるので、一時停止。
最低でも、元気が出ない時こそ、「ご飯と味噌汁」を食べよう、という話である。インドでも、米や味噌は手に入る。味噌汁に野菜や卵を入れれば、一汁一菜、それで十分。インドはまた、米の種類も豊かな国。パサパサとした長粒米は、焼き飯やパエリア風など、炒めるとおいしさが際立つ。また北東インドのブラックライスは、もっちり餅米のようで味わいもよく、栄養価も高い。多めの水に長時間浸して、炊く必要があるが、お勧めだ。
このごろは、書き残したいテーマが多すぎて、日頃の食生活の記録がおざなりになっているので、「米と味噌汁」の記録写真をまとめて載せつつ、関連リンクも貼っておく。ちなみに、たまたまダイエット関連のことを書くために撮っておいたタンパク質豊富な鶏肉料理の写真も載せておく。インドの鶏肉は美味。骨つきの肉をスープにしつつ、一石二鳥な簡単料理についても、後日記そうと思う。
なお来月中旬、久々に『インドでの食生活と健康管理』のリアルなセミナーも実施する予定(@ヤラハンカ宅)。後日、詳細を告知する予定だが、関心のある方はあらかじめ、お知らせください。
◉ANNAPURNA ~マルハン家の食卓~(食の記録専用のブログ)
食生活の記録@インド/アンナプルナとは、サンスクリット語で「たくさんの食べ物を供する豊穣の女神」を意味する。
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