①ランチ@毎度おなじみARAKU COFFEEで良質の食事を楽しむ
昨日は、妻が選んだ家具を夫にも確認してもらうべく、「要所要所」を巡った。
インドで、夫と一緒に「買い物」に出かけることは、ほとんどない。年に一度のニューヨークで、夫は衣服をまとめ買いしてきたこともあり、バンガロールで自分のものを買うことはほとんどなく。米国と、帰路の欧州のどこかで、一緒に歩きつつ買い物……という年中行事ができなくなった今、このようなお出かけは久しぶりだ。
家具店での記録は②に記すとして、とりあえず、ランチ。夫の友人、マノージが創業したARAKU COFFEE のインド一号店がインディラナガールにオープンしたことは、幾度も記してきた。夫と訪れるのは、オープニング前に招待されたとき以来、初めて。ゆえに、わたしの方が、料理に詳しい。
昨日は軽めに、いくつかのお気に入りメニューをシェア。直営のファームで育てられた野菜や肉類。素材からして、非常に良質。
まずはお気に入りのコールドコーヒー(オレンジやジンジャーなど、ほどよい味付けが効いたものが数種類あり)で乾杯。
フライドチキンバーガー(メニュー上はサンドイッチとされている)は、「KFCのジンガーバーガーを高級かつヘルシーにした感じ」の味わい。ジャンクフード的な料理を健康的に味わえるところが魅力だ。スコッチエッグもまた、程よい旨味と卵のおいしさ。
毎度、幸せな微笑みで夫が持っているのは、丼物ではない。桃と濃厚クリーミーヨーグルト(チーズケーキ風)のデザートだ。
料理がおいしいのはもちろんのこと、店内のインテリアもシンプルで快適。一隅のライブラリエリアもいい。2階はミーティングルームもある。
インディラナガールには、他にも魅力的な店は何店舗もあるのだが、個人的には素材のよさと、シェフのラホールの料理力に引き込まれ、ついついこの店が最優先になっている。
ちなみにバンガロールは、パンデミックの影響でつぶれた店がある一方、新たな店も次々にオープン。特にチャーチストリートやコマーシャルストリートは、道路がきれいに舗装し直され、遊歩道的な歩きやすさとなっている。改築、新築した店も多い。
家具選びがひと段落したら、新しいバンガロールの表情を捉えに、出かけたいものだ。
☕️紅茶よりも長い歴史。南インドのコーヒーを巡る物語と最新情報
➡︎ https://museindia.typepad.jp/library/2021/05/coffee.html
②家具選び。絞り込む前に、夫の意見も取り入れつつ。「交渉時」には人格変貌する夫。
インドは、テイラーで衣類を仕立てたり、自分好みの家具を作ったり、あるいはソファーやカーテンの生地を選んだり、壁の色を塗り替えたり……と、さまざまな場面で、「カスタム・メイド」が一般的だ。
もちろん「出来合いのもの」も売られているが、「終の住処」を創るとあれば、多少、手間がかかっても、好みのものを選びたい。創りたい。
古い家具を修繕するにせよ、新しいパーツを加えて改造してもらうにせよ、あるいは職人に作ってもらうにせよ、完成までにおよそ2カ月はかかる。
今のうちに発注をして、ある程度のデポジットを支払って作業に入ってもらわねばならない。
昨日は、大物を発注する3店舗を夫と巡った。
「このダイニングの椅子、どう? いいでしょ?」
「悪くないね……。いや、お尻がアンカンファタブル」(まじかよ)
「このテーブルどう?」
「僕はこの絵が好きだなあ」(絵はじゃない、テーブル)
「この書斎の椅子、気に入ったの」
「ミホ! 書斎の椅子は人間工学に基づいた(なんちゃらかんちゃら)じゃなきゃだめだ!」
「じゃあ、自分それにすれば? わたしはこれにするから」
(座ってみる)「ん? これいいね。僕もこれにする」
……とまあ、こういう類の噛み合わっているんだか噛み合っていないんだかわからない感じの緩い会話をしつつ。しかし、価格交渉の段階になると、顔つきを一変させる我が夫。いきなり表情が「ビジネス・モード」に切り替わる。
わたしは基本的に値切るのが嫌いだ。なぜなら自分が仕事で値切られるのがいやだからだ。特に、職人やアーティスト、あるいは貧しい人たちから値切るくらいなら、買いたくないと思うことがある。
一方、大きな利益を得ているであろう中間業者や企業に対しては、値切るというよりは「価格交渉」という範疇に入る模様で、夫は瞬時に、別人格になるのである。というか、それが楽しいらしい。
店とのやりとりの様子を克明にレポートしたいくらいだ。思えば彼が米国のMBAに通っていたころ「ともかく交渉する」という課題を受け、それに伴い、不要とも思える交渉をあちこちで展開し、レポートにしていたことがあった。面白かった。度がすぎて「やめてくれ」とも思った。
今から10年以上前、日本の一大企業がインド企業と「価格交渉をほとんどせぬまま、驚きの価格で」合弁契約を結んだことがあった。夫の周辺では、当時それが話題になっていた。その数年後、その企業は撤退、のちのちまで問題を引きずった。
いずれにしても、大きなお金を動かす際には、この国の流儀をしっかり調べておくべきで、それもまた「一筋縄ではいかない」業界や土地によってさまざまな相違があるということも、理解しておかねば、痛い目に合う。
……というような、我が家の家具ショッピングは、大それた話ではないのだが、そこそこ大物購入に関しては、夫が納得するやり方で任せようと思った次第。
などという色気のない話はさておき、インドのあらゆる産業/業界が目まぐるしく変貌、進化する中、「壁紙」や「ソファー&カーテン」などのファブリックの選択肢がまた劇的に増え、クオリティがあがっていることに驚嘆した。
特に壁紙。新居は白いすっきりとした壁で統一するつもりなのだが、山と積まれた見本のカタログを見ていると、思い切り引き込まれる。ソファーカヴァーの選択肢も多すぎ。
「ここに一日中座って、選んでいかれるお客様もいらっしゃいます」
とのこと。そりゃそうだろう。わたしも数時間は、軽く過ごせそうだ。てか、壁紙をどこかアクセントで貼りたいと迷いが増える。モデルのディーピカが美しすぎる。家具選びを通しても、インドのトレンドについて記したいこと尽きず、だんだん市場調査視点になりそうなので、控えよう。
……というわけで、今年後半は、家という立体的な創造物を構築すべく、創造力を駆使する日々となりそうだ。