先週の火曜日。午前のミーティングを終えた後、午後の所用がカニンガム・ロードに近かったことから、久しぶりにInfiniteaでランチを取ることにした。ちょうど、オーナーのガウラヴも食事をしているところだった。彼に会うのもまた久しぶり。元気そうで何よりだ。
2005年11月、米国からバンガロールに移住したわたしたち夫婦は、カニンガム・ロード沿いのアパートメントに居を定めた。引っ越してまもない、ある夜のこと。夫と二人で夕飯を取るべく、カニンガム・ロードを歩きながら店を探していた時に、このInfiniteaを見つけたのだった。
当時、まだ20代半ばだったガウラヴ。そのころから、彼はとてもフレンドリーで、ゲストへの配慮も濃(こま)やかだった。初対面の際に交わした言葉がきっかけで、彼のバックグラウンドに興味を持ったわたしは、その後、一人で再訪した際、インタヴューをさせてもらった。
以降、拙宅でチャリティ・ティーパーティーを開催した際には、ティー・テイスティングを実施してもらった。また、ミューズ・クリエイションを創設してからは、店舗でインドの紅茶講座とテイスティングをさせてもらったこともある。
先週、撮影した写真は、彼とシェアしたあと、そのままフォルダの中に眠りかけていた。ところが今朝、Facebookの投稿で、Infiniteaが20周年を迎えたことを知った。
わたしもまた、18年前の記録を遡り、懐かしい写真を発掘。インタヴューさせてもらった記事は、『深海ライブラリ』ブログに転載した。当時のバンガロールの息吹が、伝わってくる。あれから、変わったもの、変わらないもの、その目まぐるしさ……。
「お茶に合う料理を」と、創業当初から料理も菓子作りも、自ら試行錯誤してきたガウラヴ。当初はチベット風の蒸し餃子「モモ」が看板メニューだったが、今はヴァラエティ豊かにヘルスコンシャスなメニューも多く、いずれも安心できるおいしさだ。
わたしがランチをとっていたら、彼の妻のDeekshaも店に来た。彼女とはこれまで、軽く挨拶をする程度だったが、この日はわたしの午後の約束の時間まで、延々と語り合った。
今、18年前の記録を読み返して、つくづく、プロセス(過程)と歴史を知ることの大切さを、実感する。一筋縄ではいかないインド市場。
今だけを見ても、見えないことは多い。利便性の追求を優先せず、欧米先進諸国とは異なるルートで、独自の発展を遂げているこの国。インド独立以前、マハトマ・ガンディの理念あたりから遡って、この国の産業や市場を眺めることが、大切なのだ。わずか18年の市場の変遷を見続けているだけでも、そのことを痛感せずにはいられない。
このごろは、過去の検証が生きる(生かさずにはいられない)出来事が続く。記録し続けてきたことが、単に感傷的な回想に止まらぬ、さまざまな場面で「データ」として活用できるようになってきた。蓄積のアウトプットに試行錯誤する日々。無駄にしたくないと改めて思う。
⬇︎当時、インドの人口は10億人余りだったことから、「十億分の一のインド」というタイトルにしていた。今や14億人。日本の3倍近い人口が増えている。遍く謙虚に学び知ることの重要性を、改めて思う。十把一絡げで、インドを語るなかれ。このインタヴュー記事はかなり興味深い内容。ぜひお読みいただければと思う。
【十億分の一のインド】ガウラヴ・サリア (Infiniteaオーナー)/インド人インタヴュー(7/26/2006)
https://museindia.typepad.jp/library/2006/07/gaurav.html
☕️第1回/紅茶講座&ティーテイスティング@Infinitea (12/11/2014)
https://museindia.typepad.jp/mss/2014/12/tea.html
☕️第2回/紅茶講座&ティーテイスティング@Infinitea (01/11/2017)
https://museindia.typepad.jp/mss/2017/01/tea.html
☕️Infiniteaで、お茶を飲み、食事をし、語り合う。月下美人は咲き、季節は巡る。(2020/06/14)
https://museindia.typepad.jp/eat/2020/06/infinitea.html